─ 灼熱 ─

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2005年08月03日
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日銀保有の金塊がFRBの金庫にあるように、財務省が保有する米国債も現物は日本にはないという。イラクの外国資産が凍結(没収)されたように、米国債を引き出しドルの信用を落とすような動きがあったなら、米国はそれらを封鎖・凍結する可能性すらある。したがって米国債を売ってそれで財政赤字を穴埋めする方法は現実的ではない。

現在の日本の借金は約95%が国内から(自国通貨で)調達されているので、幸か不幸か、破産はしない。しかし、国債費が税収の半分近くを占めている状況は、どうみたって異常である。このままいけば、利払い費が税収を超える日も遠くないうちに訪れるかもしれない。超低金利の現状からもし金利が上昇すると、利払い費が増加することになる。

この借金(利払い)地獄から脱出する方法があることにはある。それは国家が紙幣を発行することである。「政府紙幣」の発行である。中央銀行だけが紙幣を発行している現状からの脱出でもある。

政府が紙幣を発行するということは、これは国債と違って借金ではない。したがって政府紙幣で現存する国債を買い取ってしまえば、利払い費も削減されることになる。ただし、ハイパー・インフレにならないように政府紙幣の発行限度を慎重に制限する必要があるだろう。国債発行も政府紙幣発行も、インフレ圧力は同じと見てよいだろうと思う。現在の日本はデフレ経済であるが、無制限に政府紙幣を発行すればハイパー・インフレになるのは当然である。

しかし政府紙幣発行は、大きなリスク・危険を孕む「政策」であることを同時に理解しなければならない。それは、中央銀行を通じ貨幣を発行し、通貨の流通が貸し付けから始まるという現在の「経済システム」を崩壊させてしまうほどの威力をもつ強烈な手段が政府紙幣の発行だからである。政府紙幣の発行で国債を発行する必要がなくなるのである。つまり、国際金融家がイングランド銀行の設立から300年以上も「維持」してきた権益(経済システム)を破壊してしまう行為が政府紙幣の発行であると理解しなければならないだろう。日本が政府紙幣を発行するということは、国際金融家=英米政権の反対を押し切り“宣戦布告”する覚悟と、その後の“制裁”を受ける覚悟が必要となるだろう。

いずれ政府紙幣は日銀券を駆逐することになると考えられる。貸し付けから始まる“悪貨”は駆逐されるはずである。

日本がもつ産業力=供給力を維持することを忘れてはならない。

バブル形成やいままでの国債発行を見てわかるように、政府紙幣発行に制限を掛けるのは難しいと考えられるので、政府紙幣発行は限定的なもの(新規国債発行の代わりと利払い費とか)にするのが“良策”のような気がするのだが……



政府紙幣の導入は、間違いなく国際金融家の利害と衝突するものである。英米の反対を押し切って強行的に政府紙幣を導入したら、それは“宣戦布告”と等しい行為になる可能性が高い。つまり輸出入の停止などの“制裁”を受ける覚悟も必要なのではないか。

わたし自身は、導入は現実的ではないが、政府紙幣の発行に反対はしない。ただし導入には政治的なリスクを軽減する必要があるだろうと思っている。

以下、「政府紙幣発行を」という記事を、8月1日の「日本海新聞」より転載。



一月三舟 -岩國 哲人-

「政府紙幣発行を」

2005/08/01の紙面より(日本海新聞)

必要なお金を調達するために、世界の政府や大企業が債券や株式を発行する。そういう世界で三十年、米国で、欧州で、日本で、私は証券の発行と引受の仕事に携わってきた。

政府が足りない財源を手当てしようとする時には四つの方法がある。

まず第一に税金を増やす。第二に国債を発行する。第三に政府通貨を発行する。第四の方法としては国有財産の処分である。この第四の方法は、政府の土地、建物、道路とか郵便などの政府所有の事業を民間に売却することだが、金額も限られているし、何度も繰り返すわけにはいかないから、結局方法としては増税、国債、政府通貨の三つしかない。

好景気であれば国民に痛みを与えない増税も可能だが、バブル崩壊後のわが国の十五年間は、とても増税を許すような環境ではなかった。にもかかわらず、九七年に目先の財政再建にとらわれすぎて強行した橋本内閣の増税が、家計を傷め、個人消費を停滞させ、不良債権を増大させた。そして倒産の増加と銀行破たんヘの対応に追われ、さらなる税支出を要することになり、悪循環を引き起こしたことは記憶にも新しいことである。


国債大量発行で借金地獄

増税が失敗だったと気付いた自民党政府は、もう一つの方法、国債発行へと急傾斜する。その結果、国債発行は橋本、小渕、森、小泉内閣のもとでわずか八年の間に三百兆円も増加し、国内総生産の規模五百兆円を大きく飛び抜けて七百兆円。言うまでもなくわが国の歴史始まって以来の巨額な借金となり、GDP比率で他の先進国と比較しても堂々たる世界一の借金大国となってしまった。



サラリーマン家庭に例えてみるなら、月給五十万円を手にするや、脱兎のごとくサラ金へ走り、二十万円の利子を支払い、その場で家計の不足分二十万円を新たに借りて借金の残高がまた二十万円増えて来年の利子もそれに応じて増え、借金の山が雪だるま式に増えて、いずれは利払費が五十万円になる。借金をまじめに返そうと思えば、飲まず食わず電気も使わず、家賃を払うどころではない。毎月の給料の全額を利払いだけにひたすら充当し、借金残高は一銭たりと減らず、親から子へ、子から孫へと、「借金(かりがね)一家」の悲惨なホームレス、青テント暮らしが永久に続く。

それでもまだ甘すぎるかも知れない。今は超低金利のゼロ金利政策が実施されているからこそ国債の年間利払額が十八兆円とか二十兆円で済んでいるが、これが通常の金利に復帰すると、利払費は増え、借金残高が増え、借金地獄への転落スピードが加速する。

働いても働いてもラクになれない。(税金を)払っても払っても安心できない。平和国家も福祉国家も文明国家も遠くへ遠くへと消えてゆくばかりではないか。政治の英智と勇断が今こそ必要だ。


デフレ経済下で唯一の方法

この恐ろしいシナリオから一日も早く脱出して、明るく元気な日本を取り返す第一歩を踏み出す方法は一つしかない。政府紙幣の発行である。



国境を越える通貨「ユーロ」が誕生して「多国一通貨」が実現し、一方では小地域内でのみ通用する地域通貨「一国多通貨」も実現した。いわゆる「一国一通貨制」を絶対普遍の法則と思い込む必要はないし、中央銀行だけが紙幣発行を独占できるというのは錯覚でしかない。

加えて二十一世紀のグローバル現象である。人間に国籍はあってもカネには国籍のない時代がやってきた。日本の資産家の運用対象も、政府が勧めようと勧めまいと、円証券だけでなく、ドル、ポンド、ユーロの証券にも向かい、「資産の多通貨時代」が始まっている。

わが国の通貨の歴史を紐(ひも)といても、むしろ複数の通貨が発行され、流通していた時代がほとんどであった。

江戸時代、鎖国体制のもとに国内産業の振興と物資の流通が進展した時代に、貨幣の役割も当然のことながら飛躍的に高まり、その中心となったのが「銀貨」と、徳川政権で発行された「金貨」であった。金貨は東日本で、銀貨は西日本で流通し、しかもその交換レートは変動しながらも十分に信用され、日本の通貨としての機能を果たしてきた。


政府通貨発行で財源確保

政府の立場に戻して考えるなら、国債という「借金」ではなく政府自身の通貨を発行すること。攻める財政をさらに一歩進めるなら、現存する国債を政府紙幣で買入消却して年間二十兆円の利払負担を削減すること。仮に十兆円減らせばその十兆円を年金財源に充当するか、少子化対策に使うか、道路公団の借金を返済して、四十五年後ではなく、四年後に高速道路無料化を実現して経済の活性化と税収増加に結びつけることもできる。

このように、政府通貨発行で十分な財源を確保すれば景気の回復は間違いない。景気回復が税収増をもたらせば、増税内閣どころか、国民待望の減税内閣が実現する。

政府だからこそできる、政府だからこそやらねばならないことをやらない、そういう無為無策、無能無気力の政府には三文の価値もない。

おカネを合法的に印刷できるのは日本銀行と政府である。政府通貨は今でも五百円、百円などの硬貨発行の形で行われている。政府通貨は、見方を変えれば、「無利子の、返済期限のない、買い物にも使える、国債」とも言えるだろう。

新しい通貨の発行は景気の過熱やインフレを招くのではないかと懸念する人があるかも知れないが、政府通貨も国債もその発行限度は国会などで厳しく審議されなければならない点で共通しており、国債発行なら安心、政府紙幣発行ならインフレという議論には全く根拠がない。

金利ゼロで銀行などに大量の資金を供給する超金融緩和策を何年も続けている異常な金融政策の最大の理由は国債の受け皿を作ることである。日銀が全額買い受けることは禁止されているために、民間の金融機関にコスト・ゼロでカネを提供して国債で収益を挙げさせる…、これは偽装された日銀引き受けであり、日銀財務諸表の粉飾決算であり、カネボウの粉飾問題と何ら異なることがない。

国家ぐるみの偽装や粉飾から一日も早く脱却し、誇り高き経済国家への道を進むべきではないか。(衆議院議員、元出雲市長)

http://www.nnn.co.jp/rondan/sansyu/050801.html


※「政府紙幣発行を」と言っている 衆議院議員・岩國哲人 とは、民主党「次の内閣」国土交通大臣、民主党「次の内閣」政治改革担当大臣などと言われた人物である。

1959年:東京大学法学部卒業
1959年:日興證券株式会社入社
1977年:二人の娘の教育のため銀座支店長栄転の辞令を返上し、モルガン・スタンレー投資銀行へ
1984年:世界最大の投資銀行、メリル・リンチ社へ
    日本法人の社長・会長に
1987年:メリル・リンチ社本社上席副社長に就任

2004年:1月~
    民主党「次の内閣」国土交通大臣
    国土交通委員会委員
    武力攻撃事態等への対処に対する特別委員会委員
    政治倫理審査会筆頭幹事
    国土開発幹線自動車道建設会議委員
    10月~
    民主党「次の内閣」政治改革担当大臣
    予算委員会委員
    財務金融委員会委員
    政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会委員







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最終更新日  2005年08月03日 20時11分36秒
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