エンゲージリング第２話
「ふぁ～・・・」
夕食後もずっとビー玉を眺めていたらいつの間にか眠ってしまっていた。
幸いビー玉はずっと握りしめてたみたいで無くなるようなことはなかった。
｢おはよう、コウちゃん｣
私は抱きしめていたクマのぬいぐるみに話しかける。
もちろんこれも孝介くんから貰ったものだ。
貰って以来ずっと一緒に寝ている。
これが本物の孝介くんだったらといつも考えてる。
でも、考えるだけ。
行動は出来てない。
ふと私は、時計を見た。
１０時半。
大分寝てしまったみたい。
彩華はもう起きてるかな？
そう思い私は下に降りた。
「おはようございます。お嬢様」
案の定、彩華はすでに起きていた。
テーブルの上には朝食の準備が出来ている。
しかも出来たてなのか湯気が上がってる。
「お嬢様の部屋から物音がしましたのでそろそろ降りてくるかと思いまして」
なるほど、流石彩華だ。
｢おはよう。じゃあ、いただきます｣
「本日はポーチドサーモンとサラダをご用意致しました。
付け合わせはトースト、スコーンどちらに？」
「トーストをお願い」
｢かしこまりました｣
彩華が厨房の奥に消えていった。
今日は日曜だからこの屋敷には彩華以外誰も従者はいない。
特にすることもないし、彩華がいれば事足りる。
そう思い他の人達には休んでもらっている。
ホントは彩華にも休んでほしいけれど、彩華はなかなか休んでくれない。
体調を崩すようなことはまだないけれどいつ壊すかなんて分からない。
なるべく、無理はさせたくない。
「お嬢様、トーストをお持ちしました」
そう言って彩華はトーストをサラダの横に置く。
｢ありがとう｣
私はトーストに手を伸ばした。
そして小さくちぎって口にいれる。
おいしい。
何故か彩華はパン作りが趣味で私が食べるパンは彩華に作ってもらっている。
その方が健康にいいらしい。
よくはわからないけど・・・。
「焼き加減はいかがでしょうか？」
「ええ、おいしいわ。ありがとう」
「では、私は仕事がありますので。何か用がありましたら呼んでください。食
器はそのままで結構です」
「はい、わかりました」
そのまま彩華は部屋を出ていってしまう。
部屋には私一人、食器と銀食器の当たる音だけが部屋に響き渡る。
こうしてると世界に私しかいない気がしてくる。
孝介くんのいない世界なんて意味ないのに・・・。
「ごちそうさまでした」
彩華は置いていっていいと言ったけれど、流石にそれは気まずくて
私は厨房に置いてから部屋を出ていった。
「ふう・・・」
私はベットに横たわる。
最近・・・というより昨日から何もする気にならない。
宿題も出ていないし問題ないのかもしれないけど。
それでも何か罪悪感みたいなのがある。
何の気なしに窓の外を見る。
するとちょうど孝介くんの部屋の明かりがついた。
今起きたのかな？それともたまたま？
｢聞いてみようかな｣
そう思い私は携帯を取り出しメールを打つ
件名おはよう
もしかして今起きた？
少しそっけない気がしたけど私は送ってみた。
すると１分も経たないうちに返事が返ってきた。
件名Ｒｅおはよう
ああ、そうだけど。よくわかったな
やっぱり・・・。
孝介くんはお寝坊さんだからそんな事じゃないかと思っていた。
でもそんな事どうでもよくて・・。
返信が早かったのが嬉しかった。
件名だって
明かりがついたのが見えたから・・・。
良く眠れた？
少しドキドキしながらメールを送信する。
今度は２分くらい経ってから帰ってきた。
件名そうか
まぁまぁかな。お前は？良く眠れたか？
私は嬉しくなって夢中でメールを返してた。
その後私は孝介くんが昼食を食べるからとメールを打ちきるまで携帯を握りっ
ぱなしだった。
｢そろそろ私も食べようかな｣
ちょうどそう思った時。
「お嬢様、昼食をお持ちしました」
彩華がやってきた。
手にはお盆を持っていて上には二人分の昼食が乗っていた。
たぶん一緒に食べてくれるのだろう。
「ご一緒しても？」
きっと昼食の事だろう。
「ええ、」
断る理由なんてない。
ちょっと話したい事もあるし・・・。
「ごちそうさまでした」｢お粗末さまでした｣
私と彩華は食後の紅茶を飲んでいた。
そろそろ・・かな。
「孝介さんの事ですか？」
「え？」
私が話そうとすると彩華が先に言ってしまった。
何でわかったんだろう？
｢顔に書いてありますよ。それで、何を聞いて欲しいんですか？｣
そんなに私は顔に出やすいのだろうか？
それとも付き合いが長いから？
よくはわからないけど、彩華には敵わない。
「うん、あのね。今週の土曜私の誕生日でしょ？それでみんなが誕生日会をや
ってくれるんだって」
私はゆっくりと紡ぎだす。
「それはそれは・・・。ちゃんと準備しなくては・・」
「それで、孝介くんも来るんだって。それで・・・」
「それでドキドキして、何もやる気が起きないと？」
私が言葉に詰まっていると彩華が続けてくれた。
「うん・・」
竜也君たちが来てくれるのはもちろん嬉しいのだけど、
孝介くんには敵わない。
私には孝介くんがいればそれでいいから。
だから慣れない家事を彩華に教わり始めた。
いつかは必要になると思うから。
孝介くんの食べるものは私が作ってあげたいから。
「もう一度確認しておきます。孝介さんの事が好きなのですよね？」
「それはっ!」
私は彩華の方を見た。ちょうど目が合う。
彩華の目はいつになく真剣な目つきだった。
「そう・・だけど・・・」
そうだけど・・・自分に自信が持てないし・・
振られるのが怖いから何も出来ないでいる。
「なら迷うことなんてないでしょう？伝えればいいのです。お嬢様の気持ちを」
「でも、振られたら!!」
バチン
「え？」
彩華は立ち上がって私の頬を思いっきりぶった。
それは彩華が私に仕え始めてから初めてのことだった。
「それはただ逃げているだけでしょう？
恐れているだけでは何も始まらないのですよ？
告白せずにウジウジするくらいなら告白してしまえばいいでしょう？」
「それは・・・」
確かにそうなのだけど・・・。分かってはいるのだけど・・・。
「はあ・・・それにそのくらいのことで付き合い方を変えるような方じゃない
でしょう？孝介さんは」
「うん・・・」
私の知っている孝介くんは誰にでも優しくて・・・。
誰にでも明るく接していた。
「誕生日会で告白する」
私がそう言うと彩華は
「ならいいのです。先ほどの無礼、お許しください」
と言って部屋を出ていってしまった。
彩華が謝る必要なんてなかったのに・・・。
私が悪かったのに。
でも少しだけ気が楽になった。
彩華には感謝しないと。
「その様子だと覚悟を決めたようですね」
私が夕食のため降りてくるとすでに準備がされていた。
いつも思うのだけどどうしてちょうど出来上がっているのだろう？
「うん、ありがとう。彩華」
私はにっこりと微笑む。
「お嬢様のためなら何なりと・・・」
私は彩華と談笑しながら夕食を食べた。
私は夕食後お風呂に入って、彩華に｢お休み｣とだけ言って部屋に入った。
そして今机に座り日記帳を取り出している。
ゆっくりと書きはじめる。
１１月２１日 日曜日
今日彩華のおかげで覚悟が決まった。
誕生日に孝介くんに告白する。
例えどんな結果になったとしても後悔しないと思う。
だけど、出来るならこの想いが孝介くんに届いて欲しい。
ちゃんと答えてくれるよね？孝介くん
そこまで書いて私は日記帳を閉じる。
そしてベットに横になる。
「おいで、コウちゃん」
私は枕の横に置いてあるコウちゃんを引きよせる。
暖かいなぁ。
孝介くんと一緒だ。
｢お休み。コウちゃん｣
私はコウちゃんを抱いて布団をかぶった。
気がつくと朝日がまぶしかった。
後書き
どうも孝介です
ということでエンゲージリング(仮)第２話
いかがだったでしょうか？
一応説明しておくとコウちゃんは孝介から来てます
それくらいわかる？そうですか・・・。
やっぱり女視線は難しいです
なんせ汚い言葉遣い出来ない。特にお嬢様だし・・・
自分で自分の首絞めてますね
間違いなく
あと(仮)がついているのはまだ題名が決定じゃないからです
これでいいような気もするんですが
なんか気に入らないんで
もしよかったら候補みたいなのを出していただけると助かります
では３話後書きで会いましょう
第３話
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