*壱原 侑子 の tea time*

*壱原 侑子 の tea time*

*犬のハリー*


ある日詩織ちゃんとお父さんの康太(こうた)さんが学校と会社へ行く時アパートの芝生の所に犬が一匹いたのでした。
「こんなところで、犬を飼っている人はいないはずなのに…」と康太さんは不思議がりましたが、その犬はお腹がすいているようなので、すぐに奥さんの香織(かおり)さんに今日、詩織ちゃんが朝ごはんに残したパンを牛乳に浸して持ってきてくれるように頼みました。
香織さんは、早速パンを牛乳に浸して、(少しシナモンをかけて)アパートの芝生へ行って見ると、柴犬のような小さな犬がいたのでした。
「まぁかわいい」と思い手招きをしながらパンを置くと、お腹がすいていたのでしょう。ガツガツとそのパンをたべていました。
詩織ちゃんが、一日中その犬のことを考えながら家に帰ってくると、芝生のところで、茶色い影がシュッっと出てきました。
「!?」と思うと、それはあの犬で、詩織ちゃんの帰りを待っていたみたいです。家に荷物を置いて、犬と遊んでいると、幼馴染の麻帆(まほ)ちゃんがやって来て、「かわいいわんちゃんね」といい、3人で夕暮れまで遊びました。
夜は仕方がないけれど、そのわんちゃんには、芝生で寝てもらいました。
次の日は日曜日でした。
詩織ちゃんは、朝早くに起きて、昨日の柴犬と遊ぶ気満々です。
朝ごはんのホットケーキを食べて、アパートの芝生に行ってみました。
すると、詩織ちゃんの顔を見るなり、柴犬がバッと飛び掛ってきました。
どうやら、遊びたい盛りのようです。
二人で、ボールを使って遊んでいると、麻帆ちゃんも下りてきてまた、3人で遊んだのでした。
お昼前になって、麻帆ちゃんが、急に思い立ったように、言いました。
「そういえば、このわんちゃん、名前が無いわね…。」その通りです。
このわんちゃんはまだ、二人に名前をつけてもらっていなかったのです。
「柴犬ってお母さんが言ってたから、シバって言うのは?」と、詩織ちゃん。
小さい子らしい、単純な思考回路です。
「そんな、フツーな、名前じゃだめよ。」と、意外に手厳しい麻帆ちゃん。
「ハリーにしましょう。」と、麻帆ちゃんが提案した。
詩織ちゃんは、不服だったけれど、麻帆ちゃんの機嫌が悪くなるより、良かったのでした。
すると、ハリーと呼ばれたのがわかったかのように、「ワン!」
と一声ほえるハリー。満足そうな麻帆ちゃん。
そして、次の日も、又次の日も3人で仲良く遊んだ。
違う日には、芝生の隅の方に、ハリーの小屋を作ってあげました。

―――ある日、詩織ちゃんがハリーの小屋を見てみると、ハリーがいません。
「おかしいわ…」と思った詩織ちゃんはそこらじゅうをくまなく探しました。
が、ハリーは、どこにもいません。
まるで、神隠しにでも合ったかのように、ハリーは消えてしまったのでした。
小屋の中には、今まで2人がしてくれたお世話を感謝するハリーの気持ちのように、4つ葉のクローバーが2つあっただけでした。

それから、何年かして、詩織ちゃんは郊外の大きな家に引っ越したのでした。
その時、「どうしても欲しい」と、お父さんの康太さんに、頼んで買ってもらったのは、小さな犬でした。その犬を、詩織ちゃんは、「ハリー」と「クローバー」と名づけて、今も大切に育てているというのが、風のうわさで、聞こえてきたのでした。

*やっと、完結しましたね《笑。長かった長かった…
(自分が書いてないだけじゃんヾ(*`Д´*)ノ")
幼稚園の時の写真を見ると、いかに自分が、ポッチャリかがわかります《笑。
いつか、時間があったら、載せますね《笑。


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