読書日和 ~Topo di biblioteca~

読書日和 ~Topo di biblioteca~

2004.09.07
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カテゴリ: 大好き度120%!!
こんなふうに、胸にじんわり温かいものが染み込んでいく物語と文章が


物語の冒頭。

 「僕の双子の妹たち。
 これまで僕は何度、このフレーズを心の中でつぶやいてきただろう。
 自分でも赤面してしまうほどのいとおしさと慈しみ、あきれるほどの
 独占欲と兄バカをこめて。もちろん、その兄であることの責任感と
 疎ましさをふり払うときに吐き捨てたときもある。…」

僕を「私」、妹を「子ども」と置き換えてみれば、まるきり柊の気持ちを代弁


「柊の双子の子どもたち」というフレーズを
柊自身よく心の中で、使っているような気がします。

双子たち…という言葉のニュアンスの中には、
「自分自身が双子に生まれたかったのに」という羨望の気持ちと
その無茶苦茶強そうな絆に嫉妬してしまう気持ちが含まれてます。
親と子の繋がりより強そうな間柄ってちょっとない。

でも仕方ないのかも。この世に生まれてくる前から、私のお腹の中で
二人は既に出会っていたのだから…。

この物語を読みながら、柊は未来を想像していました。
子どもたちが、二十歳になる頃。

僕と、その双子の妹たちは突然の事故で両親を亡くしてしまうのですが、

その事実を受け止め、向き合うことが出来るようになっていきます。
彼らを元気付ける重要なポイントは、祖父の美味しそうな手料理かな。

柊もいつか、(考えたくないけど)両親を失うときがくるのだろうか。
そのとき、柊は「柊の双子の子どもたち」と何度もそのフレーズを
唱えながら、自分自身を支えようとするんだろうか…。


「僕」の兄なんだけど、保護者めいた気持ちに触発されてしまったみたいです。

これからずっと、繰り返し読み続けていくのだろうな…という予感がしています。
この本は柊にとって、大切な小説になりました







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最終更新日  2004.09.07 18:17:11
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