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ゴールドのからくり4
▼輸送路
サウジを超える埋蔵量が確認されているカスピ海の原油と天然ガスの
パイプライン(ロシア軍のミサイルで爆破)があるグルジアは、米欧
とロシアの、軍事対立の焦点でもあります。
劇場での惨殺など、ロシアからの独立戦争(2002年~)で悲惨な戦い
があったチェチェン(グルジアの北東)も、パイプラインの敷設地帯
です。アフガンでも、カスピ海から原油を運ぶためのパイプラインの
敷設が、いつ終わるとも知れない地域戦闘の原因です。
グルジアの戦争は、エネルギー資源の輸送路の争奪が、原因です。
【強硬なロシア】
ロシアの、好戦的なメドベージェフ大統領(第一権力者はプーチン首
相)は「冷戦の再開(08.08.26)」と表明。
「米国の覇権」を支える米軍の、中東地域での弱体化を見たものです。
プーチン首相は、強大だったソ連邦を復活させることを狙っています。
【国際】
日本人は、敗戦以後、日米安保条約(米軍の核による支配)を甘受し
ています。そして独立した民主国は、民意で政策が決定されると、正
しく、美しく考える。世界を、仮想的に見ています。新聞の社説にそ
れが現れます。
ところが、民主国の基底には、軍がある。しかしわが国では、国力を
発揚するための軍隊は、憲法に反します。憲法への非論理の神学論争
と、軍の実際機能への思考停止が、続いています。
■2.巨富をもたらす資源・エネルギー
【ロシアの狙い】
ロシアは、カスピ海の天然ガスと原油がロシア国内のパイプラインを
通らず西欧・米国に運ばれることを、阻止することを国益としていま
す。原油と天然資源を押さえることが、国益で最大という認識からで
す。
【米英メジャー】
かつてソ連圏だったグルジアでのパイプラインの敷設は、1990年代に
失われた石油利権の復活を、カスピ海の原油・天然ガスに関与するこ
とで狙っている欧米石油メジャー(現在は力がない)の資本によるも
のです。グルジアは、脱露・親欧米になっていた。
【世界最大の3000億バーレルの埋蔵量】
キャビアを産するカスピ海の、海底原油の推計埋蔵量は、3000億バー
レルを超え、サウジの2600億バーレル(世界の25%)より多いとされ
ています。
過大見積もりかもしれませんが、サウジに匹敵するのは確かなようで
す。
【カスピ海原油の巨富】
時価総額では、$120×3000億バーレル=$36兆です。円換算では、4
000兆円という、想像を超える巨額です。世界の年間GDP(約5000兆
円)の8割に相当します。日本が生む商品量(=GDP500兆円)の8年
分です。
【資源通貨ルーブル】
ロシアのカスピ海原油と、埋蔵量で最大の天然ガスが、ロシア通貨ル
ーブルで売られるように変われば、世界がひっくり返る量の富です。
(今は、ユーロで売られています)
そうなれば日本も(今の対米国のように)、ロシアに商品を売り、国
際通貨になったルーブルを得なければならならない。
プーチン首相は、原油と天然ガスを基礎資産に、商品バスケットによ
るルーブル通貨圏を作る構想も、明らかにしています。エネルギーと
資源の、合成価格(=加重平均価格)に、ルーブルを連動させる。
●ロシアに隣接する中央アジアと中東は、90年代の約4倍~6倍に高騰
したエネルギー価格のため、富の宝庫になった。その獲得のための「
戦争」の一端がグルジアです。
ソ連の崩壊(1989年~)後は、冷戦の終結が言われた。
米国経済の情報と金融産業を、平和の配当と言った。
低い賃金の新興国からの商品輸出で、インフレなき成長でもあった。
【米ドル圏の拡大をグローバリズム、国際標準と言った】
90年代の10年は、米国の一極覇権による「グローバリズムの時代」で
した。
どの国も、金融(金融工学)と情報産業(情報工学)が巨大化した米
ドルを、価値があるとした時代でした。
米ドルを、貿易黒字の代償として、もっとも巨額($6兆:660兆円相
当)に、$証券としてもつ日本の円も、高く評価されていました。
【ユーロの成立とイラク戦争】
しかし、ユーロの成立(2000年)とイラク戦争の泥沼化(2001年以後)
を契機に、米国の軍事と経済の覇権が、凋落しています。
米ドルの、経済的な覇権(=対外権力)の、衰微も意味します。
ペーパーマネーの時価は、国力への信用を計るものでもある。
戦争は「戦闘」だけではない。権力、思想、イデオロギー、そして商
品(富)の争奪、そして何よりも、経済力の表象である通貨の覇権を
含む。戦争は、予見する未来の、富の略奪への欲望の表れです。
今、戦闘での最強は、ロシア軍かもしれません。国民には2年間の、兵
役の義務がある。失業者の傭兵でもある米軍の士気は、落ちている。
戦闘力は、兵器や核の量ではない。
■3.国際と通貨圏
われわれが美しく思い描く「国際」は、諜報と謀略と、自国にとって
覇権を拡大するための策略と暴力の場です。(注)元外務省の佐藤優
はそれを明らかにしています。あらゆることが、いずれ明らかになる
情報化時代です。
●国際的な覇権の具体的な現れが、その国の政府が発行した紙幣が信
用される通貨圏です。
国際的に商品を売買する市場で、米ドルの価値(富の保存機能)が信
用され、皆に使われる(60%)という根拠で、ドル基軸の通貨体制が
成立しています。
【対外債務$20兆】
しかし米ドルも、その赤字から、他の通貨に対しどんどん安くなれば
(=その分信用を失い)、対外総債務$20兆(2200兆円相当)のドル
建て証券に売りが殺到し、捨てられます。
【ユーロの意味】
ユーロ(約40%)は、ゴールドの裏付けを失ってどんどん安くなる米
ドルの覇権を嫌い、2000年に、ドル基軸から離脱しました。20年の周
到な計画でした。
ユーロ圏の統一通貨は、米政府・FRBが任意に発行できるペーパー
マネーの米ドルで、欧州の企業と、金融機関が買い占められてはたま
らないということから発想されたものです。
【資源・エネルギーの価格】
20世紀まで、資源・エネルギー・穀物の大消費国は,米欧日の先進国
経済圏(10億人)でした。
21世紀は、新興国30億人の経済発展から、(10年の長期で見れば)そ
れら資源がより多く必要になるとされる。
21世紀は、資源・エネルギーが、その国の通貨の価値を裏付ける。そ
の方向に向け、変わった感じがします。輸出力をもつ工業が、新興国
に移転しつつあるからです。
資源・エネルギー輸出国の通貨の、米ドルに対する上昇は、それを意
味します。
【ドルの対ゴールドへの価値】
米ドルの、この価値下落をシシンボライズするのが、1980年の$850を、
一時は超え、$1000になったゴールドの価格上昇でしょう。
(注)円と人民元は、ドル通貨圏です。輸出相手が米国だからです。
したがって、ドル価値に正比例し実質価値が騰落します。
(注)今ゴールドは、$1000のピーク(08年7月)から、20%下げ$
800です。1トロイオンス(31.1グラム)です。1グラムが約3000円。
円では、1980年のピークだった6495円の半分です。円が、1980年の米
ドル(227円)に対し、2倍に上がっているからです。
■4.国家信用を背景にする国債も、通貨である。
ユーロ諸国は、政府の財政赤字を、GDPの3%以内に抑える協定を持
ちます。財政赤字の抑制を原因に、国の赤字を増やし続ける米ドルに
対し、8年で、60%~70%の価値上昇(=米ドルの価値下落)があった。
重要なことですから、認識しておく必要があります。
●通貨の国際価値は、政府赤字による国債発行で下がる。
(注)2000年代の日本の円が、米ドルに対しては下げていないのは、
800兆円の日本の国債が、国内の個人預金を原資にして、金融機関や基
金で買われているからです。
▼これからの日本
21世紀は米国・欧州・日本は、ひとしく高齢化です。高齢化は、医療
費と年金支払いのため、国の財政の赤字がどんどん増えることを意味
しています。
民主国では、増税と医療費と年金の切り下げより、国債の発行が容易
だからです。
年金の切り下げは、わが国の厚生年金では65歳からの「年金の支給開
始年齢」を、順次、ひきあげることによって行われます。
わが国の、次の政策は「60代は働ける」ということです。
財源がないと払えないためです。
国債の増発は金利を上げます。政府収入は国債の利払いのため差し引
きが増えない。
20年後は、年金も「75歳の後期高齢者」になってからということかも
しれません。
(注)ここで重要なことを言えば、年間40兆円は預金が増える高貯
蓄国だった日本も、2000年以後、預金が増えなくなったことです。
原因は、5年で1000万人の、ベビーブーマーの60歳超えの高齢化と、
80%の人々の賃金の停滞(下落)、そして、ゼロ金利です。そのため、
今後、国債を増加発行すると、金利が上がります。アラブ、ロシア、
中国は、日本国債を買ってはくれない。
商品輸出入では、原油・資源・穀物価格の高騰で、26兆円が国外流出
し、日本も近々、貿易赤字国に転落します。
日本のみならず、欧州も米国も、同じように高齢化します。
つまり財政赤字が増え、国債発行で、通貨の価値が下がる。
■5.国債が意味するもの
財政赤字は、政府信用を裏付けとした、国債の発行です。
この国債は、紙幣に、翻訳されます。
広義にみたその国の紙幣は、国債の発行額です。
国債は、市場で即座に紙幣に交換できるからです。
たとえば、国の信用にその価値を依存するペーパーマネーの性格を典
型的に表す日銀のバランスシートは、
・所有する日本国債を、唯一の根拠ある資産とし、
・その所有額に見合う1万円札を発行しています。
貸借対照表(08.08.20時点)をみれば、国債に依存する脆弱な資産構
造が明らかです。金利が上がって、国債価格が下げれば、日銀信用は
飛びます。
http://www.boj.or.jp/type/stat/boj_stat/ac07/ac080820.htm
日銀は、日本政府が発行した国債(総額800兆円)の価値をもっとも信
用し、その価値を裏付けに、通貨を発行しています。
企業の資産に当たるものは、日銀では国債だけです。
この点では、米国FRBも、欧州中銀(ECB)も同じです。
(注)最大の資産である長期国債と、短期貸付(短期国債)の所有額
の合計が、97兆円です。他方、日銀にとっては国民への負債である紙
幣の発行が75兆円(1万円札で75億枚)、銀行からの預かり金(日銀
当座)が9兆円で、両者の合計は84兆円です。
その日本国債の信用(=価格の維持)は、どこから得られているか?
・国内の民間金融機関(総資金量500兆円)、
・郵貯・簡保(同300兆円)、
・年金基金(同170兆円)が、
低金利の国債を、債券市場で喜んで買っているからです。
しかし、今後、世帯の預金が増えず、郵貯・簡保も減り、年金基金も
減れば、国内金融機関に、800兆円の残高を超えて増加発行される国債
の買い手がなくなります。
それが、いよいよ近付いているのが、2008年です。団塊の世代(5年で
1000万人)が、退職年齢の60歳を超えるからです。
これが、ペーパーマネーの価値を下げます。
その現象が、金融機関が無リスクの資産としている国債価格の下落で
す。国債の発行には、限度はない。国内で引き受けることができる限
りは、です。
(注)今は、10年もの国債の利回りは下げています。金融機関の安全
志向からでしょう。しかし実は安全でない。インフレは、長期金利を
上げるからです。2009年までは、世界の信用恐慌を防ぐための中央銀
行の低金利策と、債券買いで、金利は低いままでしょう。
国債は、引き受け手がなくなれば、価値は下げる。
これが、その国の通貨の下落です。当然の原理です。
円も米ドルと同じでしょう。
(注)日本政府にドル離脱を薦めます。わが保有する$5兆(660兆円
相当)のドル債を売ればいい。ごく一分で、ゴールドを買えばいい。
ドル債を派手に売らなくてもいい。担保にして借りて、ゴールドを買
えばいい。これが、この国を救うですが・・・最悪は、価値が下げる
ドル債をもち続け、巨額の為替差損を出すことです。
■6.ゴールドの価値の二面性
▼総量とその用途
有史以来のゴールドの生産量は15.5万トン(現在の時価で465兆円)と
いうのが定説です。全部集めて、オリンピックで使う50メートルプー
ル3杯分とされますから金の総量は少ない。15万トンの小型タンカー
の一艘で運べる量です。
その用途は、
・指輪やネックレスの宝飾が52%(8.1トン:時価で240兆円分)、
・個人の投資的保有が16%(2.5トン:同75兆円)、
・工業用が12%(1.9トン:同57兆円)
・世界の中央銀行の所有が23%(3.5万トン:同105兆円)とされてい
ます。
「されています」と言う理由は、果たして、(後述するように)FR
Bを含む中央銀行にあるのかどうか、どこにあるのか、多いのか少な
いのか、政府公表データの真偽を確かめる手段がないからです。
既述したように「商品性の金の売買」は、IMFに届け出の義務がな
いとされるようになったからです。通貨性のゴールド・バーを買って
も商品とすれば(あるいは金証券を買っても)、IMFへの通告義務
はない。米国政府は、中央銀行の金保有を、カモフラージュする意図
を持っています。
今は1年で、2500トン(7.5兆円分:地上在庫の1.6%)が生産されてい
ます。宝飾用が50%、工業用12%、ゴールド・バー38%と見ていいで
しょう。産金コストは1トロイオンスで$350くらいです。
金の世界の埋蔵量は少ない。採掘が可能な残りは、5万トンと言われ
ています。1トンの金鉱石から5グラムは取れないと採算に乗らない。
しかも金鉱山は、生産を増やすと決定してほぼ5年後でないと、産金を
増やせない。いずれにせよ、産金量が1年2500トン以上に増えることは
想定できません。そして、埋蔵も20年で枯渇します。
(注)原油も採掘可能は約45年で似ていますが、世界の需要はクリー
ンな天然ガスに需要がシフトしています。原油が長期で見て、$200に
なるのは、中東またはカスピ海の周辺で戦争の危機がない限り、考え
られない。仮に$200になっても一時的です。現在は$140から下げて
$120です。
中国とわが国での天然ガスの利用は、米欧に比べ遅れています。パイ
プラインの敷設がないためです。国家のエネルギー戦略が遅れている。
(注)天然ガスは石油と同時に出ることも多い。
世界の通貨(M2のマネーサプライと国債)の総量が、1年で10%増加
すると仮定すれば、需給で言って、ゴールドは年率平均で9%は上げる
でしょう。金が1.6%しか増えないからです。
しかしこの上げは、間欠的で、突如30%~50%、あるいは2倍に上げる
ような値動きになる。(注)短期では、この8月のように20%下げる時
期もあります。
■7.ゴールドの価値の二面性が、他の商品にない特性
ゴールドの価値には、2面性があります。
【1面:商品性の金】
まず、商品として消費される側面です。工業用や宝飾用として消費さ
れます。その消費のうち60%くらいはリサイクルされ、回収されてい
ます。これが「商品性の金」です。2500トンの産金量の60%くらいが
商品性の金に使われます。
【2面:通貨性の金】
他の面は、原油や資源にはない価値保存の機能です。政府信用を裏付
けにしたペーパーマネーが、信用を失った時、あるいは価値下落した
ときの「究極の通貨(グリーンスパンの議会証言)」になる。これが
「通貨性の金」です。
次項は、書くことに、心理的な抵抗があります。
しかしマネーの現実ですから、敢えて書きます。
ゴールド・バーの、怪しさと曲々(まがまが)しさ。
■8.マネー・ロンダリングの(巨額)用途もある
兵器の密輸、麻薬の売買のときの信用される通貨は、ゴールドです。
映画007のとても古い「ゴールドフィンガー(1964年)」の世界は、
劇画的な脚色はあっても、英国の、諜報機関「MI6」の活動の一端も
示していて、全部がフィクションと言えない面があります。
映画にすれば、皆が、逆に、架空の話と思う。それを狙うため、劇画
的に嘘っぽくストリーを書いて映画にする。本当のことを嘘めかして
言うのは、たちが悪い。
ロシア国債のデフォルト(1997年)のとき、腐敗した政府高官が、ス
イスや米国で行ったマネーロンダリング(資金洗浄)にも、(おそら
く)ゴールドが使われているでしょう。
わが国では、広域暴力団が、脱税資金をスイスで資金洗浄したことは
よく知られています。あとは挙げますまい。
ロシア国債を、海外(一例が、1997年に破産したLTCM等)が買っ
たとき、米ドル紙幣を手にしたロシア政府の腐敗した高官が、スイス
やタックスヘブンに持ちこみ、ゴールド預金をしたとも言われます。
そのロシア国債は、金利払いも返済も、されなかった。
違法な脱税を含め、国際的な資金が蠢(うごめく)く「マネー・ロン
ダリング」の総額は不明です。金額が分かれば資金洗浄にならない。
●推計では、1999年以後だけでも、1年に$5000億~1兆(50兆円~10
0兆円)とされています。世界のGDPの1%~2%です。GDPや国際
貿易、国際資金移動の集計における誤差・脱漏の範囲です。兵器や麻
薬の密輸は勘定に入っていない。
低開発国への援助の美名で行われているODAの貸与(日本が7000億
円:世界で11兆円:2005年)からも、相手国高官の、マネーロンダリ
ンがある。
中国の外貨準備(約250兆円相当の政府資産)の預け先の明細は、どう
なっているのか? 王族が支配する中東の資金は、どこに、どう預け
られているのか?・・・です。 これらは、数%でも*兆円単位です。
ゴールドに曲々(まがまが)しや、触れれば危険なイメージがあるの
は、まさに「国際」で、資金を動かす国際金融マフィアやタックスヘ
ブン(租税回避地)が、もっとも信用している通貨でもあるからです。
これらが、ゴールドの伝統的な「価値保存機能」です。
■9.国際とは国内法や税が及ばないところ
「国際(国家の際を超えたところ)」とは、各国の法が、及ばないと
ころです。国際法はありますが名目です。大国の政治力で決まる。国
連のように無力な位置です。
(注)日本では国連も「国際」も高い位置にあります。しかし「国際」
は、オリンピックのようには美しい場ではない。
タックスフリー(無税)になるのはそのためです。税は、国の法が及
ぶ範囲で有効です。国境は、税と軍と法が、及ぶ範囲です。
【タックスヘブン】
マネー・ロンダリングと見なされない正規なもので言っても、元本出
資約200兆円のヘッジファンドが利用するタックスヘブン(租税回避地)
やオフショアは、「国際」として各国が認めています。
ペーパーマネーは、政府信用です。各国政府から離れた「国際」が、
紙幣より、普遍的な価値があると認められているゴールドを重んじる
のは当然でしょう。
▼タックスヘブンとオフショア
日本株の売買の60%は「ガイジン」による売買と言われますが、その
売買は、多くが、タックスヘブンに本拠を置く、ファンドによるもの
です。日本のファンドマネーも、行っています。
スイスに隣接するリヒテンシュタイン(人口3.3万人)は、国際金融業
のタックスヘブンです。スイス、モナコ、サンマリノ、英領バージン
諸島、バーレーン、シンガポール、香港、マン島、バハマ、パナマ、
バーミューダー諸島など、40か所もある。
そこに資金運用の本拠を置けば、課税が逃れられることがある。
(注)内容は、それぞれ異なります。
米国の入国査証で、100万円以上の現金や、それに代わるものを持って
いるかどうか訊かれるのは、マネー・ロンダリングの防止がその名目
です。無差別に、旅行鞄も検査できます。指紋もとる。わが国では、
正規の国際送金は、銀行で申告されています。送金の相手先を含めや
やこしい書類を書く。
■10.日本と欧州のゴールドへの態度の違い
欧州(特にスイス、フランス、イタリア)、中東、インドでは、ゴー
ルドがペーパーマネーの価値の根底にあるという考えの人たちが多い。
他方、日米では、ペーパーマネーの発行量とゴールド保有を関係づけ
て考えることが少ない。エコミストも通貨論(貨幣論)は研究せず、
書かない。政府を信用していると言えます。
ケインズは『一般理論』の前に、邦訳で全2巻の『貨幣論(900ページ)』
を書いています。アマゾンの古書で手に入れ、手許にあります。
誰も読まないでしょう。読むのに骨が折れます。しかし貨幣の本質は
見通されています。ケインズは紙幣論者です。
政府あるいは民間が、ペーパーマネー(つまり紙幣、証券、国債)を
大量に発行した国では、例外なく、政府主導で「反ゴールドキャンぺ
ーン」を行っています。「通貨が金に依存するのはばかげている」
金には、価値貯蔵の機能はない、無意味だとする。
そして金価格の下落を誘う政策を取ってきました。
1980年以降、2002年まで続いた金価格の下落は、興味深い時期でした。
日本は、国債を大量発行した。米国は、株と証券と紙幣を海外にばら
まいた。その最後が、金融工学を使う住宅関連証券でした。
欧州は、そのドル建て債を買った。
●いずれにせよ、世界には、ペーパーマネー(紙幣、証券、株、国債)
があふれた。信用膨張です。(注)現在の、国債を含む証券の総量
は世界のGDPの約3倍の1京5000兆円です。
世界的な、ペーパーマネーの信用膨張の20年の中で、
(言いかえれば紙幣の増刷と、株を含む証券の増加の中で)、
・第二次オイルショックの1980年には1トロイオンで$850の瞬間価格
をつけた金価格は、
・2001年の最低価格$250にまで低下しています。
それがなぜ、2002年から、原油と歩調を合わせ、急騰したのか?
まず、原油の急騰原因の真相から解きます。
■11.原油の急騰の本当の原因は、「通説」と異なっている
原油高騰の原因を、通説は以下のように言っています。
(1)中国、インド、そして新興国の経済成長(7%~2桁)で、資源・
エネルギー・穀物の需要が増えている。今後もっと増える。
(2)中東の地政学的不安。
(3)ファンドや年金基金が、商品先物を、投機買いしている。
しかし需要の事実は、以下です。原油需要は増えていない。今後の予
想できる増え方も穏やかです。2009年は逆に減ります。
世界需要の6割を占めるOECD(先進30カ国)の原油消費は、2006年
でマイナス0.9%です。先進国の原油消費は、減っています。
他方、世界需要の4割を占める非OECDの、2006年の消費増は3.1%
でした。以下が、2000年代の世界の原油消費の傾向です。(単位:億
バーレル:英国石油(BP)の集計)
【OECD30ヵ国】【BRICs】【その他】【世界計】【価格】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2000年 174.5 42.4 62.3 279.2 約$30
2001年 174.1 43.1 63.2 280.4 $25
2002年 174.1 45.0 64.6 283.7 $25
2003年 176.3 46.8 65.8 288.9 $30
2004年 179.7 51.2 68.8 299.7 $40
2005年 180.5 51.9 70.8 303.2 $55
2006年 179.0 54.2 72.4 305.6 $60
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2000年から2006年の世界需要は、279.2億バーレルから305.6憶バーレ
ルへと、9.3%増加しています。年率の増加は1.5%です。実に安定し
ています。
世界経済(GDP)の実質成長は、年率3.5%くらいでした。
GDPの1単位に対する原油効率は、年間で2%改善しています。
OECDの原油消費は、2006年は、逆に減っています。
●2000年の1バーレル(159リットル)の$30が、2006年の$60へと急
騰する理由は、この世界需要の増加ペースには、見当たりません。ま
してや$145へと4.8倍にも上がる理由は、需給面では皆無です。
BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)に含まれる中国の、
原油消費が増えていると言っても、先進国(OECD)の景気後退と、
エネルギー効率の上昇で吸収できます。
【2007年】
上表にない2007年の、世界の原油消費の増加は、過去のペースより
0.4ポイント低い1.1%です。
【2008年は消費減】
今年2008年は、世界的な不況への突入で、最大の消費国である米国(
世界の25%を占める)は減少の見込みです。6%を占める日本も、減り
ます。欧州も減る。
世界需要の6割を占めるOECDの原油消費は、確実に減り、これが来
年の2009年も続きます。
【中国の増加ペースも低下する】
中国も、株価・地価のバブル経済が、2008年2月から崩壊しています。
(上海市場の株価指数は6000ポイントからその40%の2400ポイントへ
下落。地価もこれから、株価下落を追います。)
■12.今後の原油価格への結論
▼先物指数の投機買い
原油の実需には、$30から$120~140へと3倍以上に高騰する原因はな
い。
じゃ何が、価格を上げたのか。米国の商品市場での、原油先物への投
機です。原油先物が、投資のポートフォリオで金融商品になった。
投機価格への「つれ買い」を促すには、論文やリポートが必要です。
OPECは「中国の原油消費は25年で倍増する」と発表しています。
2006年の中国の原油消費は27.2億バーレル(世界需要の9%)です。
2033年ころ55億バーレルになると言う。しかしこれは25年の長期です。
年率では、2.8%の増加です。実に穏やかな増え方」でしょう。
結論をいえば、今の原油価格は、実需増からの価格高騰ではない。
上げた原因は、ドルの過剰流動性です。つまり、実質経済に対するド
ルの通貨価値の下落があって、それがファンドの投機になった。ドル
が、世界にあふれ価値が下がるのを恐れた結果です。外貨準備だけで
も$6兆(660兆円)もあり、1年に、米国にとっての借り入れが100兆円
くらいも増える。
2006年までの米国住宅価格の、高騰理由は、ローンの証券化による「
安易な貸付の増加」でした。代表が、150兆円のサブプライムローンで
す。これも、海外に売った。
米ドルの過剰流動性が、住宅に注がれた結果です。
先物市場で金融商品化した原油価格も、住宅と同じ原因です。
結論を言えば、これからの原油は(戦争や紛争等の理由を含んで)O
PECが、供給を減らすことによってしか、今の価格の維持、または
上げはない。
ファンドの投機は仮需です。仮需は、利益を出すのが目的です。仮需
で実需が増えるわけではない。
ファンドは、原油を使いません。売るのが目的で、一時所有する。そ
のため、皆が利益確定の目的で売る時には、大きく下げます。
中国の経済発展が原油を上げるという通説とは異なりますが、今後の
(増えない)世界需要の合計を見れば、それが言えます。
加えて、あまり知られていない事実を言えば、米欧のエネルギーは、
90年代から、順次、天然ガスにシフトしています。
過去2度のオイルショック(1973年、1980年)では、いずれも、原油価
格はその前の4倍に上げました。
高騰した翌年以降は、実需が減っています。そして価格は下げた。今
後、これと同じことが起こります。価格が上がれば需要は減ります。
車も小型になる。価格が上がった住宅と同じです。
▼にもかかわらず・・・
しかし米ドルとドル証券の過剰印刷は、今後も変わらない。
金価格の、2000年以後の約3倍への高騰は、ドルの通貨価値の下落を意
味します。
それと同じく、原油・資源の高騰は、ドルの過剰発行が原因です。妥
当な原油価格は、2000年の3倍の、$90付近でしょう。
(注)ただしイランを含む中東、そしてカスピ海周辺の危機があれば、
一時的には、この2倍以上になるでしょう。
■13.90年代のゴールド価格に低下には、原油より複雑な事情があっ
た
▼1980年までのゴールド価格の決まり方は、現物取引だった
●1980年までのゴールド価格は、
・金の地金(ゴールドバー)の買いの量と、
・金の現物生産量、及び現物の保有者(中央銀行、銀行、個人)の市
場への放出量で決まっていました。
まず、この事実の確認が重要です。
第二次石油ショック時(1980年)には、$850に高騰しました。
1976年は$103でしたから、4年で8.3倍に上がった。
(注)1トロイオンス(31.1グラム)の米ドル価格で述べます。金市場
も、米ドルで取引されるからです。原油・資源と同じく「ドルが尺度」
です。
▼カナダの産金業者バリック・ゴールド社が1980年代に「先物ヘッジ
売り」というリスクの高い取引を開始した(この先物ヘッジ売りも、
単純なデリバティブの一種です)
ゴールドの政商的な色彩が強いバリック・ゴールド社(産金鉱山会社)
は、なぜか「金は下げる」と確信していました。米政府とFRBの、
「金価格を下げる」方針のリークでしょう。そうでなければ、リス
クがあって実行できない。
方法は以下です。若干長くなりますが、丁寧に示します。
(1)金の現物を、中央銀行やブリオンバンクから、1%~2%の低い金
利を払って、金の鉱山会社が借りる。(金のリースを受ける)
(注)3.5万トンの金を貯蔵していた各国中央銀行は、市場に金をあふ
れさせ下げるため、国際協定で、保有する金を、ブリオンバンクにリ
ースすることを決めていました。
ブリオンバンクは、金を取り扱うことを許可された銀行や商社です。
ブリオンバンクが、中央銀行からリースを受けた金を、鉱山会社に、
3%から4%の金利をとって再リースする。
(2)鉱山会社は、リースを受けた金を、マーケットの時価(たとえば
$600)で、市場で売却する。ブリオンバンクの直接売却も、もちろん
あります。
(3)将来、自社の金鉱で生産した金や、次のリースで借りた金で、貸
主(ブリオンバンクから中央銀行)に返却する。
このときゴールドの時価が400ドルに下落しているとすると、200ドル
が、この先物ヘッジ取引での利益になる。(注)上がっていれば損で
す。倒産します。
こうした金リースと先物ヘッジ売りで、各国の中央銀行が貯蔵してい
た金(合計3.5万トン)のうち、多くが、金の市場にあふれることにな
った。
金市場では、売りの超過になって、ゴールド価格が下がる。
中央銀行が貸した金の、「空売り」と言えます。
同業者も、バリック・ゴールド社が継続して出した巨額利益を見て、
「先売りヘッジ」をまねた取引を行ったのが、1980年代中期からです。
●以上によって、金は2002年の$225に向かい、20年間、下がる傾向を
続けた。
●その首謀は、金のリースを行ったFRBと各国中央銀行です。
ペーパーマネーを発行する中央銀行と、国債を売る政府にとっては、
「ペーパーマネーの下落を示す金に高騰は敵」だからです。
●市場に出回る金が、リースされる金と、将来の金鉱からの産出を含
んで、急に増えた結果になった。金庫に眠っていた株が、売りに出さ
れ、流動株が増えたのと同じ、価格下落効果です。
1日1000トンが、金先売りヘッジ(先物ヘッジ売り)で取引されました。
当時の、年間の生産が約2000トンですから、先売りヘッジの量が、
いかに多かったかわかります。
金への投機あるいはインド、中東、中国の宝飾商品としての需要が、
この売りでまかなわれた。金価格は、上がらなかった。あたかも、市
場で無尽蔵になったような感じです。
中央銀行の3.5万トンを借りた売り手が、突如、現われたからです。
●ここが、
・1980年までの金の、現物の売買市場と、
・1980年代以後の金市場の、根本的な違いです。
そのため、20年も低迷し、下がった。
逆にいえば、先物ヘッジ売りが終わるか、制限されれば、金価格は上
げる。金の需給では市場で1年に500トン不足しているからです。
●事実、1999年には、各国中央銀行は「ワシントン合意」で、金のリ
ースを制限します。2004年には、「第二次ワシントン合意」で再びリ
ース量を制限する。
●このワシントン合意の理由は、(論理的な推理ですが)FRBと各
国中央銀行が保有するゴールドが、「リースと現物売り」によって、
枯渇したためと思われるのです。
今、米欧の中央銀行の、公式には3.5万トンとされるゴールド保有は、
大部分が、空洞化していると見るのが正当でしょう。
バランスシート上では、ゴールド保有のままでもいい。実際は売った
としても、売却価格に見合う現金が、資産として入金しているからで
す。
中央銀行による金現物の売りは、1年で400トンでした。市場での500ト
ンの不足を、この売りがうずめていた。もし、この売りや金リースが
なければ、金は上がっていたのです。20年も続ければ、公表された売
りだけでも8000トンです。これは、米国FRBが保有するとされる量
に匹敵します。
▼米政府、FRB、及び金融マフィアと通じた政商
バリック・ゴールド社は、顧問団にブッシュ元大統領(パパ・ブッシ
ュ)、ベーカー元駐日大使、コーエン元国防長官、カナダのマルニー
ニ首相、元ドイツ連邦銀行総裁オットー・ペール等が名前を連ねてい
ます。
米政界と金融の上層に結びついている政商です。米政府とFRBが画
策した1980年に$850に高騰した金を下げる政策を、市場で実行したの
がバリック・ゴールド社でした。その方法は、既述した先売りヘッジ
(先物売りによるヘッジ)でした。安くなることを知っていなければ、
この取引はできない。
所有するゴールドを、リースをしたのが、FRBと欧州の中央銀行で
す。特に欧州の中銀は、金の現物も、売りに出します。
1999年には、イングランド銀行が、保有金715トンのうち415トン売却
するという発表をしています。これが、市場心理のとどめになって、
金価格は1999年8月25日に、$252の歴史的安値をつけます。
英国は20世紀前半の、金本位時代の基軸通貨国でした。
市場心理に与えたインパクトは大きかったのです。
鉱山会社をもつ産金国であるカナダとオーストラリア(いずれも英連
邦)が、金価格を下げる露払いの役割を務めたことになります。
金価格を下げる米政府の意図は、「金利のつかず価格が下げる金より、
株のほうが儲かる。確実性を求めるなら、政府が保証する国債がい
い。金の時代は1980年で終わった。」ということを訴えるためでした。
金の時代が終わり、ペーパーマネーに替わったことを訴えるためです。
金価格を下げるため、中央銀行が金リースを開始し、更に下げるため、
1年約400トンの金の現物を売った。
■14.誰が安い金を集めたか?
1980年代、90年代の20年間、中央銀行が仕掛けた金リースで増加供給
され、マーケットで安く売られた金($250~$400を波動)を「誰が、
一手に集めたか?」
ゴールドの謎は、これです。
1トロイオンスが平均で$300と、現在の37%なら、各国中央銀行がリ
ース用に使った3.5万トンのうち3万トン(86%)を、実質的に集めて
も、全部で30兆円です。(注)現在の時価は、3倍の90兆円
20年に分散すれば、3万トン÷20年=1500トン/1年の買いです。
1日の金の先売りヘッジ量が1000トンですから、そのうち3%(3トン:
90億円)くらいなら、目立たせず買えます。10年に分散でも、1年に1
80億円にすぎない。
市場で買うのは、真の買い手から、資金を預かるエージェント(代理
人)です。1年に、1兆5000億円分です。これは、中規模の金融機関に
とっても、容易な額です。
ここに、2002年からの3倍への高騰と、将来の金価格を解く時の、謎が
あります。(注)繰り返しますが、金の上昇は、ドル価値、ユーロの
価値、そしてドル圏の円価値の下落です。
観測筋は、銀行の語源でもあるデル・バンコ一族(本拠地は、海に浮
かぶ水都「ベネチア」)が、FRBと米政府、及びイングランド銀行
そしてスイス銀行が安く誘導したゴールドを買い、所有権を集めたと
推測しています。(鬼塚英明:『金の値段の裏の裏』)
デル・バンコは中世のベニスの商人以来、800年の歴史をもちます。
イタリア(特にフィレンツェ:ベッキオ橋)に、金細工店が多い理由
でもある。
国際金融マフィアであるロスチャイルド家が出資した「バンク・リッ
プス」を創設したフェルナンド・リップスが、2001年夏に(意図して)
書いた『Gold War(邦訳:いまなぜ金復活なのか)に、以下の記述
が見えます。
当時の金価格は、$270と最低水準でした。これが、$1000以上に上が
る予測をしていた。この予測は、以前、コモディティへの投機で紹介
したジム・ロジャースと似ています。コモディティの先物も、投資の
ポートフォリオの対象である金融商品になった。
リップスは、同じく金融マフィアであるデル・バンコ一族の、ゴール
ド買いのエージェントを務めたと目される人です。現在、金鉱山の経
営に従事しています。おそらく、今、金を誰が所有しているか知って
いる。
・米国は財政赤字、経常収支の赤字を続ける。
・米国の純債務は、どんどん増える。(=ドル増刷)
・ゴールドは、年間500トンの慢性的な供給不足である。
・不換紙幣の増刷でインフレが進む。
・中東問題は容易には解決されない。
増刷される米ドルと米ドル証券の実質価値の下落が、インフレを生み、
金価格を上げる・・・
(注)デル・バンコ一族は、ゴールドの保有をベースに、BIS(ス
イスイのバーゼルに本拠を置く国際決済銀行)を、資本で支配してい
ます。ロスチャイルドにも、つながっています。
BISは、わが国では、金融機関の自己資本比率を8%以上とするBI
S規制で有名です。「先進各国の、中央銀行の上に位置する、中央銀
行」です。BISを通じ、世界の中央銀行同士が、資金を貸借してい
ます。
http://www.bis.org/
いずれのインフレで、実質価値を下げる米ドル(ペーパーマネー:紙
幣・国債・株券・社債)には、価値貯蔵の機能がないと見ていたこと
になります。
世界のGDPの3倍(1京5000兆円)にも増えた信用総額(紙幣、預金、
株、証券、国債)に対し、15.5万トンのゴールドの世界の総量と、
地下の埋蔵量5万トン、合計で20.5万トン(時価615兆円)は、いかに
も少ない。
ゴールドを市場に供給していた中央銀行の3.5万トンが、2002年ころに
空洞化し、デル・バンコであれ何であれ、どこかに集まっているとす
れば、今後5年、10年単位で見た金価格は、どうなるか。言うまでもな
いでしょう。
市場への供給を絞り、価格の高騰を狙うことができます。リップスが
『Gold War』を書いた目的は、金を買う人を、世界に増やすためです。
そうする理由は、15年間、中央銀行が放出した金を買い集めたから
でしょう。原油埋蔵量での、サウジアラビアのような位置です。
今後、金価格が下げる時は、ファンドや金融機関が、証券の損で、翌
週の資金繰りに困っていると認識しておいてください。金は換金性が
即座だからです。
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