非常に適当な本と映画のページ

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2006.11.21
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カテゴリ: 洋画

 ジョニー・デップ主演。切り裂きジャック事件を題材にした作品。原題は「From Hell」


粗筋

1888年のロンドンが舞台。
 アルバーラインは、アヘン癖のあるロンドン市警警部。彼はアヘンを吸うと、実際の出来事を幻覚として見る特殊能力があった。彼はその能力によって数々の事件を解決してきた。
 ホワイトチャペル地区を拠点とする娼婦が次々惨殺される。切り裂きジャック事件だ。その手口は特異的で、人体解剖学の知識がある者の仕業と考えられた。
 アルバーライン警部は、殺された娼婦がいずれも顔見知りなのに気付く。代表格のメアリに接近することにした。
 メアリは、二つの問題に直面していた。仲間が次々殺されていることと、仲間の一人が何者かに連れ去れたのだ。連れ去られた仲間は精神病院で廃人となって見付かった。
 アルバーラインは、連れ去られた娼婦の身辺を調査する。彼女はアルバートという男と結婚し、子供を設けていた。アルバートは自分を画家だと名乗っていたが、実はビクトリア女王の嫡男アルバート皇子だった。
 アルバーラインは真相に気付く。娼婦遊びがやめられないアルバート皇子は、娼婦を相手にカトリックの教会で式を挙げてしまった。子供も設けた。そうなると王位継承問題や宗教問題に発展する。この事実を揉み消す為、王室はフリーメーソンを使って妻の娼婦を廃人にし、式の立会人となっていた娼婦仲間を全員始末することにした。始末の実行者として、王室の専属医(フリーメーソンの一員でもある)が選ばれた。
 この真相に気付いたアルバーラインは、最後の立会人となったメアリの元に向かうが……。


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感想

展開はありふれていて、ラストも事前に読めてしまうので、驚きはない。ミステリ度は弱いが、安心して観ていられる。
 グロは多少あるが、抑えてあるので嫌悪感を抱くほどでもない。バランスのいい作品である。
 切り裂きジャック事件を題材にした映画や本はこれまでいくつも制作あるいは出版されている。
 最有力容疑者とされているのがアルバート皇子。別の有力容疑者は、王室の専属医。いずれも事実が公になったら王室の失墜に繋がるので、政府が警察を動かして事件をうやむやにした、という説は成り立つ。
 前者の問題点は、皇子に解剖学の知識がないことだろう。後者の問題点は、王室の専属医がなぜこんな凶行に出たのか、そしてなぜ突然殺戮をやめたのか、という疑問が解決されないことである。
 本作品は、この二つの説を組み合わせることで、説得力ある「真相」を描いている。現実には、被害者の娼婦らがグループ仲間だった、ということはなかった筈だが……。
 ジョニー・デップは、「時代物」が非常に似合う。「スリーピー・ホロウ」も適役だった。
 役者としてはもうベテランの域に入っているが、役者であることにこだわり、制作に加わろうとしない。その為、トム・クルーズやケビン・コスナーみたいに自意識過剰にならないのがいい。この精神をこれからも貫いてほしいものである。
 この映画で学んだことは、当時ブドウが非常に高価な果物であったことと、当時のロンドンは誰もが汚らしかった、ということか。
 過去を舞台にした作品なので、背景となる「世界」にも説得力があり、映画の雰囲気に問題なくのめり込めた。この点は、「世界」が薄っぺらな ハリー・ポッターと賢者の石 より百倍もマシ。全体の出来も百倍マシ。
 後味はあまり良くないかも知れないが。いや、結局敵の計画は失敗に終わったので、後味は良いのか。
 ここ半年間で観た映画の中では最高の出来。


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Last updated  2006.11.21 12:59:48
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