Value of Nature 岡部:オーストラリアでもレアアースの採掘計画が進んでいるようですが、豪政府はオーストラリア内での精製は原則許可しない方針です。なぜなら、オーストラリアにあるレアアース鉱石の多くはウラン、トリウムなどの放射性元素を含有するため、精製には放射性廃棄物の発生が伴うからです。つまり、資源国の収入になる採掘はOKだが、国内での放射性廃棄物の処理は認めないというわけです。
レアメタルの多くは地球科学的に特異で希少な鉱山から産出されます。偏在は、何億年という地球の営みが生んだ“奇跡”の裏返しでもあるわけです。“Value of Nature”そのものです。特に近年、環境問題への対応から、自動車や航空機、家電製品などの多くの分野で、レアメタルやレアアースの利用が増えています。しかし、そこには地球の奇跡の恵みをタダ同然で都合よく利用しているという意識や、鉱山事業に伴う環境破壊や環境汚染への認識が見事なほど抜け落ちていると私は感じています。
レアメタルのリサイクルに私が熱心なもう1つの理由は、お金に換算できない「レアメタルの本質的な価値」をきちんと評価するべきだと考えているからです。Value of Nature が高い貴重な鉱物を地中から掘り出して利用する以上は、経済価値がなくなったからといって安易に捨てずに、何度でも利用すべきだという気持ちがあるからです。