小説いろいろ。

203017

私は基本的にミーハーなので、雑誌で紹介されたものや、
お友だちのオススメのものにすぐ飛びついてしまいます。
感想文といっても、一般的なものではなく自分が感じたことを短く。

『博士の愛した数式』
小川洋子著　新潮文庫

　　　読み始めたのは、映画の公開が決まって配役が発表された後でした。
　　　だからどーしても、登場人物の顔や声がそっちになってしまう・・・。
　　　数学の話や公式の定義の場所は、ついつい飛ばし読み（意味ないじゃん）

　　　家族じゃないけど、家族のようなあったかさ。
　　　完全形でなきゃいけないわけじゃないんだよね。
　　　他人と違うことで不安になったり、不幸じゃないかって思ったり
　　　迷う気持ちを静かに落ち着かせてくれた。

　　　時間の流れがいとおしく感じる。
　　　愛を注ぐ対象が形を変えても、気持ちは変わらない。
　　　ずっと静かな音楽が流れてるようです。
　　　泣いたりしないんじゃないかな？って思いながら読んでたけど、
　　　最後の1ページで、あったかさにじんわり。
　　　涙は流れないけど、少しじわ～っとくる程度。
　　　ページを閉じたあと、しばらく空を眺めていました。
　　　みんなに優しくしたいな、って思いました。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　01,Mar.2006

『沖で待つ』
絲山秋子著　文藝春秋三月特別号掲載

　　　この作品は、第134回平成17年度下半期芥川賞受賞作です。
　　　まず、だいたいそーいう賞はどーいう基準で選ばれるのかわからん。
　　　選考委員はほんの数人だし、評価も分かれるし。
　　　でもそんな冠つきの小説は、面白いんだろうな～って先入観で読んでしまうよ。

　　　短編小説なので、気軽に読めました。
　　　そして舞台が福岡市内。　それも、自分が働いてた博多駅近く。
　　　登場する住宅設備機器のショールームが入ってたビルにも
　　　よく出入りしてました。
　　　馴染みのある地名が出てくると、そのまんま映像が浮かぶ。
　　　主人公と同僚とのやりとりも、
　　　男女の区別なく働いてた自分たちの状況とほとんど変わらなくて、小気味いい。
　　　でもそんな関係が小説になるのは珍しいことらしい・・・？？

　　　冒頭から「え？なんで？」って身を乗り出してしまったよ。
　　　その真相を知りたくて、次へ次へ・・・と読み進んでいきました。
　　　私はこーいうリアリティのある、でもちょこっとファンタジーも加味された
　　　一見味気なさそうなお話、も、好きです。
　　　小説は娯楽だ、とココロの師匠石田衣良さんもおっしゃってましたけど、
　　　私も娯楽性を求めるならとことん・・・って思いますけど、
　　　こんなんもアリだな・・・。
　　　なんだかすっごいここちいいリズム感です。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　16,Mar.2006

『夜のピクニック』
恩田陸著　新潮文庫

『うつくしい子ども』
石田衣良著　徳間文庫

『プルミン』
海月ルイ著　文春文庫

『裁判長！ここは懲役4年でどうすか』
北尾トロ著　文春文庫

　　　福岡生まれの（関係ないが）ライターさんの、裁判傍聴記です。
　　　影響受けやすい私は、読み始めてからすぐに傍聴に行きたくなったよ(笑)

　　　テレビドラマでしか見たことないホンモノの裁判が、
　　　実はタダで見られるんだよね。
　　　こんな特権を利用しない手はないよ。
　　　行こうと思えば行けないこともない距離だけども、
　　　こればっかしはひとりで行く勇気ないよ・・・。
　　　これから傍聴友探すことにしよ♪　

　　　それにしても、リアルな人間ドラマ・・・というには怖すぎる。
　　　犯罪者や被害者を目の前にすると、ドラマなんかチャチに感じるんだろうな。

　　　著者が言ってるように、彼らと私たちの境界線って脆いもの。
　　　何かの拍子でいつそっち側に行ってもおかしくない・・・。
　　　これを呼んで、裁判員制度に疑問を持ってた私は、
　　　また影響を受けて(笑)必要なことだな、って思うようになったよ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　24,Nov.2006　　　

『お金がなくても平気なフランス人
　　お金があっても不安な日本人』
吉村葉子著　講談社文庫

『水曜の朝、午前三時』
蓮見圭一著　新潮文庫

『Q&A』
恩田陸著　幻冬舎文庫

こ、こわいよ。
これが噂の恩田ワールドってヤツですか？
全編質問形式で進む。
登場人物はいろいろ。
ひとつの事件をめぐって、それにかかわった人たちが質問される。
そのQ&Aが、思わぬ展開になったり、ナゾがナゾを呼んだり。
う～～ん・・・ひさびさに唸ったよ。
こわい小説って苦手だったんだけど、こわさがちょっと違う。
じわじわとやってくる。
ヒッチコック映画みたいだ・・・。
おススメ度、なんばーわんです。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　22,May.2007

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