ヒトヤスミ

画用紙



   幼稚園に着いた頃には、だいぶ雪が積もってて、違うバスの子供たちは走り回ったり雪玉を作って投げていた

   僕も、いつも一緒にいる友達とはしゃぎまわった

   「は~い、朝の会が始まるから中に入りなさ~い」

   女の先生が言うとみんながそれに従った

   「じゃあ今日は雪が降ってるので、特別に雪の絵を描きましょう」

   「やった~」「一緒に描こ」「外で遊びた~い」

   各々の気持ちが音となって飛び交うと

   「はい。それじゃあ皆でお絵かき部屋に行きましょう」

   「は~い」

   「どっちが早く着くか勝負しようぜ」

   朝、一緒に遊んでいた子が言ってきた

   僕は当時そのクラスでは結構うるさかった方なので、目立つことにあまり抵抗を感じていなかった

   「OK。走るのは無しな。早歩きだけだぞ」

   「「よ~い、どん」」

   僕らは一斉に早歩きしだした


   ゴールはほとんど同時だった


   僕らが走ったのは建物の大体端から端で、みんなを待ってるのも面倒だったので先に描いてることにした

   でも、雪の絵を描くのには黒い画用紙が必要だ

   なのにどこを探しても無い

   だから僕たちは白い画用紙を黒で塗りつぶしことにした

   ・・・やっぱりこれもどっちが速く塗れるかの勝負になった

   1/3ほど塗ったとき、先生とみんなが来た

   先生の手には黒い画用紙が握られていた


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