◆ラテン旦那と大和撫子妻◆

返品&値切りの鬼



私は彼を、「返品&値切りの鬼」と呼んでいる。

<エピソード1>
あれは私達が日本からフロリダに移住して8ヶ月が経った頃。
旦那がニューヨークに転勤が決定し、引越しをする事になったんです。
憧れのNY転勤に喜んだのもつかの間、転勤決定後にNY入りして決めて来た新居のアパートメントは、今の家よりもかなり狭くて,ダイニングテーブルのセットはどう考えても部屋に入りきらないんです。
う~~~ん、困った! どうしたら良いんだ。
2人で悩んでいると、

「そうだ!」と、何か良い案が浮かんだようです。

旦那:「このダイニングルームセットを返品すりゃー良いんじゃないか!」って言い出したんです。

私:「何言ってんの~!もう8ヶ月も経っちゃってんのよ!返品なんて出来るわけ無いでしょうー!」

旦那:「大丈夫、任せておけって」
って、ニヤニヤしてるんです。

次の日家具屋さんへTELをして、責任者の人と暫く話をしていました。

その後キッチンに居た私の所へ来て、

旦那:「返品OKだってさ! 明後日2時頃に引き取りに来るらしいからどこにも出掛けないで家に居てよ」

え!本当に返品出来るの?
お金少しは取られるんじゃないの?
どうやって交渉したの?

旦那:「だから任せておけって言ったでしょ」
WINKしてパクパクご飯を食べ始めた。

私にそんな事は出来ないわ......。
幾らなんでも図々しすぎる!日本人の感覚ではまずあり得ないですよね。

涼しい顔でご飯を食べている彼の横顔を見ていて、
私は旦那が少し怖くなった。

<エピソード2>
これもフロリダの頃。
旦那が買って来た掃除機がいまいち使いずらくて、旦那に苦情を言いました。

私:「悪いんだけどこれ、音はでかいし重くって掃除機かけるのが大変だわ」

旦那:「OK,じゃー今から違うのと交換してくるよ。」

でももう買ってから3ヶ月は軽く越してます。

私:「無理だよー。3ヶ月以上越してるんだよ。それにレシートだってもう無いよ。」

旦那:「大丈夫だよ、そんな事。気にしないの!」
と言って、ごみがいっぱい入ったままの掃除機を持って、いとも簡単に別のと交換して来ました。

そしてその後3週間程が経ち、
旦那が、交換して来た新しい掃除機をかけていて一言。

旦那:「う~ん。この掃除機いまいちだめだなー。
違うのと替えてくるわ。」

そう言って、またごみが入ったままの掃除機を持って行って、別のと交換して来た。

(何なのこの人。

私が店員だったら、絶対お客にしたくない奴だわ。)

益々旦那を見る目が変わって行った。

<エピソード3>
ニューヨークのマンハッタンからロングアイランドへ引越しをし、新居の古いバスルームを改装する事にした。

早速彼は業者とコンタクトを取り、責任者が訪ねて来た。
バスルームをチェックし、estimate(見積もり)を出してもらった。

値段を見た旦那、すごく怖い顔でその人と交渉を始めた。

相手は真っ赤な顔をして怒り出した。(いつもの事)

そして彼は帰って行った。
私旦那が交渉をしている時は、なるべく傍に居たくないんです。
脇で聞いてて、旦那がどう考えたって無理な要求を言ったりするでしょう。
私いつの間にか交渉相手の立場になっちゃってて、哀れになって来ちゃうんですよね。白熱してくると、もうその場には居られない!
だから私は全然交渉向きじゃないんです。(笑)

旦那に言わせれば、
“お金を払うのはこっちなんだから、言うことは言わないと”なんですね。
ある程度なら言えるけど、旦那のように図々しくはなれない。

もし私が交渉専門の仕事につく事になったとしたら、絶対無理だわ。いくらセミナーやトレーニングを受けたって、やれないと思うなー。

こういうの、個人の性格って関係してると思うんですけど、どう思います?

話はまたそれてしまったんだけど、その後実際に工事作業をする責任者が来た。
彼らは所謂出稼ぎの人達。
見るからにラテン圏出身。

旦那はニコニコと親しげに彼らと握手をし、スペイン語で色々話を仕出した。

結局、改装に必要な品、(バスルームの壁と床のタイル、便器、タオル掛けなどの様々な装飾品、色々)は業者に任せて買わせるのではなく、自分で買い求めたものを使ってもらう
事になった。

これは今だから言えるけど、怒って帰っちゃった責任者(アメリカ人)には内緒です。
これがもしばれちゃったら、出稼ぎの作業員の人達の首が危うくなるんです。
旦那は自分で品物を購入すれば、かなり金額が浮く事を計算して、代わりに彼らに報酬を内緒で与える約束をしたらしいんです。

もうひとつの条件は、改装作業を1週間で終わらせる事。
それ以上経過した場合総額の中から1日につき、$300ずつ差し引きされる。などの細かい契約書を作成して下請け業者の人とサインを交わしました。

作業員達は毎日、朝から夜遅くまで働き、1週間ぎりぎりで終わらせました。
少ない予算で信じられないくらい立派に改装されました。
しかも1週間で。
近所のお婆さんは、自宅のバスルームの改装に1ヶ月もかかったって言って、驚いていました。

出来上がったことを聞きつけた、この間怒って帰って行った彼が、バスルームを見てみたいと言って訪ねてきました。

旦那は仕事で居なかったので、根掘り葉掘り聞かれたら嫌だな~って、内心ヒヤヒヤ。

バスルームを見て彼は、

「素晴らしい!」を連発。感心している模様。

そして彼は、
「お願いがあるんだけど、このバスルームの写真を是非撮らせてくれないかな?」

私:「え、どうしてですか?」

アメ男「このバスルームの写真を、うちの宣伝パンフレットに使いたいなと思って、no problemでしょう?」

私:「旦那に聞いてみないと分からないわ」

その人眉をしかめて、
アメ男「いいじゃない、ちょっとだけだから」
私:「嫌、だめです。ちょっと待ってください。今連絡取りますから」

電話を旦那に替わって、彼は話をし出した。

1分もしないうちに、彼は大笑いをし出した。

そして私にしゃくりあげながら、受話器を私によこすと、

アメ男:「あんたの旦那は、CRAZYだ。
こんな男見たこと無いよ。  
一体彼は私に何て言ったと思う?

写真1枚につき、$500だってさ~!
あ~はっはっはっはっ~~~~」

私はどういう顔をして良いか分からなかった。
複雑な心境。

一緒に彼と大笑いをして良いものなのかー。

取り合えず、「そうなんですかー。」と言って受話器を持ったままその場で引きつってしまった。

彼は帰り際に「旦那さんに、うちへ来て働かないか?って言っといてくれ。」

と言い残して帰って行きました。

とまあ、今回はこの辺にしておきますが、数を挙げれば限が無いです。

はあ~~~。

どなたか、このような旦那相手に夫婦喧嘩する私の身になってもらえないでしょうか?

口じゃーまず勝てません! 

いつも押し通されてしまってます(笑)
何か良い方法は無いでしょうか~~~?

とほほほ.......。






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