いなかの猫の天邪鬼部屋

第28話

OnAir~シーズン2・第28話~


#4日後、病院病室の外の廊下

(ギョンミンと医者、立っている。)

医者 : まだ安心は出来ません。血圧が問題です。そもそも高血圧より低血圧の方が危ないんですよ。

ギョンミン : それじゃ...どれだけ入院していないとならないんでしょうか?

医者 : 進行状態を見ないと分かりませんが、まず一ヵ月は入院する事になるでしょう。そもそも今の時期が一番危ないですから。

ギョンミン : ....


#入院室

(ギョンミン、入って来る。)

ヨンウン : (ギョンミンを見る) どうだった?まだ退院出来ないんでしょ?

ギョンミン : (にっこりと笑う) ああ...勘がいいな。

ヨンウン : 食事して遊んでいるだけだと、良くなるのは勘だけ...。まるで米食虫みたい。

ギョンミン : 今まで頑張って働いたんだから、少し休んでもいいだろ?それと...こんなに綺麗な米食虫がどこにいるんだ?

ヨンウン : (笑う) あなたは私がそのうち食べ過ぎで肥ってヨロヨロするようになっても大事にしてくれそうね。...いいえ...(目をクルリと回す)...その時は、また変わるかも...

ギョンミン : (眉間をしかめる) 食べ過ぎで肥ってヨロヨロ..?...(その不様な様子を想像する)......(笑いを堪える)

ヨンウン : (睨む) 今笑ったでしょ?

ギョンミン : (真顔で) いや、笑ってないよ...(また想像される) ...ククク...

ヨンウン : ちょっと!

ギョンミン : (笑い裂ける)...プハハハ.....(涙まで洩らす) あ~、笑った笑った .......

ヨンウン : (情けない) ...まったくもって幼稚だわ。パパになるには青過ぎるわ。

ギョンミン : ごめんごめん....(死ぬほど笑い、お腹を押さえて倒れる)...ククククク...


#ドラマ局PD室、ヨンウン入院の一週間後

ノPD : (振り返る) 何?ソ作家が入院を?

ギョンミン : はい。

ノPD : いつ?なぜ?無欠だった人が急になぜ?

ギョンミン : 無欠ではないから入院したんですよ。

ノPD : それじゃ、いつ退院出来るんだ?いや、いつ退院するんだ?

ギョンミン : 一ヶ月ほど入院していないとならないんです。

ノPD : それじゃ...俺たちのドラマはどうなる?シナリオは誰が書くんだ?

ギョンミン : (ノPDを見る) まだ時間はあるじゃないですか。書かれているものも半分は超えているはずだから..

ノPD : おい!イ・ギョンミン。...お前は...自分の作品は予め全て書けと言っているくせに、何?半分は超えているはず?こいつ...

ギョンミン : それが現実なんですから。病院ででも作業は出来ます。

ノPD : (横目でギョンミンを見る)お前に言われなくても、とっくに考えてた事さ。

ギョンミン : (やや苦い)...


#セアの仕事部屋

(セア、机に座って物思う。心決めたようにノートPCの電源を入れる。窓の外を見て口をつぐんで作業を始める。)


#放送局ロビー

(ソンミン、歩いている。ノPDが向こうから来る。)

ソンミン : ノ監督...

ノPD : (ソンミンを見る)あ...キム代表。


#放送局廊下

(ノPDとソンミン、コーヒーを手に持ちながら話中。)

ノPD : 大事なのかと言われれば...何もないと言うよりは大事だと言った方がいいでしょうね。

ソンミン : .... どこの病院ですか?

ノPD : それは聞きませんでしたが...? そうか ....花篭でも送らないとならないか...

ソンミン : 誰に聞けば分かるでしょうか?

ノPD : ああ、それは...ドリームハウスのイ代表に聞いてもいいし、うちのイ・ギョンミンに聞いてもいいし....

ソンミン : !!....(ため息)

ノPD : あれ..御存知なかったですか?ソ・ヨンウンとイ・ギョンミンは、そういう関係なんですが...

ソンミン : ...そうですか....

ノPD : もうすぐ結婚するという話もあって...だけど、そもそも男女関係というのは分からないものじゃないですか。だから...

ソンミン : (気まずそうに)...

ノPD : (一人で笑う) イ・ギョンミンはモテるでしょう?あいつが常時差し押えに喘いでいる事を知っている人は....(しまった!)

ソンミン : ?...!!!

ノPD : (しかし得意になって) 今の世の中で、一体誰が儲けているんでしょうね?ああ...俺も少しは儲けていられたら良かったのに。

ソンミン : ....

ノPD : 笑えたのは、あいつ、作家キラーなんですよ。

ソンミン : え?

ノPD : ...イ・ギョンミン、あいつ...ちゃんと彼女がいるのに...。(ソンミンを見る) 今度あいつと一緒に作業するユン作家、御存知でしょう?この前に一緒にいた ...

ソンミン : (ノPDを見る) はい....

ノPD : 少し前に、そのユン作家がシナリオをもう書けないと言ったんですよ。

ソンミン : どうして...?

ノPD : ...イ監督との関係は分からないですよ。でも....何があったのか...

ソンミン : (表情暗くなる)...

ノPD : ...二人に何があったのか ..それは俺が知る事ではないし...。とにかくソ作家に早く戻って来てもらわないと。

ソンミン : (考える)...


#<記憶>撮影現場

(スタッフの間でギョンミン撮影指示する。ふと考え込む。周囲の音でハッと元に戻る。)


#考え込んでいた時間...

ギョンミン : (ぼんやりとセット見る).....(そうしてふと思い出す)...そう言えば....


#夕方、ギョンミン家

(ギョンミン、倉庫の中を探す。いくつかの箱の中を探し、何かを引き出す。)

(ギョンミン、ほこりを払い、咳をする。少し後、取り出した物を持っているギョンミン。決心している様子。)


#翌日、ドラマ局PD室

ギョンミン : (電話中)うん...とにかく行くから...一度見てくれ。...ただどうだか見てくれさえすればいいから。...うん...後で会おう..


#ヨンウンの入院室


(花篭が置かれている窓辺。ヨンウン、ベッドに座って本を読んでいる。ノックの音が聞こえる。)

ヨンウン : (顔を上げて) はい。

(ドアを開けてソンミンが入って来る。)

ヨンウン : !!!(表情固まる)....

ソンミン : (淡々とした表情で近付く) ...入院なさったと聞いたので。

ヨンウン : (頭を回す)...(困り果てる)...

ソンミン : ただ...(ヨンウンを見て気が抜けたよう)...気になったものですから。.... どんな具合か...

ヨンウン : ......

ソンミン : これだけ置いて行きます。(手に持った花篭をテーブルの上に置く)...それでは...

(ソンミン、遅い歩みで歩いて出る。)

ヨンウン : .....(心重い)......


#出版社

(ギョンミン、事務室に座っている。正面に男が座って原稿を読んでいる。)

ギョンミン : ......(口をつぐんだまま相手の様子をうかがっている)....

男 : (黙って原稿を読み進めて行く)......

ギョンミン : .....長く掛かるか?

男 : (ギョンミンを見る) ん?ああ...ちょっと待って...

ギョンミン : (時計を見る).....

男 : (原稿を下ろす) .....(ギョンミンを見る)....

ギョングミン : (気になるが表情に出さずに).... 早く言えよ。もう戻らないとならないんだから。

男 : 分かった。.... いつ書いたんだ?

ギョンミン : 学生の時...

男 : これをどうしようと...?

ギョンミン : どうすればいい?カネにするには...

男 : これは演劇のシナリオだから、こっちの方でカネにするのは難しい。...知っている映画社はないか?いっそシナリオにして売ってみるか?

ギョンミン : そうすれば、いくら位になる?

男 : そうだな...どこに売るかにもよるけど...より大きいカネにしたいなら...ドラマシナリオの長さまで伸ばすとか...

ギョンミン : そんな余裕はないんだ。

男 : (ギョンミンを見る) 急ぐのか?急がないなら...こっちで何とか良いように出来るんだが...

ギョンミン : ...急ぐんだ...

男 : そうか。....残念だな...


#ギョンミン車中

(ギョンミン、決心したように頭を上げる。車を始動させてハンドルを切る。)





(原作出処: sonkhj1116さんのブログ


© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: