カフェ・ヒラカワ店主軽薄

カフェ・ヒラカワ店主軽薄

2007.01.12
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カテゴリ: ヒラカワの日常
なんか、西のほうでウチダくんがぷるぷると怒っているらしい。
しかし、ウチダくんとはどうして、こう
ものを考えるタイミングが一致ししゃうんだろうか。
俺も、丁度先日、同じようなことを書いたばかりなのである。
ひとつは、現在書き下ろしている『株式会社という病』に書いたこと。
こんなふうにね。

「もの言う株主として、敵対的な株式買収で名を馳せ、証券取引法違反の疑いで逮捕されることになった村上ファンドの村上世彰氏は、逮捕直前の記者会見で、「皆さん、お金儲けは悪いことですか」と叫んでいた。ここにひとつの現代の特徴が現れている。私の記憶違いでなければ、会見ではその後、記者が小さな声で「いや別に悪くはないですけれど」と言っていた。これに対して私ならこう答える。「お金儲けは悪いことじゃない。しかし、お金儲けは悪いことですかと私に聞くのは良いことではない。それは問いではなく、自らの行為を正当化したいだけのエクスキューズであり、同時にお前だってお金儲けはしたいんじゃないのかという恫喝でしかないからである。」
誰だってお金儲けはしたい。しかし、そのことと、それを公言してお金儲けこそが正義だと思うこととは決定的に違う。かれは自分がお金を儲けすぎたから、やっかみによって足をすくわれたと思いたがっているが実際はそうではない。ひとは自らの才覚と努力によってどんなにお金儲けしようが、賞賛されこそすれ嫌悪とやっかみの対象になることはない。法の範囲の中でフェアな取り引きをしていれば、あらぬ嫌疑を受けることもまたないだろう。
札びらの威力によって、ひとの触れてはいけない部分を蹂躙したときに、ひとはかれを憎悪するのである。「触れてはいけない部分」とは微妙な言い方であるが、判りやすく言えば本来商品でないものを、お金のちからによって売り買いするということである。お金とは本来、商品の前では万能であるが、もともと商品ではない人間の精神的な領域、つまりは義理や人情、友愛や意地の前では無力であるべきなのだ。」


それは、こんなことね。
ちょっと、フライングだけど。(芳賀さんに怒られるかな)

「七十年代から八十年代にかけて、都会には、これぞ「あいだ」と思わせる喫茶店があちこちにあった。渋谷には「名曲喫茶ライオン」と「らんぶる」、新宿には「スカラ座」、高田の馬場に行けば「あらえびす」、神田には「ショパン」、荻窪には「みゅすか」といった具合である。そのドアを開けると、モーツアルトやショパンの名曲が程よいボリュームで流れており、床は板ばりで、テーブルとテーブルの間には十分なスペースがあった。客はたいてい本を読むか、居眠りをしている。間違っても、そこで仕事の伝票を広げたり、競馬新聞に赤鉛筆で印をつけているような客はいなかった。学生は下宿を出て、大学に向かう「あいだ」にこの「喫茶店」に入り浸り、サラリーマンは仕事と仕事の「あいだ」にここに避難してきた。テーブルに就いて紫煙をくゆらせている面々の顔つきには一様に、説明できない不思議な表情が浮かんでいた。あれは何だったのだろうか。オンとオフというのとも少し違う。人間は、会社や家庭、学校や、役所に属することで自分と自分の家族を養っている。オフになるのは勿論自分の家のソファやベッドの上である。喫茶店は、あえて言えばオンとオフのあいだにある避難場所であり、アジール=逃れの町であった。ひとは、そのアジールに逃げ込むことで、仕事場でも家庭でも見つけることのできない何かを回復していたのかも知れない。不思議な顔とは自分が自分と対話しているときに浮かべる表情だったのかも知れない。テレビに「二十四時間働けますか」という栄養ドリンクのコマーシャルが流れてきたのはそれからほどなくしてからだった。そして街からポツリポツリと喫茶店が姿を消していった。」

で、どこがウチダくんとシンクロしているのかと言うと、
前段の
「お前だってお金儲けはしたいんじゃないのかという恫喝でしかない」というところと、
後段の
「喫茶店は、あえて言えばオンとオフのあいだにある避難場所であり、アジール=逃れの町であった。ひとは、そのアジールに逃げ込むことで、仕事場でも家庭でも見つけることのできない何かを回復していたのかも知れない。」
というところ。

てことは、俺もこのところ、ぷるぷると怒っているということだ。
爺の怒りを甘く見ちゃいけねぇよ。若いの。





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最終更新日  2007.01.12 22:14:33
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