非常に適当な本と映画のページ

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2006.11.27
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カテゴリ: 邦書

 田中芳樹が大人気作家の地位を気付くきっかけとなったスペースオペラの外伝第一巻。


粗筋

ラインハルトは20歳という若さながらも武勲を重ね、中将の地位に登り詰めていた。このことは門閥貴族から反感を買うが、彼の姉アンネローゼは皇帝の寵妃。迂闊に手を出せない。ヘマを犯して転落してくれれば、と願うくらいしかできなかった。
 アンネローゼは政局に全く口出ししないことから、宮廷からは無害と見なされていたが、それでも安全とは言えなかった。皇帝の元寵妃ベーネミュンデ侯爵夫人が、「陛下が自分に目を向けなくなったのはアンネローゼのせいだ。あの女さえいなければ陛下は自分の元に戻ってくる」と堅く信じ、アンネローゼの失脚を模索していたのだ。
 ラインハルトの元に、ロイエンタールという少将が現れる。友人で少将であるミッターマイヤーが貴族によって謀殺される恐れがあるので助けて欲しいと頼みに来たのだ。ラインハルトは、ロイエンタールを将来的に使える男と以前から見ていたので、恩を売るつもりでミッターマイヤーを助ける。
 ベーネミュンデ侯爵夫人は、ラインハルトによる陰謀をきっかけに、アンネローゼ暗殺を図る。暗殺計画は失敗し、公爵夫人は自決を強いられる。ラインハルトにとって一つの危険が去った訳である。
 それから間もなくラインハルトは出陣を命じられる。ラインハルトを快く思っていない上官によって、彼は戦局的に不利な立場に置かれる。が、ラインハルトはそれを逆手にとって戦術的な功績を挙げて上官に恩を売り、昇進への道を開いてしまう。
 一方、戦場にいながらも戦闘に参加させてもらえなかった同盟軍のヤンは、ただ敵側のラインハルトが功績を積み上げるのを目の当たりにするだけになる。


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解説

本伝では、一巻から二巻は小説というより粗筋を申し訳程度に肉付けしたみたいだった。本巻は一巻で特に詳しく述べられなかった部分を詳細に描いて、その部分に厚みを持たせようということらしい。本シリーズは二巻が頂点なので、外伝もこの辺りを題材にするしかない、ということもあるのだろうが。
 ラインハルトは、嫌味な性格が前面に出ている感じで、相変わらず好感が持てない。一度でもいいから失敗する様が見てみたい気がした。信じられないほどのシスコン振りを披露する。
 ラインハルトは、本巻で「数万の艦船を動かし、数百万の兵を死に追いやって、エネルギーを無駄に消費することに何の意義があるのか」と言っている。が、彼自身も皇帝になった後、同盟を相手に無駄な戦闘を繰り広げている。このことを本人はどう思うのか。
 皇帝フリードリッヒは子を作る能力がなく、流産、死産、早死に、そして奇形児が多いという。
 この物語の舞台は西暦でいうと3000年を超えている。宇宙航行技術も確立している。
 そこまで技術が進んでいるなら、人工受精や遺伝子治療によって遺伝子学的に健康な子を自由に生めそうな気がするのだが。銀河英雄伝説では宇宙航行以外の技術進歩はまるでないように感じる。書かれた時点ではそのような技術が一般的でなかったから仕方がないといってしまえばそれまでだが、時代を感じさせる。
 本伝は6巻以降口絵が漫画家によるものとなり、ライトノベル化の兆しが見えていたが、外伝では口絵だけでなくカバーイラストまでが漫画家によるものとなっている。
 ライトノベルへの移行が完了したといえるだろう。



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Last updated  2006.11.27 13:15:48
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