風の吹くまま 気の向くまま

風の吹くまま 気の向くまま

東野圭吾

『予知夢』

『容疑者xの献身』

『殺人現場は雲の上』

 東野圭吾さんの小説は、初期の『学生街の殺人』『卒業』と、『悪意』がおすすめなんですが、こういう軽く読める小説も好きです。

 航空会社客室乗務員の、エー子とビー子が活躍するユーモア推理小説。このころは客室乗務員よりもスチュワーデスという呼び方が一般的でしたね。7つの短編が入っています。
 東大中退歴あり、何事もトップでクリアしてきた才色兼備、仕事の信頼も厚いエー子。正反対に、からだも顔も丸く、何をやってもビリだったけれど落ち込むことを知らないビー子。不思議なことにこの二人はとても仲がよく、一緒に住んでいたりする。その二人が仕事中に巻き込まれる事件。大きな事件ではないけれど、きちんと解決されてほっとするのでした。
 好きなのは、ビー子が「赤ん坊はいやだ」と言いながらもその世話に奔走する姿が心に残った「忘れ物にご注意ください」。

『怪しい人びと』

 こちらも7つの短編が集められていて、主人公はそれぞれちがう、「俺」とか「私」とかの一人称で語られています。
 印象に残ったのは、後妻が前妻の娘を殺したのではないかと疑い、新婚旅行で殺そうとする夫の話「甘いはずなのに」。老夫婦の存在がとてもいい。
 また、笑っていいのかなんなのかわからないけど違った意味で印象に残ったのが「灯台にて」。

 いずれも後味すっきり、ちょっとした息抜きに読める作品です。


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