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「別れの歌」
愛された血
おお
それを愛した
血管よ
傷つけあいながらも
互いに逃げられずに
愛された血が固まっていく。
もう二度とこの胸には戻らない
悲しんでもだめだ
傷ついて歩き回った
愛した血管
段々とどこかが塞がっていく。
あなたを思い
彷徨した僕に
何の罪があるというのか
恵みを与えてくれたあなたなのに
どんな不意打ちが用意されていたのか
そうだよ
誰にでも運命があるというのなら
なにを悔いても戻るものはない
あの日
背中に腕をまわして
あなたを抱き上げた時には
すでに別れの影の
予感に慄いた
命とはこんなにもに潔いものかと。
愛された血
あなたの中にしか流れていない、
僕が愛した血が
横たわって、つらそうに息をついている
遠ざかっては
許しあい
抱きあっては
ふと、ぬくもりに気を許せば
また腕から
小鳥のように逃げてしまう
運命を探すことはできない
愛された血
愛した血管
随分と長い間
堂々巡りして
いまやっと永い眠りにつこうとしている。
傷つけあいながらも
一緒に歩いて来た。
やっとベッドに横たわって、
まさに疲れ切った流れが止まろうとしている。
あの日、もろてを上げて喜びを迎えた日々は
すでに記憶から消えようとしている
長い間の
二人だけの秘密も
ともし火が揺れるように
消えていく。
愛された血
愛した血管
いつまでも続くと思っていた抱擁
今、
固くなって
せき止められる。

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