2003年10月13日
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この21世紀は、事業経営においてもこれまでにはない新たなビジネスシーンが見られることとなるでしょう。特にインターネットを代表する情報化の進展がこれまでの常識を覆すような場面を作り出すかもしれません。しかし、そのような状況においても、物事の原点に変わりはないと思います。変化の多い時代だからこそ、いかに基本に忠実であるかということが大切であり、基本がしっかりしていなければ応用も利かないのです。

そこで今回は、経営の根本である「経営理念」について考えて見たいと思います。

誰でも持っている「経営理念」

 経営者は事業所の規模の大小を問わず、自らの経営理念を持っています。それはなにも、達筆な書で書かれ、立派な額に飾られるようなものでなく、文章になっているようなものでもなく、なんとなく心の中で、自分が決めているようなことも含んでのことです。

 以前、おばあちゃんがやっている小さな駄菓子屋で、一度に多くの商品を買おうとしたことがあります。
 ところが、「子供達が買うものがなくなるから買わないでくれ」といわれたことがあります。
 このときのおばあちゃんの気持ちを、なんとなくわかるという方も多いことでしょう。そして、おばあちゃんのこの言葉は、経営者としての経営理念そのものをあらわしているということも理解できるはずです。

 たしかに、一度に多くのものを買ってくれる客は、その日の売上を増大させてくれます。
 しかし、そのことによって、いつもやってくる子供達の買うものがなくなることは、おばあちゃんの経営理念に反することなのです。


 おばあちゃんのお店に来る子供達は、与えられたお小遣いの中で、自分の意思で欲しいもの選び、買い物をします。
 このことは子供達の生活の中でとても大切なことであり、とても楽しみなことなのです。
 そして、店主であるおばあちゃんは、子供達に楽しみの場を提供することによって適切な売上を維持し、適切な利益を得ることによって経営を成り立たせているのです。

 おばあちゃんにとっての経営理念は子供達に「一銭まちや」で買い物をする楽しさを提供することであり、経営の目的は、そこから適切な利益を得て、事業を継続させ、いつもの子供達の元気な姿を見て、元気な声を聞くことなのです。


 事業所の経営理念に「地域社会への貢献」ということを掲げることがあります。
 このことは事業所にとって非常に大切なことです。

 企業の経営者は仕事を通じて、地域に貢献します。
 ところが、よく、地域貢献をボランティア活動と勘違いする人がいます。
 ボランティア等の無償の奉仕と、企業がビジネスを通じて行う地域貢献とは、当然、異なります。
 企業が行う地域貢献は地域経済の活性化につながりますが、ボランティア等の無償の奉仕活動は、地域経済の活性化をはかることとは別のものなのです。

 地域経済の活性化とは、経済活動が活発に行われ、そこに住んで、そこで仕事をすることによって、豊かな生活を求めることができるような地域経済の状態をいうのです。

 すなわち、良い商品や良いサービスを適切な価格で提供するとともに、物質的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさを満たすことができるような商品やサービスの提供がなされることを求めているのです。
 そして、さらに、そこで得られた適切な利益によって、事業を継続させ、良い商品や良いサービスの提供を継続させていくことが重要なのです。いくら立派な経営理念をもって地域貢献をしていこうと思っていても、事業が継続していかなければまったく意味がありません。

 また、ボランティア活動をどんなに一生懸命やっていても会社が倒産してしまったのでは意味が無いどころか、かえって多くの方々に迷惑をかけてしまうことになるのです。


ポジティブ発想に気をつけよう

 時々ですが、経営理念に気合が入りすぎている人がいます。


 これらは、特に新しく事業を始めようとする場合や、急激に事業規模を拡大しようとする場合にみられるようです。しかし、よほどの大企業でもない限り、現実にその全てを実行することは極めて難しいことです。

 新しく事業を始めようとするときなどは、極端にポジティブな精神状態になっていることがあるようです。ポジティブな発想というのは、経営者にとっては非常に重要なことであり、これがなければ企業は成長しませんし、経営難に陥った際に、そこから立ち直ることはできません。しかし、状況によっては、このポジティブな発想というのが現実を見失う原因にもなってしまうのです。

 経営者にとってはポジティブな発想と同時に、現時点での自らの能力を見積もって、できることとできないことの区別をすること、そして、周囲の状況を的確判断する洞察力を持つことが大切になります。

 いつ達成できるかはまったく予想がつかないような壮大な目標を掲げ、それにあわせて経営理念を描くことは、言葉遊び以外の何者でもありません。経営者が持つべき経営理念とは、自らが目標としていることを、事業経営を通じて達成し、そのことによって自らの想いを具現化させるためのものであると思います。

 ですから経営者には自らの能力と、周囲の状況を判断する洞察力が備わっていなければならないのです。

 同じ規模、同じ業種であっても、繁盛する企業とそうでない企業があります。そのような違いが生じる原因は様々ですが、しっかりとした経営理念を持っているかどうかということも、その原因の1つであると思います。








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最終更新日  2003年10月13日 20時56分31秒
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