いなかの猫の天邪鬼部屋

第19話

OnAir~シーズン3・第19話~


#漢江水辺駐車場

(セア、ゆっくり唇を離す。サンウの目を眺める。視線避けるサンウ。セア、唾を飲み込み両手でサンウの顔を回す。)

セア : 私を見て。

サンウ : (見ない)...

セア : (涙を浮かべる) 私を見てよ。

サンウ : (奥歯を噛む)....

セア : (執拗にサンウの目を追う) 本当に私を見なくてもいいのですか?知らん振り出来ますか?

サンウ : (搖れる目、歪む) ....

セア : (涙流れる) あなたも辛いでしょう?私と同じくらいに。知らん振りしないで。お願だから...

サンウ : (体を震わせ目を閉じる) 辛い...でも...もっと辛くなるだろうから..

セア : そんな言い方があるの?やってみもしないで、そんな言い方がどこにあるの?私はイヤ。(べそをかく)諦められない。

サンウ : (頭を下げて、また上げる。セアを見る) あなたは分からない。俺と一緒にいるというのがどんな意味か...(セアの目を見て搖れる) 行って。あなたを慈しんでいるからこそ。

セア : (首を振る) いいえ、行きません。行きません。行かないから....(サンウの首を抱いて咽び泣く)...

サンウ : (辛そうに、セアの背中に手をやる)...あなたは本当に...

セア : ただしたいようにして。我慢せずに....

サンウ : (顔が歪む。両腕で抱き、目を閉じる)....後悔する事になるのに...

セア : (サンウの手に微笑滲む) 大丈夫。それは私が責任を負うから........ (サンウの顔を見る) 恨みはしないわ。

サンウ : (セアの目を見る) そんな事を言うものじゃない。誰も責任みたいなものを負う事は出来ないから...

セア : (涙を溜めたまま微笑む) ええ...それでは恨みっこなしで。私もあなたも...

サンウ : (セアの顔をくるむ) どうしてこんな無謀な真似をするんだ?俺のようなヤツに...どうして...

セア : 分かりません........(微笑滲む) あなただから....(涙が流れる) 本当...運命のようで....

(サンウ、涙を溜める.....徐々に近付いてキスをする.... セア、目を閉じる。腰を引き寄せて抱くサンウ。セアの体が震える...)


#三日後、ギョンミンとヨンウンのアパート、朝

(ベッドの上のヨンウン、横に赤ん坊を寝かせている。ギョンミン、寝ているヨンウンと赤ん坊を見て嬉しそう。静かに静かに出る。)


#キッチンの食卓

(ギョンミン、チュニ、オキシム、座って食事する。)

オキシム : チュニ、赤ちゃんの写真は焼き上がった?

チュニ : (見る) それ、焼くとか焼かないとかじゃないんだよ。そのままコンピューターに保存するんだ。

オキシム : うん..?そう...? それじゃ見られないのかい?

ギョンミン : (表情に出さずに笑う)...

チュニ : いや、コンピューターで見ればいいんだ。学校から帰って来たら見せてあげる。

オキシム : そう。ちゃんと写ってる?

チュニ : 写真より、ただ見る方が可愛いと思うけど、写真にもちゃんと写ってるよ。

オキシム : (ため息をつく) 気になるわ。午後までどうやって待とう...?

チュニ : ママも撮ったんだけど.....ママが見たら怒ると思う。

ギョンミン : ...(見る) どうして?

チュニ : (見る) ママの顔が変に写っちゃった。太っているみたいに。

ギョンミン : (笑う) それじゃママには見せるな。たしかに嬉しくは思わないだろうな。

チュニ : ......

ギョンミン : (見る) その代わり....その写真を俺にくれないか?

チュニ : どうして?

ギョンミン : 俺のホームページに載せるんだ。

チュニ : 自分で撮ればいいでしょ。

ギョンミン : (見る)....俺が撮ったのとお前が撮ったのと違うんだから、チュニが撮ったママの姿も入れておきたいんだ。

チュニ : ....分かったよ。メールアドレスを書いて。送るから。

ギョンミン : ああ....(見て微笑む)


#午後、大学路

(小劇場前の木の下に立っているセア。時々きょろきょろ見回す。苛立たしく見える。木にもたれて脹れている。)

"ごめん、仕事が遅く終わって"

(振り返るセア。サンウの顔を見て微笑滲む。)

セア : (嬉しい)...来ないと思ったわ...

サンウ : (暖かい目).....俺が来なかったらあなたは待っているだろうから...

セア : (ぱっと笑う)...... (駆け寄って首を抱く) 会いたかった....

サンウ : (控え目な微笑み。セアを抱く) .....会いたかった....


#小劇場の中

(並んで座って演劇見る二人。セア、サンウの腕を取り、時々サンウを見て微笑む。サンウ、その度に暖かい目で見る。)


#大学路

(二人歩きながら話す。セア、幸せそう。サンウ、セアを見て薄い微笑みを作る。時々遥かになる目。)


#夕方、レストラン

向かい合って食事中、サンウ、幸せな目。時々深くなる目、セア、夢見る目...)


#夜、セアのアパート玄関前

(玄関の前に立ったセア、サンウを振り返る。サンウ、楽な目で見てセアの背を押す。セア、掛け金をはずしてサンウを見る。)

セア : (緊張した顔で見る)....

サンウ : (セアを見て額に口付ける) おやすみ....

セア : (震える手でサンウのジャケットを握る) ......

サンウ : ......(セアの手を握る) .....入って。

セア : .....(惜しい目でサンウを見る)....

サンウ : .....(セアの顔を撫でて口付ける) .....入って。遅くなる前に。

セア : ....本当に...?

サンウ : (一方の口角を上げて苦笑する) .... 早く入って。つかまえたくなるから...

セア : (苦笑)......(惜しい目で見てドアを開ける)...(振り返る)

サンウ : (微笑みを浮かべてみる).....

セア : ....じゃあ...(微笑む。入って行く。ドアが閉まる)

サンウ : (閉まったドアを見ている) ......(寂しい微笑み。後ろ向きになって帰って行く)


#朝、セアのアパート

(セア、ベッドに座って電話中)

セア : 無事帰りましたか?

サンウ : はい。よく寝られた?

セア : ....はい......いいえ..

サンウ : .....................

セア : よく寝られた?

サンウ : (苦笑)...いいえ....

セア : (苦笑).....


#昼、セアのアパート

(セアの電話が鳴る。駆け付けて受ける。)

セア : (急いで) もしもし?

ユミ : 何よ。何でそんなに急いで出るのよ。

セア : (がっかりして) 別に....

ユミ : 待ってる電話があるの?切ろうか?

セア : (苦笑) ないわよ。....今日は何か...

ユミ : 別に。...あの日どうなったか気になってたりもするし...

セア : え?あの日....?

ユミ : あなたが彼の家に招待された日よ。

セア : ああ...変わった事はなかったわ。...よく遊んで来て....

ユミ : そう?それが全て?面白い事はなかったの?

セア : 何を願っているわけ?

ユミ : いえ、願っていると言うか.......分かるでしょ? どういう事か。

セア : (呆れて) まったくもう...

ユミ : 遊びに行かない?私、退屈なんだけど。

セア : あなたはどうしていつも退屈なの?恋愛もして仕事もしているからいいと思うのだけど...

ユミ : .... 仕事はある時だけすればいいし、恋愛は....男がいてこそ。.........ちょっと待って。

セア : ...?

ユミ : あなた....

セア : ....どうしたの?

ユミ : ハ- ...あなた恋愛中?

セア : 何??

ユミ : さっきのあなたの話よ。恋愛すれば退屈ではないという事でしょ?あなた恋愛中?そうなの?

セア : .....

ユミ : 黙っているという事は、認めるという意味かしら...?

セア : .....

ユミ : 言いたくない?今度はどんな男?また所帯持ちの男ではないでしょう?

セア : (気持ち悪くなる) 違うわ。

ユミ : 何が?所帯持ちの男とは違う?それとも恋愛中とは違う?

セア : (ため息をつく) 所帯持ちの男とは違うわ。

ユミ : (驚く) あら!!!本当なのね。あなたは本当に惚れやすい....

セア : (呆れる) うるさい!

ユミ : ...深刻なの?

セア : ....うん

ユミ : 気になるわ...。実のところ、一度もまともに恋愛していないユン・セアだから.... 誰なの?その運がいい男は。

セア : 言わない。ああだこうだ言わないでよ。聞きたくない。

ユミ : ...ユン・セアが簡単に惚れるに値する男かしら?

セア : (そろそろ腹が立って来る) あなたは他人の事に首を突っ込み過ぎよ。

ユミ : ....どうして?楽しい話なのに....

セア : それで他人の事をいつも楽しんでいるのね...

ユミ : .... ごめんね。

セア : ....

ユミ : だけどあなた本当に.... 深刻なの?

セア : .....

ユミ : ごめん。茶化さないから。一回だけ会わせてくれる?

セア : (ため息をつく).....

ユミ : 会わせてくれないの?

セア : (ため息) 今回だけよ。次はダメだから。

ユミ : 分かったわよ。怖いわね...


#ギョンミンとヨンウンのアパート、寝室、夕方

(ヨンウン、後ろ向きに座って赤ん坊に乳を飲ませている。ギョンミン、後ろからそっと見る。)

ヨンウン : (振り向く) 何見てるのよ。

ギョンミン : (口元に微笑滲む) 気になって...

ヨンウン : (はにかむように笑う) 気にするほどのものでも...

ギョンミン : 見せてはくれない?

ヨンウン : イヤよ。

(ギョンミン、見て立ち上がる。タンスからカメラバッグを取り出す。カメラを持って来る。)

ヨンウン : (振り向く) あら!何するの?

ギョンミン : 後姿だけ撮る。とても綺麗だから。

ヨンウン : まったく。本当に~~~~(体が動いて赤ん坊が泣く) あ~ ごめん~

ギョンミン : 動かないで。(素早く撮る。確認して笑う) 本当に綺麗だな。前姿も撮ればいいのに...これじゃ赤ん坊の頭が写っているだけ...

ヨンウン : (頭を持ち上げる) とんでもない話をしないでよ。そのうち補乳瓶に変えたら、その時撮って。

ギョンミン : それに何の意味があるんだよ。補乳瓶で飲ませるのは俺もチュニも出来るんだから...

ヨンウン : (睨む) それでどうしても撮るって?変態。撮ってどこに上げるつもりよ。

ギョンミン : どこに上げるって?俺のホームページにだけ上げるんだ。非公開にすれば誰も見られないから...(機嫌をうかがう) 一枚だけ撮ってもいいか?

ヨンウン : イヤだってば。しつこいわね。ただ見られるだけでも恥ずかしいのに...写真まで撮るの...?

ギョンミン : .....(カメラを下ろして) それじゃ....見せてくれてるだけでもダメ.....?

ヨンウン : (困った目で睨む) 何なの。結局それが狙い?

ギョンミン : (笑う目)写真を撮るとは言わないから、一度だけ見せてくれ。な?

ヨンウン : (唇を突き出し困った表情で見る) ....

ギョンミン : (微笑滲む) 一度だけだから。うん?

ヨンウン : (唇を突き出したまま何も言わない)...

(ギョンミン、用心深くヨンウンの前に行く。赤ん坊を抱いたヨンウンの姿に感動して顔全体に微笑滲む。)

ギョンミン : (夢見る目) 本当に....感動するよ!

(ヨンウン、ギョンミンの姿にはにかむように微笑む....)






(原作出処: sonkhj1116さんのブログ


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