2004年09月04日
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【真夏の邂逅】第69日目(前編)


 9/4

 いよいよ旅の最終日、気合いを入れて歩く。
 台風一過のおかげで気分よく晴れ上がる。


 さて徳永家の人々と朝食をともにし、出かけることにした。
 坂道を下って行くと昨日歩いていた国道に出る。
 空は猛烈に晴れている。

 しばらく道を行く。


 これが信じられないくらいメチャメチャに壊されている。
 強風のためだろう。
 ガラスは割れ、フレームがグニャリとへし曲げられている。

 やっぱり凄い台風だったんだな。
 僕はその無惨な姿を見て思った。

 さらに道を行く。

 すると台風の爪痕があちらこちらに残されている。
 電信柱は傾いて立っているし、
 電線が切れてしまってぶら下がっている。

 信号の灯かりは全部消えている。
 停電しているのだ。

 台風が過ぎ去ったせいか明るいように思えた。


 今日は佐多岬に着く。
 それで、いよいよ北海道で出会った列島縦断男の言葉を吟味してみることにした。

 たしか彼は夜中に岬に着くようにするんだと言っていた。
 しかし、できれば夕方ごろに到着して夕日でも眺めながら

 詳しいことはやはりわからないので急ぐことにしよう。

 そう思っていると、バイク乗りが向こうからやって来た。
 彼は右手の親指を立ててこちらに合図を送ってくる。
 そこで僕もあわてて同じように親指を立ててそれに応えた。
 旅人どうしの挨拶といったところである。

 ところがちょうど僕がその動作をした時に傍らを車が一台通りかかった。
 そしてその車は少し先のところで止まった。

 「乗って行きますか。」

 車の中から声をかけてくる。
 見ると、うら若き女性ばかりが三人乗っている。

 「いや、歩いてゆきますから。」

 僕がそう答えると、
 声の主は怪訝そうな顔をして去って行った。

 走り去る車を見て僕ははっと気がついた。
 そうか彼女は僕がバイク乗りへの送った合図を
 ヒッチハイクの合図と勘違いしたんだ。

 いや、悪いことをした。
 偶然とはいえ、せっかく止まってくれたものを…。
 まあ、しかしここまで来て車に乗るわけにも行かないしな。
 そう考えていると今度はさっきのバイク乗りが戻ってきた。

 「佐多岬まで行くの。」

 彼はヘルメットのフェースを上げながら言った。

 「ええ。そうですけど。」
 「パークロードには入れないよ。
  昨日の台風のせいで通行止めになってるから。」

 彼は親切にもそれを言うためにもどってきてくれたのであった。
 なるほど岬に着くためには『佐多岬パークロード』という有料道路を通らなければならない。
 その道が通行止めだという。

 「どうも、わざわざありがとうごさいます。
  でもとりあえず行けるところまでは行ってみますよ。」

 僕は彼にそう言った。
 実際、その話を聞いたからといって、
 はいそうですかと、ここで引き返す気にもなれない。
 行けるところまでは行ってみよう。


 佐多町というところを過ぎると
 だいぶ山がちな地形になってきた。
 看板が立っていて野性の猿には十分気をつけるように
 ということが書いてある。

 熊に比べればだいぶましではあるが、
 そうかといって猿もまた侮りがたい相手であることは確かである。
 僕は道端で万が一の時のために棒きれを拾っておいた。

 飛ぶがごとく歩きつづけ、
 パークロードの入り口に着いたのが16:00である。
 地図を見たところ、ここからはあと8kmといったところだろうか。
 何とか岬から夕日を眺められるような時間に着けそうである。

 そのパークロードは、と見ると入り口の料金所には誰もいない。
 どうやら夕刻なので帰ってしまったらしい。
 これは好都合である。
 僕は料金所を通り、堂々とパークロードへと入っていった。


 道はくねくねと登ってゆく。
 陸の孤島というだけあって、
 さすがに強烈な山の中を通っている。

 夕日の中をそうして登って行く。
 早く着かなければと思いながら歩いてゆく。
 日が暮れて真暗な中での到着というのは
 できれば勘弁してほしいところである。

 何しろこの旅の締め括りなのである。
 感動的なフィナーレにしたいところだ。
 思えばこの旅は急いでばかりいる。

 道端には猿などがいたが、対して気にせずに先を急ぐ。
 さっき拾った棒きれももう捨ててしまった。

 あと少しで、旅が終わる。

 残りはあとどれくらいだろうか、
 と思っていたそのときである。

 向こうからライトバンが坂を下りてやって来る。
 そして僕の目の前で止まった。

 「ここは歩いちゃ駄目だよ。」

 ドライバーが恐い声で言った。
 僕が黙っていると、そのおじさんは言った。

 「ふもとまで乗っけてゆくから乗りなさい。」

 僕はそこで観念した。
 捕まってしまったものはしょうがない。
 僕はここまで来て、パークロードの入り口まで連行されるはめになってしまった。


 車にはそのドライバーのおじさんとおばさんが二人、
 それに助手席には20歳くらいの青年が乗っている。
 このひとたちは地元の住民で、
 このパークロードの管理、運営を委託されているらしい。

 ドライバーのおじさんはゆっくりと山路を下りながら言った。

 「この道は自転車や歩行者は歩いちゃいけないことになってるんだよ。
  それに台風のせいで通行止めになってるから。どっちにしろ通れないよ。」

 僕は終始黙っていた。
 さてこの思いがけない事態をどうしたものかと、
 そればかり考えていたのである。

                   (後編に続く)






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最終更新日  2004年09月06日 18時21分03秒
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