今が生死

今が生死

2025.09.22
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カテゴリ: 読書




文化連情報という雑誌にドイツのミヒャエル・エンデが書いた長編童話「モモ」について山形大医学部准教授中西淑美さんがその現代的意義について解説していた。要旨は時間を節約し、無駄をなくそうとする行為が実際には心の中を貧しくし、人間が本来持つ生きるという本質的な意味を奪う行為であると強く警告した内容である。
現在の人々は「成功すること、ひとかどの人間になること、沢山のものを手に入れること」が人生で最も
大切だと信じ込み、そのために時間の無駄使いは止めて、大切なことのためにだけ時間を使うのがよいと思っている人が多い。童話モモでは、時間の概念が主観的時間と客観的時間に分けられ、客観的時間とは時計が刻む無機質の時間であり効率化や節約の対象になり、時間を秒単位で計算し、人生のあらゆる活動から無駄を排除しようとする。主観的時間は個人の心によって感じられ、その質的な体験によって無限の深まりを持つ「生きた時間」である。たのしく充実した時間は一瞬のように感じられ、退屈な時間は永遠のように感じられる。モモの作者はこせこせした時間にとらわれる生き方でなく、時間にとらわれることなくおおらかに生きるべきだと、登場人物を介して言わせている。
私は昔の人間で、一分一秒を惜しみながら、ガリ勉してここ迄きた。ひとかどの人間になるためには一分、一秒も無駄にしてはいけない。時間は金以上に大切なのだと思ってきたが、この本では時間節約や時間に追われる生活は人々の生活を画一化し、冷たく寂しいものに変えると述べていた。
時間は生命であり、息をしているものだ。けちけちしないで好きなことには存分に使うべきだとの考え方はガリ勉人間にはとっさには理解できないが、時間の考え方には色々あり、モモの作者ミヒャエル・エンデさんの考え方も大いに学んでいく必要があると思った。





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Last updated  2025.09.23 18:55:00
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