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これも・・・面白かったです><
『追想五断章』
(2009年・米澤穂信先生・集英社)
伯父の古書店で働く 菅生芳光
は、
ある日奇妙な依頼を受ける。
『亡くなった父の書いた5本の「リドルストーリー(結末のない物語)」を探し出して欲しい』
1本、2本とみつかっていく少々不気味な短編小説と、見えてくる作者・叶黒白の抱えていた一つの事件。
二十数年前の不可思議な事件・ 「アントワープの銃声」 の真実とは・・・。
*以下、完全にネタばれアリ感想です。お気を付けください。*
渋味と苦味が濃厚になった『氷菓』!
古書を追っていくうちに、
非常に個人的な、しかしドラマチックな真実と、
それを受けた一つの「激情」が色鮮やかに現れてきます。
米澤先生のとにかく凄いところは、
構成・お話のおもしろさから入ってきておいて、
それをキャラクターの意志に結びつけてしまう手腕
だと思います。
おそらく、構成をキャラクターの行動に落とし込む為の
作者の行為自体こそ・・・古典部の奉太郎くんの得意とする「推論」なんじゃないかなぁ
と思うんですよ。
「氷菓」や「犬はどこだ?」なんかでは、
これが書きたかったのか!という事象があって、
それを構成で詰めているのかな?・・・という印象でしたが、
「愚者のエンドロール」、「儚い羊たちの祝宴」、
この「追想五断章」なんかは、
お話構成の面白さから出発している作品だと思います。
「ボトルネック」「インシテミル」なんかは、まず設定ありき・・・かな?
今回の追想五断章では、
複数のリドルストーリーに、ある事件の真実が・・・!
更に二段構え!結末の1文のとっかえで、嘘の真実のでっち上げが・・・!
というのが、作品自体のとっかかりです
じゃあ、こんなこと仕掛ける状況ってどんなだ?何を隠したくて、何を明らかにしたくて、こんなことをするんだ??
これが・・・こじつけですよ!こじつけですし、お話です。
それをドラマチックに、けれども納得のいく形・さらにわくわくさせる形で落とせるというのが、
・・・落とそうとするというのが、お話から出発するという小説の面白さの真髄だな・・・と。
リドルストーリーを使う意味が・・・ちゃんとあるんですよ><
ここのところ、米澤先生の著作を読み漁っていますが、
今まで、
小説というものをこんなテンションで読んできたことがなかったんです。
・・・そうかっ・・・これが「お話」か!
やっぱり漫画・アニメ・映画なんかって、お話っておもしろさの要素の一つに過ぎなくって。
絵から出発しないと・・・漫画は描き切れるものではないと思います。
お話から入った方に、絵で表現するという行為は・・・ハードルが高すぎます。
アニメ・『氷菓』は・・・衝撃だったんですよ。
お話から出発するって・・・こういうことか!って。
空知先生みたいな例(天才)は別にして考えると、
漫画には求めきれないところがやっぱりありますので・・・
・・・
・・・面白~~~~い><!!
追想五断章・・・
お話って・・・イイナ!
とつくづく思いました。
こ・・・好み・・・;
さてさて、買い溜めした米澤先生の著作品がまだまだあります。
読むぞ。
by姉
小説感想『可燃物』(米澤穂信先生) 2023.08.16
小説感想『栞と嘘の季節』(米澤穂信先生) 2022.12.18
小説感想『黒牢城』(米澤穂信先生) 2021.06.07