☆ Sanctuary ☆  Smile for you

短編ミステリー第5話



      ☆’.・*.・:★’.・* 隠された慰霊塔の秘密 第5話 ☆’.・*.・:★


(2003.07.07 ~ 07.29制作)
母が、最後に恵理に残してくれた言葉、それが意味するものは。。
その一言が、恵理の人生に思いもよらない出来事に遭遇させる。。
そして、その出来事と慰霊塔にまつわる秘密とは?
時空を超えた短編ミステリー。。。

☆ 慰霊塔の秘密 ☆

== 不思議な体験 ==

恵理は、地下へ続く階段を下りていった。
「暗くてよく見えないわ」
階段を下りきった所が広間になっているらしい。

恵理は、自分の立っているあたりを見渡してみた。
右側の壁のところに、工具箱らしきものがある。
中を開けて見た。テールランプのようなものが入っている。
「使えるかしら?」
スイッチを入れると、ライトがついた。

そのライトで地下の広間を照らしてみる。
左右の壁と前方の壁に、人が作ったと思われる、
3段くらいの棚が隙間なく並んでいた。
棚には、名前らしきものが書いた札が、50cm間隔くらいで、
並んでいる。50cm間隔あるのは、その札の後ろに、
札に書かれた名前の人が主だったと思われる遺留品が置いてあるためだ。

広間の中をライトで照らし、くるっと見渡してみた。
右側の棚の奥の一番下に3つだけ、他とは色合いの異なる札が
置かれていた。他のは、茶色っぽい色をしているが、
それらの札は、グレーの石碑のような色をしていた。

「この3つだけ、札の色が他のと違うのね」
それらの札に書かれた名前は、日本語名でなく、
外国人らしき人の名前だった。
斜字体で名前が綴られているので、なんて書いてあるかわからない。

その3つの札のうちの一つの奥に、小さな四角い箱が置かれていた。
土まみれになっていて、箱の装飾はほとんどわからない。
恵理は、それに妙に興味を覚えて、手にしてみた。
中をあけてみようとしたが、錆びれているため開かない。
少し力を入れて、開けて見た。「(・。・ ) あ!」
中のものを取り出してみる。
「これは!!( ゜o゜)/ 」
裏返してみた。
「やっぱり( ̄0 ̄;)」
「どうして、どうして、ここにこれがあるの?」
それは、忘れもしないあの晩夢で見た、銀色の星型のペンダントだった。
裏には、CREA と書いてあった。

クレアの父ラルスは、反乱軍として、オーストラリア兵に
捕らえられた後、収容所に連れて行かれた。
収容所で、ラルスは自分の仲間たちと脱走を計画し、
収容所から脱走した。
その後、母国フランスから逃亡し、数々の国を転々として、
逃亡生活を送り、いつしか、母国から遠く離れた日本にやってきた
のだった。

日本に辿りついたラルスは偽名を使い、外交官として
の職についた。母国フランスに残した家族に想いを馳せながら、
何年かが過ぎていった。そんな折、フランスでの蜂起が終結を
迎えたことを知った。
後世、この戦乱は、フランス革命と呼ばれる。

すぐに、ラルスは海路フランスへ向かった。
フランスについたラルスは、真っ先に家族とともに過ごした
邸宅に向かった。そこには、無残にも朽ち果てた邸宅が、
かろうじて原型を残しつつ建っていた。

ラルスは、邸宅の中に入り、クレアの日記をみつけ、目を通し、
母クリスティーヌの死と、クレアが地下室に埋めた宝石箱のことを
知った。数日間、フランスに留まりクレアの消息を追ったが、
何一つ手がかりは掴めなかった。

その後、ラルスは日本へ戻り、外交官の仕事を続けた。
ラルスは、自分が構えた居の近くの慰霊の園にある、
慰霊者の遺留品置き場のある建物の中へ行き、
クレアとクリスティーヌの遺品を、そこに置いたのだった。
この場所が、今恵理のいる慰霊塔のあたりだ。

200年前は、慰霊の園と呼ばれていた。
その時は、現在の慰霊塔はまだ建っていなかった。
200年の時間の経過とともに、慰霊の園の遺留品置き場は、
人々の記憶から忘れ去られていったのだった。
また、現在の慰霊塔が建ったのは、100年前だった。
そのとき、慰霊者の遺品は地下へと移されたのだ。

恵理が手にした、星型のペンダントが、金色にふわぁーっと光を放った。
いつか見た夢のときと同じように・・・

そのとき、広間の左側に大きな光の楕円形をした球体が現われた。
その球体はまばゆいばかりの光を放っていた。
恵理は思わず目がくらくらしそうだった。
が、すぐに光に目がなれてきた。
そして、しばし呆然としてその光を見つめていた。

その光の球体の中に人の形をしたものが見えた。
よく見ると、外国人のような顔立ちをしている。
その、光に包まれた人は微笑みながら、恵理に呼びかけた。
「クレア」
「(゜o゜")えっ!私はクレアではないわ、あなたは誰ですか?」
「あなたの母よ」
「そんなぁ、(*゜O゜)ノ、私の母は外国人ではないわ」

「それなら、こうすればわかるかしら?」
光に包まれた人影は、そう言い、一瞬消えたかと思うと、
姿を変えて再び、現われた。
「お母さん!!」
それは、4年前に亡くなった恵理の母だった。
母は恵理に呼びかけた。
「恵理ちゃん、やっとみつけたわね」
「(゜o゜")えっ!」

恵理の母は、4年前薄れていく意識の中で、
自分の過去世を垣間見たのだった。
そのときに、クレアが星型のペンダントを宝石箱に入れ、
地下室に埋めたシーンを病臥の中で見たのだった。

それで、あのときの「幸福のアクセサリー」という言葉を
残したのだ。
そう、恵理の母の過去世はクリスティーヌだった。
そして、まさしく恵理自身の過去世はクレアだったのだ。

恵理は、そう心の中で悟ると、光に包まれた母は、
うなづき、微笑みを返してくれた。
恵理は、少しショックに打たれたかのように、
立ち尽くしていたが、やがて、
ふと、われに返ると、母の姿は消えていた。

恵理は、手にした、銀色の星型のペンダントをみつめた。
また、微かに金色にふわぁーっと光を放った。

外で、クルミが吠えている・・・

隠された慰霊塔の秘密 第5話


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