ヒトヤスミ

つくじゃん



   小学校二年生のときだった

   その日はとても寒く、道路も凍ってる状態だった

   僕のいた小学校には小さな池があった

   休み時間友達と池に張った氷を割りに行った


   カツン

   石がはじかれた

   カツン

   またはじかれた

   「乗れるかな」

   「乗ってみっか」

   僕は言い、ゆっくりと体重をかけていった

   「すげっ」

   僕は氷の上に立てた

   「乗ってみろよ。大丈夫だぜ」

   「本当かよ」

   と言いながらも友達は興奮しているようだった

   「すげぇ、マジで乗れた」

   僕たち二人は学校で氷の上に乗れたことにかなり興奮していた

   テンションも上がればいたずらがしたくなる

   子供は誰だってそうでしょう

   僕も例外ではなかったようだ

   「なぁ、見て見て」

   僕はそういいかかとで氷をけった

   「うわっばかっ」

   友達は急いで氷から離れた

   「割れたらどうするんだよ」

   「だ~いじょぶだって」

   僕は氷をけり続けた


   瞬間、視界が歪んだ

   (・・・あ、われた)

   暗闇に吸い込まれる中、そう思った

   頭が水の中に入りきり、必死にもがいて空気を求め頭を出すと、そこに友達はいなかった

   (あんのやろ~)

   僕は友達を恨みつつ、どうにか氷の上に乗ろうと思ったが、体重を掛ければ掛けるほどそこの氷は割れていく

   (・・・うっわ~、死んじまうよ) 

   そう思い始めた頃、僕は気づいた

   「・・・足、つくじゃねえか」


   後から分かったことだが、あの時一緒にいた友達は、逃げたんじゃなく先生を呼びに言ってたらしい

   でも、あの時助けてほしかったな


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