
第一章 喜劇
「うおぉぉ!!!沙都子ー!!!今日は負けねぞー!!!」
「をほほほ!!いくら足掻いたところで結果は変わりませんわよー!!」
…俺たちは今日も放課後の「部活」で燃えていた。
魅音とレナと梨花ちゃんはとっくに上がってしまい、残ったのは俺と沙都子だけ…
お互い、魅音が用意したとんでもない罰ゲームを回避しようと必死だった。
「くっくっく!!沙都子!!お前の持っているカードは右から1、3、5だな!!」
俺たちがしているゲームはジジ抜き。
ただし、ただのジジ抜きじゃない、部活メンバーは使われてるカードの小さな傷などで
カードの数字を覚えている為、更に高度な騙し合いが必要となるのだ。
「さすが圭一さんですわね。けれど、この私がバカ正直にカードを出しているとお思いですの?」
…確かに。沙都子は魅音も認めるトラップの達人だ…。
例えそれが、カードゲームでも例外はない…。
だがここはあえて、バカ正直になるべきなのだ。
沙都子はバカ正直に出してると思うか?といいながら実際そのまま出していて、裏を掻かせようとしているに違いないからだ…。
「ふっふっふ…沙都子。お前の手の内はわかっている…」
「あら、ならさっさと引いてくださいませんことー?」
ふっ…余裕ぶっているがこの俺は騙せないぜ…
「はぅー…圭一君がにやけてる…なんでかな・・・かな?」
「くっくっく!!いやぁー、この2人の勝負はいつ見ても面白いねー!」
「負けた方には、かぁいそかぁいそのなでなで、勝った方には、ぱちぱちーのなでなでなのですよ。にぱー☆」
外野の声は、もはや俺も沙都子も耳に入っていなかった…
悪いがこのゲーム…勝つのは俺だ!!!
(BGM 見えない何かに怯える夜♪)
「勝負だ沙都子!!」
「望むところでしてよー!!惨めに負けて更に罰ゲームで惨めな目に合うとよろしいですわー!!」
………
………
バカ正直に挑んだ俺は沙都子の裏の裏を掻いたトラップにまんまとはまり、
魅音の用意した「萌えーな衣装をすべて着ける」と言う死ぬほど屈辱的な罰ゲームを味わった…
挙句の果てに、何のつもりか沙都子はそれから俺のことをねーねーと呼ぶようになった…。
続く。