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ヤミ、闇、病み
夏休み記念 近すぎて遠すぎる
でしょう。
また・・・」
「あちぃ・・・」
俺、須永礼人(スナガレイト)はソファに寝そべってアイスを食べながら
つぶやいた。
夏は暑いものだが今年はいつもより暑い。
そりゃアイスも食べたくなるもの頷けることだ。
そんなことを思いながら黙々とアイスを頬張っている。
「夏なんだから暑いに決まってるでしょ?バカなの?礼人は」
そんなことを言いながらアイスを食べているのが俺の幼馴染の
桐谷志奈(キリタニシナ)。
家が隣同士で家族ぐるめの付き合いというありきたりな話だ。
主にゲームの中での話だが・・・。
「こういう日は素麺でも食べたいな」
口の中がさっぱりして冷たくておいしいに違いない。
よし、今日の昼飯は素麺にしてもらおう。
「自分で作りなさいよ~。叔母さんは今いないんだからね」
「そうでした」
なぜ今親がいなくて幼馴染の志奈がいるかというと・・・。
ただ単にお互いの両親が旅行に出てしまっただけである。
それで一応俺が心配だからと志奈がこっちの家に来て生活している。
初日はどうなるかと思ったが割と何事もなく進んでいき、今に至る。
お互いよく知った仲なので特に遠慮することもないので
意外とこの生活は楽だった。
例年みたいにパンツだけで歩き回ったりはしないようにしてるが・・・。
そういう最低限の気遣いだけで生活していけるというのは楽だった。
向こうも昔からよく来ていたので物の場所は俺より知っているし
不自由はなさそうだった。
まぁ俺と一緒の部屋にいることに不満を感じているらしいが
そのくらいは我慢してもらいたい。
「ああもう仕方ないわね」
いきなり志奈はそう言って立ち上がり
「私も食べたくなったから特別に素麺にしてあげるわよ」
と台所の方に歩いて行った。
「ありがとな?」
素直じゃない言い方だがきっと俺の意見を取り入れてくれたのだろう。
作る側としては何でもいいが一番困るらしいから
まぁ言ってるだけましなはずだ。
「べ、別にあんたのためなんかじゃないだからねっ。私が食べたいだけよ」
これも照れてるだけだ。
付き合いの長さから何となく志奈の本音と建前が分かるようになってきた。
・・・まぁたまに間違えることもあるけれど・・・。
それも昔に比べれば少なくなったというものだ。
志奈の方を見ると鼻歌交じりに鍋を火にかけて色々と準備している。
なんだかんだで楽しんでそうだな。
一応俺の世話役としてここに泊めてしまっているので気になってはいるが
この感じだと気にしなくていいということだろうか?
まぁ志奈の気分は山の天気より変わりやすいからな・・・。
これからも気をつけるとしよう。
しかし・・・
「夏か・・・」
去年はただ家でぼうっとしてただけだったから、今年は志奈とどっかに
行くのも悪くないかもしれないな。
海とかプールとか花火とか縁日とか・・・。
一緒に行けたら楽しいかもしれない。
「お~い志奈」
そう思い俺は早速素麺を茹でている志奈に声をかける。
某お茶CMみたいになったが気にしない。
「人をお茶みたいに呼ばないでくれる?」
どうやら志奈も同じことを思っていたらしく思わず笑ってしまう。
「何一人で笑ってるの?気持ち悪い」
志奈は俺のことを怪訝な目で見ている。
確かに一人で勝手に笑っていたらそう見えてもおかしくない。
「いや気にするな・・・今年はどっかいかないか?」
「どっかってどこよ?」
「たとえば海とか?」
「海は却下、日焼けしちゃうもん」
志奈も女の子ということか。
まぁ俺も行ってもとくにすることなく終わってしまいそうだしな。
しょうがないか。
「じゃあ縁日とか?」
「縁日なんて人だらけじゃない。いやよそんなところ」
またダメだしか・・・
「なら花火は?」
「だって虫がいっぱいいるじゃない」
全滅。
俺のアイディアは底をついた。
「ということで今年は家でごろごろに決定」
俺の努力もむなしくいつもと変わらない夏休みになることが
決定してしまった。
夏は恋の季節なんていうが、そんなの物語の中だけで
実際なんてこんなもんだろう・・・。
「はい、」
そんな話をしているうちに素麺が茹であがったらしい。
素麺をみるとやっぱり涼しくなるな。
「ありがとな」
「べ、別にあんたのためなんかじゃないんだからねっ」
少しそっぽ向きながら言う志奈。
「はいはい、いただきます」
「・・・いただきます・・・」
いつものことなので軽く流し素麺をつゆにつけて口に入れる。
「うまい」
口の中がさっぱりして少しだけ涼しく感じた。
「当り前でしょ?私が作ったんだから」
大げさに胸を張る志奈。
茹でるだけなのだからだれが作っても大して変わらないと思うのだが
突っ込まないことにする。
胸といえば・・・。
大きくなったよな、志奈。
「どこ見てんのよっ!!」
「ぐふぁ」
無意識のうちに見ていたのがばれ、思いっきり殴られる。
しかもちょうど鳩尾の辺りをだ。
殴られた勢いで椅子が倒れ、その拍子で頭をぶつけた。
災難だ。
「いたた・・・」
ぶつかったあたりをさすってみる。
どうやらたんこぶとかは出来ていないようだ。
とりあえず一安心。
「変な目で見るのが悪いのよ」
「悪かったって」
腹のあたりを擦るが一向に痛みが引かない。
クリーンヒットってやつだ、きれいに入ったに違いない。
痛みをこらえながら椅子に座りなおす。
そして箸をとって一口。
うん、素麺は美味い。
もう忘れよう・・・あれは事故だった。
「ってなに忘れようとしてんのよっ」
「うぐっ・・・」
もう一度鳩尾あたりに重い一撃をもらい俺は意識を失った。
なぜ忘れようとしたことがバレたのか、そんなことを考える余裕なんてなかった。
「ん・・・」
あれ?俺はなんで寝ていたんだっけ?
確か・・・だめだ思い出せない。
「くっ・・・」
鳩尾の辺りが痛い・・・なんでだ?
そういえば志奈に殴られたような気がする。
そうかそれで俺は気を失って・・・。
ようやく状況を飲み込んだ俺は時計を見ると・・・。
「6時・・・」
確かあれは12時半くらいのことだったから5時間強くらい寝ていたことになる。
これは俺があまりにひ弱なのか・・・それとも志奈が強いのか・・・
いや、考えまい。
「やっと起きたの?」
後ろから声がするので振り返るとやれやれといった感じで、志奈が
立っていた。
今まで他の部屋にいたのだろうか?
「ああ、たった今起きた」
そう言って立ち上がろうとするが少しよろめいた。
「ちょ、大丈夫?」
「大丈夫。ちょっと目眩がしただけだ」
ずっと寝ていたせいか少し頭がぼうっとする。
一時的なものだろうし気にしなくても大丈夫だろう。
「全く心配させないでよねっ」
確かに志奈の顔には安心したような色が見えた。
「心配してくれたのか?」
「あんたの心配なんてするわけないでしょ?」
とたんにムキになって否定する志奈。
「でもさっき心配させないでって・・・」
「あんたの心配じゃないわよ。このままあんたが起きなかったら
私のせいになるでしょ?それが心配だったのよ」
顔を真っ赤にさせていて、全く説得力のかけらもないがきっと恥ずかしいだけなのだろう・・・
本当はただの照れ隠しだとわかっていたが気付かないふりをした。
「そっか、まぁいいや。悪かったな色々と」
「まったくよ、おかげで予定くるちゃったじゃない」
「悪かったって」
両手を合わせてごめんなさいのポーズをとる。
「そんなんじゃ許さないんだから」
「じゃあどうしたら許してくれる?」
「う~んとね・・・」
志奈は腕組みをしながらあーでもないこうでもないとうろうろしながら考えている。
なかなか思いつかないのかそれとも思いつくことがたくさんあって
一つに決められないのか。
とにかくすごく悩んでいるようだった。
「別に一つじゃなくていいんだぞ?」
どっちで悩んでいるのか分からないが一応言っておく。
不可抗力・・・というか抗えない力が働いたとはいえ悪いのは
俺らしいので責任は取らないとな。
たぶん志奈も無茶なことは言わないだろう。
言わないよね?
「んーっと、何でもいいの?」
志奈が困ったような、でもどこか期待するような目で見てくる。
「まぁ俺に出来ることなら、な。流石に世界の半分とか言われても
俺にはどうしようもできないし」
「そんなの分かってるわよ。じゃあ礼人にできれば何でもいいのね?」
確認するように聞いてくる志奈。
「ああ」
俺はそう答え志奈の方にしっかりと向く。
どうやら決まったらしく何度も頷いている。
「じゃあ・・・水族館に行きたい」
「へ?」
てっきり高いものでも奢らされるのかと思っていたので貯金を下ろさなきゃ
いけないかなぁとか思っていた。
案外普通なので安心した。
「何よ?私に似合わないっていうの?」
「そ、そんなこと言ってないだろ?」
「ちょっとどもったっ!!やっぱり似合わないって思ってるんだ」
「だから思ってないって」
こんなやり取りが志奈が落ち着くまで続けられた。
「じゃあ水族館でいいんだな?」
ようやく志奈が落ち着いたところでもう一度確認する。
「うん・・・」
さっきまでムキになって騒いでたのが恥ずかしいのか少し顔を赤らめている志奈。
普通にこうしていれば素直に可愛いと思えるんだけどな。
「それでいつに・・・「明日」
俺が言い終わらないうちに志奈はそう言った。
「なんか文句あるの?」
「いいえ・・・」
一応お詫びの約束だし、特に明日何かあるわけでもない。
それに言葉にできない威圧感を出されてはそういうしかなかった。
「じゃあ決まりね。よし、夜ごはんでも作るかな」
そう言って志奈はキッチンへと向かっていく。
「俺はテレビでも見てようかな」
そう思いソファに座ろうとするが
「あんたは宿題をやんなさい。去年ギリギリまでやらないで私を手伝わせたの忘れたの?」
ちょっとつり目になって腕を組んでいる志奈。
「そんなの8月になってからやればいいだろ?」
「れ~い~と~」
「はい、宿題やります」
まともや威圧感にやられしぶしぶ俺は宿題をやることにした。
今日やっといてよかったと思える日が来るのは夏休みが終わるころだった。
「ふう・・・ごちそうさま」
手を合わせて俺はそう言った。
「お粗末さまでした」
俺の前で丁寧にも志奈は答えてくれた。
「風呂はどうする?先に入るか?」
自分の分だけでも流しに運んでおく。
他のことをやってもらってるのでせめてこれくらいはしないとな。
まぁ今までもやっていたことなので大して抵抗はなかった。
「洗い物やっちゃいたいから先入っていいわよ」
「分かった」
そう言って俺は一度部屋に戻って準備をしてから、浴室へと向かった。
「う、う~ん・・・」
湯船につかってゆっくりと背伸びをする。
気疲れからか少し肩が凝った気がする。
・・・まぁあんなことがあればな・・・。
しかし志奈と水族館か・・・。
志奈と出掛けるのなんて子供のころぶりだし水族館は基本的に好きじゃないので
どうしようかと悩む。
「やっぱりちゃんと付き合ってやるしかないよなぁ・・・」
あいつの周りたいように周ってやって、あいつが行きたいところに行ってやって
あいつが喜んだら俺も喜んで・・・。
「ってまるでカップルみたいじゃねぇか」
変な方向に思考が言っていたので水面をバシャバシャと叩いて気を紛らわせる。
俺と志奈はそんな関係じゃないんだ・・・。
ただの幼馴染、その先に行くわけない。
「頭冷やそう・・・」
俺は湯船から出て頭から冷水を浴びた。
冬にやったら自殺行為だが、熱くなっている頭を冷やすにはちょうどよかった。
そう、俺と志奈は幼馴染なんだ・・・。
ようやく落ち着いてきたのか思考がまとまってきたので
俺はシャワーを止め、浴槽の淵に腰かけた。
俺は志奈とどうなりたいのだろうか?
ずっと頭をよぎっていて、ずっと見ないふりをしていた考えに目を向ける。
思えば中学の頃から何となく志奈のことが気になっていたような気がする。
でも幼馴染だから、恥ずかしいからその想いから目をそむけていた。
・・・俺は志奈のことが好きなのだろうか?
自分でもよくわからない。
あまりに近くにいすぎたせいで傍にいるのが当たり前になっていた。
でも考えてみれば当り前なことで、いつかは別れが来るのだ。
このままでいれば・・・。
だけど告白したら?
それで志奈もうなずいてくれたら?
もしかしたらもっと一緒にいられるかもしれない。
だけどそれは俺が望んでいることなのか?
「ああ、もう・・・」
頭がこんがらがってきた。
「明日考えよう・・・」
明日志奈と水族館に行って一日を過ごせばきっと何かわかるだろう。
そう思い俺は浴室を後にした。
「ふわぁ・・・」
昨日は妙に緊張してよく眠れなかった。
俺はやっぱり志奈のことを・・・。
「おはよう・・・」
今頃はきっと朝食を作っていると思いリビングに入った時に
そう言ったのだが・・・。
「・・・・・・」
何というか志奈は・・・ぼうっとしていた。
「お~い、志奈?」
もう一度声をかけるが反応がない。
「志奈」
今度は肩を揺らして声をかけてみる。
「あ、まだ起きてたの?」
やっと反応があったけど話がかみ合ってない。
「志奈、今はもうおはようっていう時間だぜ」
「え?・・・あ、ホントだ」
時計を見てやっと今の時間がつかめたらしく少し驚いているようだった。
「まったく・・・いくら楽しみだからって夜更かしするなよな?」
「べ、別に楽しみになんかしてないもんっ」
ほんっと素直じゃない。
まぁ楽しみにしてくれているのだ。
楽しませてやらないとな・・・と思う。
その大前提として俺が楽しまなくてはならない。
だけどそんな心配は全くしていなかった。
「今ご飯作るから・・・ふわぁ・・・」
欠伸を噛み殺しながら志奈はキッチンへと向かっている。
だが足元がおぼつかなくふらふらしている。
「おい、大丈夫か?」
「うん、大丈夫大丈夫」
と言っている間に倒れそうになる。
「っと、全然大丈夫じゃねぇじゃねぇか」
とっさに体が動き志奈の体を抱き抱える形になる。
「ごめん・・・ありがと」
「お、おう・・・」
あの志奈が珍しく素直に謝ってきたのにびっくりしてついきょどってしまった。
しかもなんかしおらしい顔してる。
「一人じゃ大変だろ?俺も手伝うよ」
妙に恥ずかしくて顔も見ずにそう言う。
「でも何ができるっていうのよ?」
「まぁ役には立てるだろ?」
確かに出来ることは少ないが少しは役に立てるはずだ。
「そうね・・・簡単なことを任せましょう」
「バリバリ頼ってくれ」
俺は腕まくりをして軽くガッツポーズを作ったが・・・
「じゃあ礼人が作って?」
「ごめんなさい、軽く頼ってください」
「じゃあ、あれとあれと・・・」
そんなこんなで楽しい朝食作りが始まった。
「ついたー」
水族館を前にして俺は叫ばずにはいられなかった。
「あんたのせいで着くのが遅くなったじゃない」
「ごめんなさい・・・」
あの後、後片付けとかして家を出たのはいいが途中迷子になってしまい
予定より着くのが遅くなってしまった。
志奈はそれにご立腹というわけだ。
「まぁいいわ、入るわよ?」
「へ~い」
少しだけ嬉しそうにしながら歩いて行く志奈を追いかけながら、
まぁこういう顔を見れただけでもここに来た甲斐はあったかなぁと
柄にでもないことを思った俺だった。
「へぇ・・・思ったよりしっかりしてるな」
水族館といわれてもピンとこない俺はどこの水族館に行くかは志奈に選んでもらった。
その結果最近できたらしいここに来ることになったのだ。
最近出来たばっかなだけあって綺麗だし、施設もしっかりしてて
なかなか楽しそうだ。
・・・まぁ人も多いわけなんだけど・・・。
「ひと多いわねぇ・・・」
露骨にいやな声を出す志奈。
でもそう言ってる顔は満更でもなさそうだった。
「とりあえずあの辺からぐるーっと回ってみるか」
いつまでも止まってるわけにもいかないのでとりあえず提案してみる。
「そうね・・・そうしましょう」
しぶしぶ・・・といった感じだが志奈も賛成してくれた。
「ほら、はぐれないように・・・あっ」
つい小さい頃の感覚で手を伸ばして手をつなごうとしてしまった。
俺たちもう高校生だというのに・・・。
昔の習慣とは怖いものだ。
「礼人のくせに生意気ね」
まぁ案の定な反応なわけで・・・。
「でもまぁ・・・」
「ん?」
そこで終ったと思ったセリフにはまだ続きがあって少し驚く。
「どうしてもっていうなら繋いであげなくもないわ」
上から目線なセリフにしては志奈の顔は赤いし少しもじもじしている。
これは照れ隠し・・・なのか?
言葉は否定、反応は肯定・・・っぽい。
「ああ、どうしてもだよ」
そう言って俺は志奈の手をとる。
「なら・・・仕方ないわね」
少し顔をそむけてしょうがないから・・・みたいな顔をしている。
でも握っているその手は、冷房のせいというには冷たすぎた。
「それじゃ行こうか?」
「うん・・・ってえぇ?」
俺は返事も聞かず志奈の手を引っ張っていった。
少し回ってみただけでも色々とあった。
すごく大きい水槽の中に数えきれないくらいの色々な種類の魚がいたり
トンネル状に水槽が作られていてその中を通れたり
他にもたくさんの工夫があって水族館とかそういうのが苦手な俺でも楽しめそうだった。
それにしても・・・。
「多いな・・・」
「え?ああ、確かにひと多いわよね・・・。出来たてだとしても」
俺の言葉に反応して返してくれる志奈。
だが俺が言いたいのはそんなことじゃなかった。
人が多いのはあっていて間違っている。
確かに人は多いのだ。
・・・手をつないでいるカップルが。
出来たばっかりということでデートにはもってこいなのだろうけど
これは流石に多すぎじゃないか?
どの方向を見ても必ずカップルの姿が目に入ってしまう。
普通だったら特に気にならないのだろうけど今は志奈と手をつないでいる。
無意識のうちにやってしまった行動だけど意識してみると凄く恥ずかしい。
周りからはどう見えているのだろうか?
「おっと・・・」
ずっと黙って考えていたせいで周りが見えていなかったらしい。
もう少しで柱にぶつかるところだった。
「礼人?どうかしたの?」
心配してくれたのか志奈は俺の顔を覗き込んできた。
「いや、大丈夫・・・ちょっと考え事しちゃっただけだから」
「そう?ならいいけど・・・」
俺の言葉が完全には信じられていないのかまだ志奈は心配そうな顔をしていた。
「ほら、もうすぐイルカショー始まるってよ。見に行こうぜ?」
俺は少し強引に志奈の手を引いた。
今は考えるのはやめよう・・・今は楽しめばいいんだ。
志奈と過ごす“今”を・・・。
「え?、ちょ、待ってよ・・・」
いきなりの行動に反応しきれてない志奈。
今日は志奈を連れまわしてばっかだな・・・。
もともと謝罪(?)のために来たというのに俺の方が楽しんでしまってる。
まぁ志奈も楽しんでるようだし、いい・・・のかな?
「いや~遊んだ遊んだ」
帰り道、なぜか家に帰りたくなくてちょっと遠回りして土手の方に来た。
そう言った時に反対されると思ったけど以外にも志奈は許してくれた。
朝早くから行ったというのにもう夕方になっていた。
朝ちょっと遅れたのを抜きにしても凄く早く感じた。
太陽はもう沈みそうで、周りを真っ赤に染めながら今もゆっくりと沈んでいっている。
太陽の反対側を見ればもう夜は来ていて、優しい闇が辺りを包み始めていた。
伝えるなら今しかない。
今を逃せばきっと言えないままになってしまう。
今日ずっと一緒に志奈と過ごして気付いた感情を、
今こそ伝えなければならない。
「あのさ・・・」「あのね・・・」
二人同時に話し始めてしまいどうしていいか分からず数秒の沈黙が訪れる。
「先に言えよ。レディーファーストってやつだ。」
少し焦っているのか柄にでもない事を言ってしまった。
「あんたが先に言いなさいよ、男でしょ?」
志奈も顔を真っ赤にさせている。
でもきっとそんなことを言ったら夕焼けのせいだというんだろうな・・・。
「じゃあ俺から言うぞ?」
「早くしてよね。待ってあげてるんだから」
ゆっくりと一度深呼吸をして心を落ち着かせる。
・・・よし、落ち着いた。
「今日一緒に志奈と水族館に行って、久々にたくさん話してさ・・・」
まとまらない気持ちを何とかまとめて言葉にして俺は少しずつ話しだす。
今の気持ちが志奈に伝わるようにと・・・。
「色んなもの見て、こうやって歩いてやっと気づいたんだ・・・」
今の気持ちを、志奈に伝えたい!!
「俺は・・・」
伝えなきゃ。
「志奈のことが・・・」
伝える。
「すk「ちょっと待って!!」
俺が勇気を振り絞って伝えようとした時に志奈に止められる。
「ちょっと待って・・・その・・・心の準備が・・・」
いつもの志奈らしくなくきょどってる。
でも・・・。
心の準備なんて知るかっ
「俺は志奈のことが好きだっ!!」
「っ!!」
数秒の沈黙。
俺は黙って志奈がしゃべるのを待つ。
出来ることは、すべてやった。
後は待つだけだ。
「ばか・・・」
「え?」
志奈が何かを言ったのは分かったが何て言ったのか分からず聞き返してしまう。
「バカって言ったのよ!!私は・・・私は・・・ずっとあんたのことがっ!!」
そこで自分を落ち着かせるように一呼吸置く志奈。
「あんたのことが、す、す・・・す・・・」
なかなか「す」の後から先を言えないでいる志奈。
その先は言わなくてもわかる・・・と自惚れてもいいのだろうか?
「あんたのことが、す、す・・・す・・・」
「もういいよ・・・」
「え?、っ!!」
俺はずっと「す」の先を言えないでいる志奈を強く抱きしめた。
最初は体が硬かったけど少しして志奈は俺に体を預けてきた。
「ごめんな、今まで気づけなくて・・・」
「ほんとよ、でも・・・先に言ってくれたから、許してあげるわ」
俺の腕の中でぷんすかしてる志奈。
「ありがとな、許してくれて」
「その代わり・・・キスして・・・」
「ん?何て言ったの?」
本当は聞こえていたけど聞こえないふりをした。
照れている志奈が可愛くて・・・もうちょっとだけ見ていたかった。
「だから・・・その・・・っ!!」
三度目のいじわる。
俺はいきなり志奈に・・・キスをした。
時間は分からない。
ほんの数秒だったかもしれない。
もしかしたら輝くような一カ月だったかもしれない。
覚えていることといえば、驚いている志奈の顔と・・・。
柔らかい志奈の唇の感触だけだった。
そして俺がゆっくりと唇を離すと顔を真っ赤にして全く説得力のなく
「ばか・・・」
と言われた。
「そうだよ、俺はバカだよ」
そうやって笑ってみせると・・・。
「そうね・・・だから私が世話してあげなくちゃ」
と志奈も笑ってそう言った。
「さ、帰ろっか?」
そう言って手を差し伸べると
「うんっ!!」
手を握って、握り返してくれた。
もう太陽は沈んで、辺りは真っ暗だけれども、
俺には今までのどんな道より輝いて見えた。
あとがき
どうも孝介です
夏休みに入ったということで一応記念作品です
いかがだったでしょうか?
無難でありがちな設定ばかりだと自分でも思いますww
まぁ王道っていう言葉もあるくらいですからたまにはこういうのもね
今回ツンデレ幼馴染というこれぞギャルゲなヒロインにしてみましたが
すごく失敗した感がある・・・
やっぱりヤンデレの方が向いてるみたいですね
ここまで読んでくださった方ありがとうございます
他の作品も読んでくださると嬉しいです
誤字脱字あったら指摘お願いします
感想、頂けたら嬉しいです
では、また他の作品で・・・
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