2005年6月8日




時間は一秒ずつ、確実に進みます。
時が流れれば、状況も環境も変わる。
いつまでも、そのままでい続けることはない。
止まっていた線路上の時間が、動き始めました。

複数のヘリコプターのホバリングの下、
目の前をゆっくり、ゆっくり踏みしめていくように、
電車が進んで行きました。
なぜか涙が止まらなかった。
なんの涙なのかわかんなかった。
悲しいとか、嬉しいとか、感情は何もなくって、
電車が線路の上を走っていく、
当たり前のことが当たり前でなくなった日から、
今日までのことを考えていました。

“あの日”。
月に一度くらいしか立ち寄らないその時間と場所で、
目の前を走り抜ける電車を見送りました。
いつもと違う・・・?って、なんか気になって、
足を止めてじっ・・・と見送りました。

それは、しばらく後でテレビに映し出された電車でした。
目の前を走ってた電車が、形を変えていました。

心配してくれたお友だちが、「乗ってないよね?」
ってメールをくれました。
あわてて、急いで返信しました。

その日は、ぼ~~っとしたまま過ごしました。
スーパーへ行っても、うろうろ、ぐるぐる回ってばかりで、
1時間歩き回っても、カゴの中はからっぽのままでした。

電話をくれたお友達には、興奮したカンジで話してました。
しゃべりながら、受話器を持つ手が震えていました。
でも電話を切ると、またぼ~~っとしてしまう。

ご飯も作れないし、お腹も空きませんでした。
どうしても、あの電車がはっきりとよみがえってきて、
消したいけど、無理やり思い出そうとしてもいました。

メールで励ましてもらったり、電話で話を聞いてもらったり、
そんな中、自分は直接の被害者じゃないのに、
なんでこんなにぐだぐだやってるんだろうって、
申し訳ない気持ちと情けない気持ちで一杯になっていきました。

自分を責めながら、日記の更新をしました。

何日かして、録画予約して見てなかったドラマ、
『エンジン』を見ました。
ホームの子供たちが無心に、一心にごはんを食べてるシーンで、
なにかが外れて、思いっきり泣きました。
ホントにバカみたいに、子供みたいに声をあげて大泣きしました。

今回のことで、想像もできないほどの体験をされた方が
ご家族も含めてたくさんいらっしゃいます。
ここで表現している私は、ほんとにまったくの部外者です。
こんなに早く、ココロの内を吐き出せるんだから、
なんにも影響を受けていないに等しい状況にいます。

あれだけの事故があったこと、
脳裏から離れないあの電車の姿を、
消し去りたいと思ったこともありました。
でも、元の日常に戻っている私は
少なくとも忘れることだけはしちゃいけないって
考えるようになりました。

フラッシュバックする、あの日の走り抜ける電車も、
消そうとしないでしっかり、すみずみまで思い出すようにしました。

こういう内容の日記を公開していいのか、
不安だし怖いです。
誰もが目にするものだから、
どういう風に映るのかわからないし・・・。
でも、自分の心の変化を残しておきたいと思ったので。
状況によっては削除することもあります。
どうかわかってやってください。

多分、日記を始めてからイチバンの重た~~い内容ですね。
でももちろん今は元気です!
っていうか、甘えてらんないもんね!
毎日大切に過ごす。 それだけです。
そして、忘れない・・・。


               2005年6月8日


つづき。




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