読書日和　～Topo di biblioteca～

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2005.02.25

『ラッシュライフ』伊坂幸太郎著　読みました。

(10)

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(100573)

カテゴリ：もう一度観たい・読みたい

例えば交響曲を作曲する人の頭の中身はどうなっているのか、って
不思議に思ったことや、著者の言葉を借りれば「神様のレシピ」…って
どんなものなんだろう、ってこと。

多彩、多岐にわたる登場人物たち。
顔をあわせることなく、複雑に係わり合い、すれ違い、交錯する人々。
それなのに「お見事！」としか言いようのないくらいの調和をみせて
ラストには全てが明らかにされ、整理され、びっくりするような纏まりを
みせてくれるのだから読んでいる方は唖然、とするしかありません。

それぞれユニークで印象深いです。
リストラされたサラリーマンと仙台駅周辺をうろつく老犬、
互いの配偶者を殺そうと計画している男女、
父親の自殺をトラウマとして抱えている男と宗教めいた団体の幹部、
定義を重んじる泥棒と…　etc

彼らはそれぞれ駅前にて、「好きな日本語は何ですか？」という
アンケートに答えるのですが、この質問には読んでいる柊自身
考え込んでしまいました…。

（偶然、子供たちに「お母さんの一番好きな漢字は何？」と質問されて
びっくりしました☆）

物語の展開する場所が柊にとって馴染み深い仙台駅、その周辺の

ことが出来ました。
物語の舞台が仙台だと、この物語が柊の知らない、過去にあった出来事
なのか、それともこれから起こる未来の出来事なのでは？という
錯覚めいた印象を持ってしまいます。
（恩田陸さんの『ドミノ』を読んだ時、東京駅周辺に詳しかったらより

伊坂さんの本は作品同士の間でもちょっとしたリンクを見せてくるので
それらの作品を生み出す（世界を作り出す）伊坂さんの頭の中は
一体どうなっているのだろうかと不思議に思えてなりません。

神（創造者）を解体すれば、創造の仕組みが明らかになるのでは
という淡い期待は、恐らく「金の卵を産むめんどり」の童話に風刺される
欲深で愚かな人間の考え方と同じなんだろうなあ…。

参考までに…

「予定調和」…ライプニッツの形而上学の根本原理の一つ。
世界のすべての存在が相互に表現し映し合い、いかに異なり対立するものの
間にも必ず調和が成り立つ（宇宙の普遍的調和）。
これは神があらかじめ普遍的な秩序をこの世界に設定したからである。
世界には秩序をこの世界に設定したからである。
世界には秩序をはずれたもの、不規則なものは一つもない。
この調和によって、例えば独立自全の無数の単子（モナド）が外的な相互作用なしに結合したり、心身が直接の因果関係がないにも関わらず結合する、と説くのである。

(平凡社の世界大百科辞典より)