~11~






  よりによって、珍しく忙しすぎる日が続く。

  ヒマな時はめちゃくちゃヒマなんだけど・・・。

  おまけにまいちゃんは働くおねえさんだし。
  半日あっても、彼女が仕事だと会うことができない。

  早朝や真夜中に、部屋を訪ねることができるほどの仲でもないし。
  そのぶんケータイはフル稼働で、ヒマさえあればピコピコやってた。

  公園でコクった日から、もう1週間過ぎた。

  そのあいだに一度だけ、彼女の昼休みに合わせてカフェで会ったきり。

  今は、まいちゃんの声を一日の終わりに聞くことだけが楽しみで。
  会えない日が続くほど、寂しい気持ちが膨らみ続ける・・・。


  その日はスタジオ撮りで、待ち時間も長かった。
  楽屋に誰もいなくなって、ケータイで彼女に電話する。

   「まいちゃん?」
   「相葉くん、お仕事終わった?」
   「う~ん・・・まだ。 夜中までかかりそう・・・。」
   「そう・・・たいへんだね・・・。」

   「あ、今日のテレビ、見てくれた?」
   「うん・・・ホントに、出てたね~。」
   「だろ? 信じてくれる?」
   「ウソだなんて思ってないよ~・・・。」
   「ごめ~ん・・・。」

   「・・・もう、ドキドキしちゃった~。」
   「え~~っ!? どこが? なんかヘンだった!?」
   「緊張しちゃって・・・。」
   「なんでまいちゃんが緊張すんだよ~!」
   「だって、知ってるひとがテレビに出てるんだもん。」
   「・・・“知ってるひと”かよ~・・・。」
   「え? おかしい?」
   「う~ん・・・、ま、いっか!
    でもさ、あれは仕事だからさ、割り切って見て!」
   「え? いつもの相葉くんとおんなじだったよ。」
   「あ~、そうだよな。 歌番組じゃないし・・・。」

   「でも、かっこよかったよ。」
   「へへっ。」

   「おもしろかったし。」
   「あはは~。」

   「ステキでした・・・!」
   「ほへへ~・・・。」

  イスから半分滑り落ちながらデレデレしてると、

    バシッ!!

   「いてっ!!」

  真上から頭を叩かれて、体勢を崩してイスから滑り落ちてしまった・・・。

   「な、なにすんだよっ!!」

  ケータイを片手にイスに座りなおしながら見上げると、
  ニノが仁王立ちでにらみつけていた。

   「シャキッとせんか! シャキッと!!」

  いきなりケータイを取り上げられた。

   「ちょ、ちょっと! 待てよっ!!」

   「あ、まいちゃん? こんばんは!
    はじめまして! にのみやと申します・・・!」
   「返せよっ!!」

  片手で押さえ込まれたまま・・・。

  鍛えてないくせに、こういう時、チカラではニノに負けてしまう。
  リーダーを持ち上げたりするしね。

   「そうそう、・・・・・あ~、はいはい。
    ・・・・・うん、・・・だよね~~!!
    で、うちの相葉はどんなです? 使い勝手はよろしいですか?
    ・・・・・、え~~~っ!? ウソ! それウソ!!
    ・・・うん! だまされてるっ!
    まぁそのうちわかるから!
    泣かされたらボクに相談してねっ!!」

   「いーかげんにしろって!!」

  やっと取り返した。

  ニノがウヒャウヒャ笑いながら踊ってる。

  アセッてケータイを耳に当てた。

   「なっ、なに話してたのっ!?」
   「・・・ふふっ、なんでもないよ。」
   「もーーーっ!! 気になるーっ!!
    なにがだまされてるって~!?」
   「ナイショですっ。」

   「いーよもうっ!! ニノのやつ~~!!」

   「あ、そうだ、報告したいことがあったんだ・・・。」
   「えっ? なに?」
   「前に見てもらったプラネタリウムの・・・、プログラム。」
   「あ~・・・。」
   「決まったの。 クリスマスまでメインで上映してもらえるって・・・!」
   「え~~っ!? すっげーじゃん! おめでと~~~っ!!」
   「ありがとう・・・! こないだよりもっとステキになってるから。
    いちど観に来てね・・・。」
   「うんうん! ゼッタイ!!」

   「これからまた準備で忙しくなるけどね・・・。」
   「お互いさまだよな・・・。」

   「うん・・・、がんばんなきゃね。」

   「・・・あ~、な~んかどっか遊びに行きてーなぁ~~。」
   「・・・うん。」

   「あ、あのさ、ヒマな時はすっげーヒマだから!
    今はホントに特別なんだから・・・。 ホントごめんっ!!」
   「謝らなくっていいのに・・・。
    ホントにお互いさまなんだから・・・。」

   「・・・あのさぁ~・・・。」
   「・・・うん。」

  夜中に仕事終わってから会いに行ってもいいかな・・・。

  ・・・けど、夜中はまだマズイだろ。
  じゃあ、夜遅くってことだったら・・・?
  だいたい何時くらいまでだったらオッケーなんだろ・・・?

  考えながら、自分でもおかしかった。 キャラじゃないじゃん。

   「・・・ん~・・・、なんでもない。」
   「・・・どうしたの?」

   「ごめん。 ホントに今だけだから・・・。」
   「わかってるって・・・。 私だって仕事してるんだから、
    そんなことわかってるって・・・!」
   「・・・うん。」

   「なんか暗いよ~、相葉くん。 なにかあったの?」
   「・・・なにも、あってない。」

   「・・・? ふふっ、あってない?」

  やさしく笑うまいちゃんの声。 どんな笑顔なんだろう。

  身近なひとになったはずなのに、遠く感じてしかたない。

  コクったとき、いきなり抱きしめたりしたことがすごく昔のようで、
  夢を見てたんじゃないかと思ってしまう。

   「うん、あってないよ。」

   「・・・会いに、来ていいよ・・・。」
   「えっ?」

   「・・・いつでも・・・。」
   「まいちゃん・・・。」

   「いいのに・・・。」
   「・・・いつでもって・・・、いつ?」
   「それは・・・わかんないけど・・・。
    ダメだったらダメって言うから~・・・。」
   「あ、そっか~・・・。」

   「・・・ヘンなの・・・。」
   「・・・うん、ヘンだな、オレ・・・。」

   「げんき?」
   「うん、げんき。」

   「会おうね、いつでも・・・。」
   「うん。」

   「あ、でも車飛び降りるのはやめてよね・・・!」
   「あははっ! もうやんねーよっ!
    フツーに行くから・・・!」
   「ふつう?」
   「そう! 常識の範囲内!」
   「・・・よくわかんない~・・・。」

   「もーとにかくっ! おどかしてやるよっ!」
   「ふふっ、たのしみ~・・・。」

   「サプライズゲストだからなっ!!」
   「・・・・・?」

  肩を突付かれてふと横を見ると、ニノが笑ってうなずいた。
  さっきまでのゆるいカンジじゃなくって、すっかり準備が出来上がっていた。

   「あ、ごめん、時間だから。」
   「うん、行ってらっしゃい・・・!」
   「行ってきます!」

  ケータイを閉じる。

  ジャケットに袖を通して、ニノとふたりで楽屋を出た。

   「相葉ちゃん、キャラ変え?」
   「はぁ?」

   「な~んかセツナそうだも~ん・・・!」
   「えっ・・・、だってさ・・・、今びみょ~なんだよっ。」

   「あーそっか。 今だけか~・・・。
    うんうん、びみょ~な時期過ぎたら、やりたい放題だもんな~。」
   「なんだよそれ!」

   「でもさ、彼女とだったらず~っとびみょ~なままなんじゃない?」
   「どーいう意味だよっ!」

   「ちょっと、マイナスイメージで取るなよなっ!」
   「わっかんねーよっ! その遠まわしな言い方っ!」

   「ホントはわかってるくせに~・・・。」
   「・・・・・。」

   「いいよなぁ~・・・、癒し系・・・。
    相葉ちゃんもトシとったってコトですかね。 今度会わせてよ!」
   「やだよっ! 誰にも会わせねーからなっ。
    あぶねーに決まってんじゃん! 希少価値なんだからっ!」

   「ふぅ~~ん・・・。 たぶんオレの好みなんだろーなぁ~・・・。」
   「ばーか! そんなんゼッタイ会わせるわけにはいきませーん!」

   「いいよ、今度見に行くから。」
   「テキトーなこと言うなよ!」

   「だってあの駅の近くのプラネタリウムのおねえさんだろ?」
   「あっ・・・!」
   「へへへ~・・・。」

   「ひとりで行くなよなっ! 同伴するから! 同伴っ!!」
   「な~にムキになってんだよっ!」
   「ヤな予感すんだよっ。 また余計なコトしゃべるんだろっ!
    ヒトの彼女にちょっかい出すくらいなら
    自分の彼女楽しませてやれよっ!!」

   「・・・・・。」
   「・・・えっ?」

  言葉が返ってこなかったのに拍子抜けしてニノの横顔を見た。

  苦笑いしてた。 ちょっと言い過ぎたかな・・・。


  スタジオのドアが見えてきた。

  もう一度、襟を立ててジャケットの裾を引っ張って整える。

  横目で見たニノの表情から笑顔が消えていた。

  ちょっとだけ心に引っかかったけど、
  何も言えずに、そのまま重いドアを開けた・・・。


  次の日、仕事が終わったのはもう明け方近くだった。

  午後からスポンサーのイベントがある。
  打ち合わせとリハで昼前から集まらないといけないから
  家に帰って寝られるほどの時間もない。

  誰かの家に泊めてもらおっかな・・・。

  ふと、まいちゃんの顔が浮かんだけど、彼女は朝から仕事だし・・・。
  って、彼女の部屋なんか行ったことないくせに。
  場所さえも知らないし・・・。

   「おつかれぇ~~~・・・。」

  ニノが寄りかかってきた。

   「あ~、もー寝る・・・。」
   「彼女んとこ行くの?」
   「はぁ~? 行けるわけねーじゃん。」
   「またまたぁ~。」   
   「家知らねーもん。」

   「はぁ? ほんっとにびみょ~だな、おまえら!」
   「それ言うなって~・・・。」

   「あれから会ったの?」
   「昼間に一回、メシ食っただけ・・・。」
   「キッツイなぁ~、それ・・・。」

   「お互いマジメにお仕事してますから。」
   「だいじょうぶかぁ~?」
   「うん・・・。・・・だいじょーぶに決まってんじゃん!!」

  明るく行ったけど、ホントにどうなるんだろう・・・?
  こんなんで付き合ってるっていえるのか?
  メル友復活!! なんてことになってしまう・・・。

   「そーだ!! 今日のイベント、夜の部なら来れるんじゃない?彼女。」
   「え?」
   「なんとか入れてもらえるでしょ、ひとりやふたり。」

  寝かかってた目が一気に覚めた。

   「・・・そんなことできんの? 席あいてんのかなぁ~・・・。」
   「じゃ~~~ん!!」

  ニノが目の前にヒラヒラさせたもの・・・、チケットだった。

   「いとこがさぁ~、急に来れないっていうのよ~。
    買って! 5万!!」
   「ばかっ! いらねーよっ!」
   「うっそ~~! いーの!?」
   「もぉ~~~~~っ!!」

   「ふははっ! はいっ!2階席だけど最前列っ!!」
   「・・・うん・・・。」

   「どーした?」
   「・・・キンチョーしてきた・・・。」
   「いつもみたいにヤバイことできないよね~? どーする?」
   「・・・ん~・・・、まぁせっかくだからもらっとく! サンキュッ!」

   「お礼は後日ね~!」
   「はいはいっ!」

  結局、ニノと会場近くのホテルで休むことにして、
  途中一緒にプラネタリウムに寄って彼女宛の封筒をポストに入れた。

  手に届くといいけど。
  宛名しか書いてないから怪しまれて捨てられても仕方ないか・・・。

   「メールしとけばいいじゃん。」
   「あ、そっか~、あったまいい~!」
   「そんなんでホメられてもな・・・。
    びみょ~なカップルほど活用しろよな、文明の利器!」

  このやり取りで一応不安は消えた~・・・。


  それからほとんど寝られないまま、
  うとうとしたと思ったら、もう出発の時間になってた。

  ケータイを見たらメールが入ってた。

   “びっくりしました! ホントに行っていいの?
    坂井さんと行きます。 楽しみにしています!”

  すぐに返信する。

   “イベントが終わっても次の仕事があるから
    ちょっとしか時間ないけど会いたい!
    アンコールの間に楽屋に来てください。
    同封のカードを会場の係の人に見せたら連れて行ってくれます。
    もちろん坂井さんも一緒にどうぞ!”

  まいちゃんに会える・・・!

  それだけで、寝不足の疲れなんて吹っ飛んだ。


  今日のイベントにまいちゃんを呼んだことはみんなに知られていた。

   「それじゃあ今日は相葉さんイジリでいきましょう!」  
   「下ネタサクレツ!!ってか?」
   「今日はカンベンしてよ~! 免疫ゼロなんだからさぁ~!!」

   「ありのままの自分を見せろよ!」
   「そーだよ! どーせバレるんだからさぁ!」

   「大丈夫だって! ライト浴びたらスイッチ入るんだから!」
   「ちょ、ちょっと!そしたら誰か止めろよなっ!!」

   「止めたって止まんねーだろーがよっ!!」


  昼の部は、テレビの取材や記者会見で
  かなりバタバタと慌ただしく進んだけど、
  夜は時間どおりに進みそうだった。

  オープニングから2階席を捜す。 すぐにわかった。
  みんな手を振ってたから、ぽっかり空いたところ。
  あー遠い! けどまいちゃんがニコニコしてた。

   「かわいーじゃん。」

  ニノがすかさず耳打ちしてきた。 思わず顔が緩む。
  一瞬、歓声が大きくなる。

  ダイレクトに返ってくるライブの面白さ。 やっぱ楽しい。

  最初の挨拶の時に会場全体を見渡して、一瞬だけ彼女と目を合わせる。
  かすかにうなずいて見せた。 誰にも気付かれないように。

  ときどき隣の坂井さんと話したり笑ったりしてる。
  声が聞きたい。 歓声の中に埋もれてる彼女の声。

  でも、もうすぐ会える。 自分だけに話しかけてくれる。

  もうすぐ・・・・・。


  アンコールの時には、ふたりの姿は消えていた。
  約束どおり、会いに来てくれるんだ・・・。

  めちゃくちゃ嬉しくって、バカみたいにはしゃぎまくった。





  ライブが終わると、汗も拭かずに誰よりも先に走り出した。
  出発までの短い時間。
  ゆっくり話はできないだろうけど、さっきみたいな遠くじゃない、
  近くで彼女に会えるんだ・・・。



     いない・・・。



  どこにも彼女の姿は見当たらなかった。

  廊下を走り抜けて、突き当りのドアの前に立つ警備員さんに声をかける。

   「あの~・・・、面会ってありませんでしたか?」
   「はい? 何人かいましたけど・・・。」
   「えっと・・・、あ、じゃあいいです! ありがとう!」

  あちこち寄り道しながら、とりあえず楽屋に戻った。

   「おっせーよっ!」
   「ま、しょーがないっか! で、会えたの?」

  答える余裕もないままケータイを見ると、メールが入ってた。

   “ごめんなさい。 今日は帰ります。
    おつかれさまでした。 楽しかったよ!”

   「うっそーーーっ!! なんでっ!!」

  思わず叫んでしまった。

   「なに! どーしたのっ!!」

  ニノが飛んできた。

   「帰っちゃったよ・・・。 せっかく会えると思ってたのに・・・。」
   「・・・マジ・・・。」
   「なんでだよ~~・・・。」

  全身の力が抜ける・・・。
  何日分もの疲れがドッと降ってきたみたい。

  あきらめるなー! 電話してみた。 すぐに繋がった。

   「はい・・・。」
   「どうしたの!?」
   「・・・ううん、べつに・・・。
    昨日も遅かったみたいだし、
    相葉くん疲れてるだろうと思って・・・。
    時間もなさそうだったし・・・。
    今日は遠慮しとくね、ごめんね・・・。」
   「なんでっ! 会いたかったのに! 疲れてなんか・・・!」

   「・・・ごめんなさい、でも楽しかったよ、ありがとう。
    もう電車来るから・・・、じゃあ、お仕事頑張ってね・・・。」

   「まいちゃんっ!」

  切れた・・・。

  元気なかった・・・。 
  なんかヘンなことしたかな・・・。

   「行けよ。」

  ニノが声をかけてきた。

   「えっ? 行くって・・・?」
   「今日は終わりだろ?」
   「・・・うそっ!」

   「聞いたろー? この後のは中止だって。」
   「え・・・、知らなかった・・・。」
   「ケータイばっか見てっから~・・・。」
   「んじゃ行くっ!!」

  慌てて荷物をまとめてると、翔くんの声。

   「ちょっと待てって!」   
   「なんだよっ!」

   「俺ら先に出るから!」
   「あ・・・。」

   「ここからひとりで直行はヤバイだろ?」
   「撤収作業、手伝ってけよな!」
   「・・・・・。」

   「ま、ちょっとゆっくりしてなって!」
   「突っ走りすぎたら追い抜いちまうぞ・・・!」
   「なんだよそれ・・・。 わけわかんね・・・。」

  みんな荷物を持ってドアの方に向かいながら、

   「がんばれよっ!」

   「ここが正念場だからなっ!」

  本気で励ましてるのか、からかわれてるのかわかんなかった。

   「しっかり考えてけよっ!」
   「それはムリでしょう!」
   「あ~~~もおっ!!!」

   「本能で行け! 本能でっ!!」 翔くんが叫ぶ。
   「・・・おぉ!」

   「今日こそキメろよっ!」
   「うん! ・・・え? なんだよそれっ!!」

  ニノが高笑いしながらドアを閉めた。




  ひとり残された。

  もういちど電話してみる。
  留守電になってる。 電車の中だから? それとも・・・。

  一時間くらいの間に、ケータイや彼女の部屋に電話してみたけど
  留守電のまま・・・。
  メッセージは一度入れたけど・・・。

  イベント中のハイテンションもすっかりしぼんでしまって、
  ひとりきりでいるから、なおさらこの状況が重い・・・。

  楽屋のドアを少しだけ開けて様子を伺う。
  スーツを着た警備の人は、もうゆっくり歩いていた。

   「あの~・・・。」

  その人はこっちを見てびっくりしていた。

   「えっ!? どうしたんですか!?」

  まだいたのかよ!って顔してる・・・。

   「えっと・・・、裏にタクシー入ってますか?」

  怪訝そうな顔でうなずいて、

   「あ、あ~・・・、何台か来てますけど・・・。」
   「乗ってっていいですか?」

   「・・・ちょっと聞いてきます。 予約分かもしれないですから。」
   「・・・すみません・・・、お願いします・・・。」

  ドアを開けたまま待っていると、すぐに走って戻って来てくれた。

   「お待たせしました! どうぞ、すぐ乗れるそうですから!」

  走ってきた勢いのせいか、息を切らして笑顔の彼にこっちも元気づけられる。

   「ありがとうございます!」

  すれ違う時にもういちど頭を下げた。

   「お気をつけて・・・!」

  すごくマジメに対応してくれたその人のおかげで、
  少し気持ちが上向きになった。

  これから直面することに、しっかり向き合って、自信を持って・・・。

  そう、まいちゃんとしっかり向き合おう。 目をそらさずに・・・。



  きっと会える・・・。 会えると信じて・・・。


つづく    10,Nov.2005






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