それゆけ!派遣社員! ~研究所編~

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バラの花束





2日目の勤務がやっと終了した。

たった2日間なのに、私はとても疲れていた。


「ただいまー。」

家の玄関を開ける。


「おかえりー。」

母が笑顔で出てきた。


「ねぇ、愛に花束が届いてるわよ。

 部屋に、箱のまま置いておいたから。」

「私に花束…?」


( 誕生日でもないのに、誰だろう? )


そう思いながら自分の部屋に行くと

予想以上に大きい箱が置いてあった。

母親も興味があるのか、一緒についてきた。


「ねぇ。 誰からなの~?」

と、妙にうれしそうな母。


「ホントに心当たりないってば。」

そう言いながら、伝票を見てみた。


そして、私は自分の目を疑った…。

送り主の名前に、「吉沢健人」と書いてあったからだ。


「なんで? なんで住所知ってるの?」

私は思わず、声に出してしまった。


母は驚いたらしく

「やだ。 変な人からなの?」

と、不安そうに聞いてきた。


私は、あまり母に心配をかけたくなかったので

「あ、ううん。 ちょっとピックリしただけ。」

と、ごまかした。


「早く開けてみてよ。」

母は、子供ようにはしゃいでいる。


私は不安な気持ちで、恐る恐る箱を開けた。

すると、赤いバラが26本と、白いバラが1本入っていた。


「あら~。 ステキね~。 でもこの白バラ1本って

 何か意味でもあるのかしらね~?」

私をからかうように母が言う。


「知らない…。」 私は力なく答えた。


「ねぇ。 さっそく玄関に飾っていい?」

「あ、うん。 いいよ…。」

母は、うれしそうにバラの花束を持って部屋を出て行った。


( 一体何なの? あれは…。 )


私は、ただただ恐怖の気持ちでいっぱいだった…。


赤いバラの中に、白いバラが1本。

どういう意味だか知らないが

なんだかとても不気味に思えた。  ← ちなみに今も知りません


そして私の歳と同じ本数の27本のバラ…。

とても、偶然とは思えなかった。


住所をなぜ知っているのか

なぜ年齢まで知っているのか…。


そして何よりも

バラの花束を自宅に送ってきたという事実は、

坂本さんが言ってくれた 「 思い過ごし 」

ではないという証拠…。


私は頭が痛くなり、そのままベッドの上に寝転んだ…。





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