基本語順


 一般に、それぞれの言語において基本語順、最も標準的に現れる語順が設定される。
 語順がゆるい自体言語、厳密な言語が存在するが、いずれにしても「何でもあり」というわけではなく、それぞれの言語において最も標準的な語順があるとほとんどの言語学者は想定する。
 どの言語にも名詞と動詞は普遍的に存在する(少なくともそのプロトタイプ的なものは)と仮定し主語(S)、動詞(V)、目的語(O)の組み合わせで論理的に可能な語順は次の6通りである。

 SOV SVO VSO VOS OSV OVS

 これまで、何人かの言語学者がサンプリングを行い、その分布を調査した。その結果は以下のようになる。

 学者      サンプル数 SOV SVO VSO VOS
 グリーンバーグ     142 45% 37% 18% なし
 ウルタン    79 44% 35% 19% 2%
 スティール    63 47% 32% 16% 5%

 基本的にもほぼ同一の傾向を示していると差し支えあるまい。
 実際に世界中の言語を調査すると、SOV、SVO型が最も多く、およそ八割を占め、それ以外の語順を持つ言語は珍しいと言ってよい。
 例えば、マダガスカル島のマラガシ語はVOS,南米のブイナベ語はOSVである。


 一般に、主語が目的語に先行する、動詞と目的語とが隣接する傾向が強いことが知られている。近年の機能主義類型論や心理主義言語学では、脳内の文処理のしやすさから説明するものが多い。

 この種の研究で最大規模のものは山本(2003)であり、2932の言語の語順について考察している。


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