非常に適当な本と映画のページ

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2016.05.18
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カテゴリ: 洋画

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
(C)2015 Marvel
映画「 シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
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 アメコミ出版社マーベル社の代表的なヒーロー・キャプテン・アメリカの実写版第3弾。
 マーベル・ユニバース的には、キャプテン・アメリカの実写版第2弾キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャーと、アベンジャーズ実写版第2弾のアベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロンの続編となっている。
 キャプテン・アメリカは勿論、アイアンマン、ブラック・ウィドウ、ファルコン、ホークアイ、ヴィジョン、スカーレット・ウィッチ等、これまで登場してきたアベンジャーズのメンバーの他、既に実写版シリーズがあるスパイダーマンとアントマンも登場する。
 一方、ソー、ハルク、そしてニック・フューリーは登場しない。
 原題は「CAPTAIN AMERICA: CIVIL WAR」。


粗筋

 世界を数々の危機から救ってきたアベンジャーズだが、ニューヨーク(アベンジャーズ)やワシントンDC(キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー)やソコビア(アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン)等での戦闘により一般市民に多大なる被害ももたらしてきた。
 そこで、国連は、アベンジャーズに対し、国連の管理下に入るよう、要求される。
 この要求に対し、アイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は、積極的に賛成。ブラック・ウィドウことナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ヨハンソン)も、消極的ながらも賛成。
 国際社会や一般市民がアベンジャーズの存在に疑問を抱き始めている以上仕方ない、解散させられるよりマシだ、と。
 一方、キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャーズ(クリス・エヴァンズ)は、強硬に反対した。
 国連の管理下では、加盟国の利権が絡み、必要な時に必要な行動が取れなくなる可能性が高い、と。
 ロジャーズの反対にも拘わらず、スタークは話を進めてしまい、アベンジャーズを国連の管理下に置く「ソコビア協定」が採択された。
 オーストリアのウィーンで、ソコビア協定の署名式が開催されるが、式典会場の外で爆破テロが発生し、演説中だったワカンダ国王ティ・チャカが死亡してしまう。監視カメラの映像から、テロの犯人はバッキー・バーンズことウィンター・ソルジャーである事が判明。ワカンダ王子ティ・チャラはバーンズへの復讐を誓う。
 ロジャーズは、単独でブカレストに潜伏中のバーンズに接触。バーンズは、ウィーンの爆破テロとは無関係だと弁明。彼は世界中の捜査当局から逃げ回るのに精一杯で、爆破テロを起こす余裕も、動機も無い、と。彼はヒドラに洗脳されてテロ活動を繰り広げていたが、前回の戦いで洗脳が解け、昔のバーンズに戻っていたのだ。前回の接触でバーンズに命を助けられていたロジャーズは、弁明を受け入れる。
 その直後に、隠れ家は警察特殊部隊に急襲される。ロジャーズとバーンズは特殊部隊を退け隠れ家を脱出するが、ティ・チャラことブラックパンサーが現れ、戦闘になる。そこにローズことウォーマシンがやって来て、全員を逮捕する。
 スタークは、ロジャーズが収容された対テロ共同対策本部を訪れ、ソコビア協定に署名するよう再度説得するが、ロジャーズは改めて拒否。
 同じ頃、精神鑑定医を装い施設に潜入したヘルムート・ジモがバーンズと接見。ジモは、元ヒドラのメンバーと接触し、ウィンター・ソルジャーについて執拗に調べていた。ジモは合言葉を使い、バーンズをヒドラの暗殺者として働いていた洗脳状態に戻す。ウィンター・ソルジャーと化したバーンズはヘリコプターでの逃走を図るが、ロジャーズがそれを阻止。2人はヘリコプターごと川に落下し、そのまま行方不明となる。
 米国務長官は、スタークに対し、ロジャーズとバーンズの身柄を確保するよう最後通告。
 助けが無いと無理だと判断したスタークは、ピーター・パーカーことスパイダーマンを仲間に引き入れる。
 川に落ちた衝撃で洗脳状態から覚めたバーンズは、自分以外にもウィンター・ソルジャーが存在し、現在もシベリアの施設に冷凍保存されている、とロジャーズに明かす。
 ロジャーズは、ソコビアの特殊部隊員だったジモは、残りのウィンター・ソルジャーらを復活させ、更なるテロ攻撃を図っている、と判断。ソコビア協定に懐疑的だったホークアイ、ワンダ、そしてスコット・ラングことアントマンを仲間に引き入れ、航空機を奪ってシベリアへ飛ぶ計画を立てる。
 ロジャーズらの動きを察知したスタークは、ウォーマシン、ナターシャ、ヴィジョン、ブラックパンサーそしてスパイダーマンを従え、空港で彼らを待ち受ける。
 ロジャーズは、ジモの計画の件を説明するが、スタークは聞く耳を持たない。
 ロジャーズ率いるアベンジャーズと、スターク率いるアベンジャーズが、総力で激突。
 ロジャーズとバーンズは、仲間の助けにより航空機に辿り着き、空港を後に。
 ウォーマシンの負傷により、スタークは、ロジャーズの追跡を断念せざるを得なかったが、ロジャーズに協力したアベンジャーズは拘束出来た。
 スタークは、独自の捜査で、署名式爆破テロの真犯人が、バーンズに扮したジモだった事を突き止める。ロジャーズが言っていた事は正しかったと悟り、単身でシベリアに向かう。それを察知したティ・チャラも、スタークを追う。
 シベリアの施設でスタークは、ロジャーズとバーンズと一時休戦し、共にジモを捕らえる為施設内を捜索。
 しかし、施設の奥で冷凍保存されていたウィンター・ソルジャーらは、ロジャーズの予想に反し、ジモによって既に全員殺害されていた。
 ジモの一連の行動の目的は、ウィンター・ソルジャーらを手に入れる事ではなく、アベンジャーズを互いに戦わせ、自滅に追い込む事だったのだ。
 ジモは、自動車事故を装ってトニーの両親を殺害した犯人が、ヒドラの影響下にあったバーンズだった事を明かす証拠映像を、施設内のモニターで放送する。
 スタークは、両親、特に母の死が、未だにトラウマになっていた。その母を無慈悲に殺したのが、直ぐ隣にいるバーンズである事を知り、我を失い、バーンズに襲い掛かる。
 ロジャーズがそれを阻止し、三つ巴の戦いとなる。
 その隙に施設の外に出たジモの前に、ティ・チャラが現れる。
 ジモは、アベンジャーズを自滅に追い込みたかった理由を語る。アベンジャーズによるソコビアの戦いで、彼は家族を亡くしていた。復讐を誓ったが、特殊部隊員とはいえ普通の人間に過ぎない彼が、超人的な能力を持つアベンジャーズを相手にするのは無理。だったら殺し合いするよう、仕向けるのが得策だと判断したのだ。
 ティ・チャラは、これまでバーンズが自分の父親である国王を殺したと信じ、復讐の為彼を追い続けていた。が、真犯人はジモで、そのジモも復讐の為動いていた。復讐の連鎖を止める必要があると悟ったティ・チャラは、自決しようとしたジモを殺害せず、逮捕する。
 ロジャーズは、スタークのリアクターをシールドで破壊し、戦いに勝利する。義手を失い、瀕死の状態にあったバーンズと共に、シベリアを去る。二人はティ・チャラの手引きを受け、ワカンダ王国へ渡る。バーンズは、自身の洗脳を解く方法が見付かるまで冷凍睡眠へ戻る事を自ら選択する。
 ロジャーズは、自分に協力した仲間達が囚われた収容施設に単身で潜入し、救出する。
 後日、スタークの元に、ロジャーズからのメッセージが届く。それは、必要としてくれるなら友として直ぐ駆け付けるという意志を伝えるものであった。
 スタークは、それに納得する。アベンジャーズは、今回の件で対立し合ったものの、絆が完全に失われた訳ではない、と。
 ただ、ジモの思惑通り、アベンジャーズは、表向きは一つのチームとして行動する事は出来なくなってしまった。



感想

 本作は、キャプテン・アメリカ実写版シリーズ第2段のキャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャーの続編。
 第2弾のラストで行方をくらましたウィンター・ソルジャーの顛末が、本作で分かるようになっている。
 しかしそれ以上に、アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロンとの結び付きが強く、そちらを観ていないと、本作は理解し難いのではないか。
 それが、マーベル・スタジオの販売戦略なのだろうけど。

「スーパーヒーロー達の大活躍で、人類は滅亡の危機から救われた! めでたし、めでたし!」で終わった筈の映画が、続編では「実はスーパーヒーローらによる戦闘は一般市民に多大なる被害を与えてしました」という展開になっているのが最近の傾向。
「マン・オブ・スティール」では、スーパーマンが地球をゾッド将軍による侵略から救う模様を描いていた。続編に値する「バットマンVSスーパーマン」では、その死闘で多数の一般市民が巻き添えになっていた事実が明らかにされ、それが同作の重大テーマになっている。
 本作でも、アベンジャーズは、人類を救うのと同時に、人類に危害を加えていた事が明らかにされ、それが敵方の動機になっている。
 スーパーヒーローらがド派手なアクションを繰り広げる映像を観て、「これを現実にやったら物凄い被害が出るだろうな」というのは誰もが思う事。しかし、製作者側は「人的被害は最小限に食い止められている」という描き方をし、観る側もそれを理解する、というのが、この手の映画の暗黙の約束の筈。
 それを、製作者側から「いえいえ、スーパーヒーローらは毎回物凄い被害を出しています」と認めてしまっては、観る側も「こいつらの活躍でどれだけの人的被害が出てるんだろう」と一々悩みながら観なければならない。
 派手なアクションシーンを、単なるアクションシーンとして楽しめなくなるのは残念。
 この傾向がずっと続くと、観る側も、「結局スーパーヒーロー達なんて何の役にも立っていない」と思うようになってしまうのではないか。下手すると、「人的被害を全く出さないよう活動出来ない連中なんてスーパーヒーローではないので、スーパーヒーローなら活動を慎むべき」と要求するようになる。
 そうなったら、ド派手なアクションシーンは出来なくなる。
 製作者側は、それでも良いのかね。

 人気スーパーヒーロー達を、互いに戦わせる、というのも最近の傾向。
 新作ごとに新たな、前作を上回る敵を創造して、ヒーローらに戦わせる、というのが難しくなっているらしい。
 本作では、アベンジャーズが二つのグループに分かれて全面衝突している。
 一応キャプテン・アメリカが主役なので、キャプテン・アメリカがアイアンマンに勝つ、という結末で終わるが、本作の主役がアイアンマンだったら、逆の結果になっていただろう。

「アベンジャーズ同士の戦い!」というストーリーを成立させる為か、登場人物の言動が、これまでのシリーズ作を観ている者からすれば、違和感を抱いてしまう。
 自己顕示欲が強く、破天荒な暮らし振りが目立っていたスタークが、本作でソコビア協定に真っ先に賛成する展開がその例。ソコビアで息子を亡くした母親が、息子の死についてスタークに直接食って掛かる、というシーンが一応挿入されているが、それでもスタークの性格からして、他人の管理下に入り、自分の行動を制限させてもらおう、と考えるのは有り得ない。
 ロジャーズの言動も同様に理解し難い。彼はソコビア協定に強硬に反対するが、これまで真面目一辺倒で通し、スタークに「融通の利かない堅物」扱いされてきた彼が、何故本作に限って「規則に縛られるなんて真っ平!」といった発言をしたのか、具体的な説明がされていない。
 逆だったら納得がいくのに。

 異次元からの敵とも戦えるアベンジャーズが、個人的な復讐を理由に暗躍したたった一人の男の策略に踊らされ、分裂する、というのもおかしい。
 もしこの程度で分裂していたら、今後何度でも分裂しそう。
 大軍でアベンジャーズに襲い掛かるより、寧ろこの手法で自滅させた方が良い、と敵側も考えるようになるだろう。

 ジモの行動も、理解し難い。
 彼はソコビアの特殊部隊(暗殺部隊)の一員だった、とされる。
 これまで何人も殺してきたであろう人物が、自分の家族の死を受け入れられない、というのは我侭。
 偶々アベンジャーズの戦闘に巻き込まれて死んだだけで、仮に死ななかったとしても、彼に恨みを持つ者によっていずれ殺されていた可能性も充分あっただろうに。

 本作では、マーベルコミックスの人気キャラでありながら、別の映画会社(ソニー/コロンビア)に製作権が譲渡されていた為、マーベルスタジオが手掛けられなかったスパイダーマンが登場。
 スパイダーマンも、今後はマーベルスタジオにより、シリーズ作が製作されるらしい。
 スパイダーマンの製作権がマーベルスタジオに戻ったのは、リブートシリーズの評判が良くなく、続編を製作しても成功しない、とソニー/コロンビアが判断したから。
 マーベルスタジオは、スパイダーマンを復活させられるのか。

 本作では、前作で登場していたSHIELD長官ニック・フューリーが、姿を全く見せない(名前すら挙げられない)。
 自ら編成したアベンジャーズ存亡の危機に、何の行動も起こさないのは異様に映る。
 ストーリー上の問題というより、これまで同キャラを演じていたサミュエル・L・ジャクソンを確保出来なかった、という大人の事情からだろうけど。
 ジャクソンも、そろそろ別タイプの映画に出たい、と考えた様である。

 キャプテン・アメリカ3部作は、本作を以ってとりあえず完結、という事になるらしい。
 といっても、アベンジャーズシリーズは製作され続けるので、クリス・エヴァンズが演じるキャプテン・アメリカが居なくなる訳ではなさそう。
 マーベル社からすれば、利益が出る見込みがあれば、役者を変えてでも製作し続けるだろう。







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Last updated  2016.07.15 12:36:05
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