宇宙は本の箱

     宇宙は本の箱

まごころをくれたから


自分を想ってくれる、たったそれだけの事で、もう愛しむには充分だ。
だから苦しい。だから切ない。
けれど、求め行き付くところが、決まりきったそこならば、言葉は二つに一つしかない。

好きか、嫌いか。

夜という名の詩人さんは言った。

「しんそこ嫌いじゃなきゃ別れられない。振りこはどっちでも一緒。
 どっちって言ったって一緒」


いつだって酔っていたけど、あの人は言った。

「わしは、わしを想ってくれる女はみんな愛しい!みんなと結婚してやりたい!
  そやろ?そやろ?そやないか!」



あいつも言った。

「俺は、俺のことを真底想ってくれた女なら、それがどんな女でも一生覚えててやるんや。
 一生思い出してやるんや、違うか?」



みんなみんなすごかった。
あの人はあの時まだ27か28で、あいつも詩人さんもまだ25くらいだった。

私は・・・
哀しくて切なくて胸が痛くて、そういう想い出ばっかり積み重ねていくのが人生なんだって言った。
私もまだ22くらいだった。


みんなみんな若かった。









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