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ああぁ・・・止まらない;
一昨夜も、深夜2時過ぎまでかけてラストまで読み切ってしまいました;
「Day-3」くらいまでは仕事終り、数日に分けてちょくちょく読み進めてたんですが;
「Day-4」までくると、途中で手を止めることは不可能でした;
『インシテミル』
(米澤穂信先生・文春文庫・2007年)
自給11万2000円。拘束時間は7日間×24時間。
超高額バイトに、
おかしいと思いつつも、興味半分で応募した大学生・ 結城理久彦
。
彼は、彼同様集められた11人の男女とともに、
人文科学的実験のモニターとして、地下施設ー 「暗鬼館」
へ入ることに。
そこで行われたのは、被験者12人による殺し合いと犯人当てのゲームだった。
*以下、ミステリー作品のネタばれアリ(?)感想です。ご注意を!*
映画になってた作品ですね!
そういえば・・・
藤原竜也さんだ!・・・だけど、
まーたこんな映画作ってもう・・・観たくないよこんなの
と、映画館で予告を観て思った覚えがあった・・ような;
当然のことながら、好みじゃありません!
今回のような・・・
「この作家様のは何読んでも面白い!」と思わなければ、
一生手を出すことがなかった作品だと思います。
本文に入る手前、こちら警告文があります。
<警告
この先では、不穏当かつ非倫理的な出来事が発生し得ます。
それでも良いという方のみ、この先にお進みください。>
いいというわけではないんですが・・・本を手にしている状態で、この警告で引き返す人はいないでしょう。
・・・これと同文のものが、本文中、暗鬼館へ入る時の、被験者たちへの警告です。
読んじゃってる手前、ここで暗鬼館へ入って行ってしまう主人公たちのことを「分からない」とは言えない!
これがこの作品の恐ろしいところで・・・
暗鬼館や、その運営主体に関しては、全く非現実的・非倫理的な「いかにもな狂った舞台」なのですが、
そこでこう動く主人公や他の被験者たちには、ついていけてしまいます。
米澤先生の作品は、
・・・まだ4冊目(&アニメ『氷菓』)しか鑑賞していませんが、
一体どうしてこんなに面白いのかなぁ・・・と思った時、
今回の「インシテミル」を観て、なるほど、と思った部分があります。
ミステリー作品なので、 まず特徴的な舞台・設定があって、
その舞台が立つような、練りに練った「起きること」の構成ががっちりあって、
そっから一人称に落としながら、更に面白く練って行ってるからだ。
インシテミルの場合、
特徴的な「暗鬼館」の舞台設定、運営主体の様々な条件があって、
12人の被験者(&割り振られる武器)×7日間24時間の行動があって、
で、最終的に主人公・結城くんの一人称で物語を語った時、
いちばんおもしろくなるように、気持ちよく読めるように
前の2段階を何度も往復しつつ・・・作ってあるんだろうなぁ、と。
要は、お話作りの段階が・・・違う!
当然のことっちゃ当然のことなんですが、ホント、それがよくよく観てとれる作品でした。
あとは、 読後感
が印象的で。
米澤先生の作品って、読んだ後・・・気分がいいんですよ。
すっごく気持ち悪い、グロイ話も、
とんでもないところで終る話も、
今回のような非倫理的な話も・・・
後味が嫌じゃない。
というより、後味の苦みがたまらない。
インシテミルの場合は・・・主役の心情がこうだったから
なのかな。
最初の2~3日は、本当に大人しい行動しかしなくって。
周りの発言権のありそうな方々に流されるまま行動していた主役が、
後半は全体を回す行動主体に躍り出ます。
実はミステリー好きで、かなり詳しい・・・という設定が後半に露呈し、「慣れて来た」後半は、この状況を一番楽しめている人物でした。
↑この結城くんの一人称だから、嫌な読後感にならない・・・というか。
さらに、主役に突然置いていかれる快感があり、 (↑なんやかんやで主役がカッコいい)
非倫理的な事象なのに、運営主体の思惑や人物配置を理解したとき、 出来事を納得できてしまう不思議さがあり、
痛快です。
とにかく・・・面白かった><!!
繰り返しになりますが、あらすじだけじゃ私が手を出すはずのない・・・猟奇的な印象の作品です。
・・・が、まったくもって面白かった><!!
米澤先生は・・・これ・・・
お話中毒の方なんだなぁとひしひしと感じます。
作品によって、強調所が全然違いますし・・・でも何読んでもそれぞれにそれぞれの感動があって、全部面白いですし><
次の1冊ももう買ってありますので、今夜あたりでも読み始めようと思います。
by姉
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