・翼~cry for the moon



書籍名:翼~cry for the moon
著者名:村山由佳
出版社:集英社



あらすじ

『 「オマエハ ヒトヲ フコウニスル」
その呪われた言葉から、真冬は逃れられない。
ボロボロに傷ついた心が、懐深く異文化が眠るアリゾナの大地で魂の翼を広げようとする。
自由と哀しみの物語』




FAVORITE PHRASES

・耳をすませるんじゃない。心をすませるのだ。
 そうすれば、この世のすべてのものが お前にささやきかける声を聞くことができる。
 母なる大地の声。父なる空の声。
 岩も、草も、花も、鳥も、お前の兄弟であり姉妹なんじゃ。
 お前が花を見る時には、花もお前を見ている。
 お前が風の声を聞く時には、風もお前に語りかけている。
 お前が石を拾い上げる時には、石のほうでもお前を選んだのさ。


・一人で生きていける人間はいないんだよ。
 自分の力だけでは足りないときに人を頼ることは罪でも恥でもない


・愛が何なのかわからないくせに愛しているというのも、嘘なのではないだろうか?  
 当人が確信を持って口にしない限り、言葉はむなしい偽物でしかない。


・幸せっていうのは、手に入れるものだと思っちゃいけないよ。ただ感じるものなの。 
 その時その時に感じるだけで充分なの。無理につかもうとすれば逃げていくよ


・人はうれしければ笑って、悲しければなく。
 世界広しといえども、この反応が逆の民族はたぶんいない


・「もう一生ぶん泣いてしまいましたもの。
 涙なんてとっくに涸れて、一滴も残ってません」
 「あきらめることはないさ。いつかまた笑えるようになれば、
  涙も蓄えられていくものだよ」


・変わりがないなら、わざわざ口に出して言う必要はない。
 どんなことでもいいふらすなどという行為はばかげていた。
 物事は、自分と、自分がどうしてもわかってほしいと思う相手とがきちんと理解し
 把握していればそれで充分なのだ。


・愛情とか思いやりってのは、本人が充分に満たされていない限り、
 誰かにわけてやりたいと 思っても無理なんだそうだ。


・どうして泣くまいとするんだ?
 外へ出たがっている感情を無理に封じ込めれば、いずれ魂をむしばむだけだぞ。
 泣きたい時は泣けばいいんだ。
 涙ってのは何も、恥ずかしいものじゃない。自分自身を癒す薬みたいなものなんだから


・上り坂が苦しい時は、下りはどんなに楽かを考えろ


・多くの人々は、闇の中で一生を終わる。
 中には、まわりが闇であることに気づかない者もいる。
 いつか光が照らしてくれるのをただ待っている者もいる。
 だが…もちろん別のやり方もある。 
 そうしようと思えば 自分から光のほうへ向かって行くこともできるんじゃよ


・この世界には、昼もあれば、夜もある。
 どちらがいいとは言えないし、どちらも必要なのだ。
 憎むこともそれと同じだよ。喜びと悲しみ。誕生と死、、、。 
 どれもどちらか一方だけというわけにはいかない。
 どちらかを手に入れれば、もう片方もくっついてくる。
 だが、それ自体は悪いことではない。すべては均衡(バランス)の問題なのだから。


・木々は、冬になるとすべての葉を落とす。花は枯れ、実は落ちる。
 動物達は眠り、あるいは死に、大地は雪と氷に閉ざされる。
 暗くて寒いから、あんたはそれをいやだと言う。
 だが、それらはみんな何のためだと思う?やがてめぐってくる春を待つためだ。
 準備を整えて、再び新しい若葉を芽吹かせるためだ。新しい命を生み、育てるためだ。
 春の始まりは春ではない。春は冬に始まるのだ。冬無しに春や夏はありえない。
 生は死を糧としている。そして死もまた生を糧としている。
 なぜなら、命が誕生した時、すでに死は始まっているからさ。
 すべてはめぐりめぐっているんじゃよ。


・赤い花の隣に、白い花が咲いている。その二つが同じだなどというふりをするのは無意味だ。
 みんな違っていてあたりまえなのだ。違っていることが美しい。
 要するにみんな違っているということを、そのまま認めればいいだけの話なんじゃよ


・目に見えるものが真実とは限らんのじゃよ。人々は、答えを自分の外に探そうとする。
 だが惑わされちゃいけない。本物の答えはいつも自分のなかにある。
 目に見えないもの、手でさわれないもの、耳に聞こえないものの中にこそ、
 真実が隠されているんじゃ。
 そういうものを信じて、つかんで放さずにいるのは難しい。が、不可能ではない。


・どれほど強い鷲でも、翼を縛られていれば、はばたくことはできん。
 あんたの魂も同じじゃよ。
 せっかく強い翼を与えられているというのに、今はがんじがらめに縛られてしまっている。
 思い切ってそのいましめを断ち切らなくては。


・魂に翼を持つというのは、決して楽なことじゃない。
 いっそ、そんなものを持たんで、闇の中でじっとしていたほうが幸せだと考える者も
 おるじゃろう。 
 手に入らんものをいくら求めても苦しいだけだ。
 それこそ<月をとってくれと泣く(cry for tha moon)に等しいじゃないか、とな。
 じゃがな、たとえ苦しかろうと、人はその翼で飛ぶことでしか、
 自分の奥底へ入っていって答を見つけてくることはできんのだよ。


・許せたり、受け入れられたりする物事が増えるのは、それが妥協でない限り、
 悪いことではないような気がする。


・生きるというのは、何かを後ろに置き去りにしていくことだ。
 ひっきりなしに、大事なものたちと別れていくことだ。
 だからこそ、こんなに胸が痛いのだ。


・たとえそれが憎しみであっても、一種の絆には違いない。
 むしろ愛情よりはるかに強い絆かもしれない。


・子供の頃は、聞かされることすべてを鵜呑みにしていた。
 もう少しでかくなってからは、あれこれ疑うようになった。
 学校を出る頃には反発さえ感じてた。
 でも、いつからか、自然に受け入れられるようになったんだ。
 どんなに抗おうと否定しようと、オレの背骨(バックボーン)には
 教えがしっかり叩き込まれちまってる。
 背骨を抜き取るわけにはいかないだろ。立ってさえいられなくなる。


・さっき私、人は誰にだってなれるって言ったけど、そうじゃないわね、やっぱり。
 どんなにあがいたって、自分以外のものにはなれないもの。


・「どうして、ひとつを選ぶと、ほかのをあきらめなきゃならないのかしら」
 「しかたないさ。ひとつの穴から二本の木は育たない」


・あのね……たった今、大切なひとたちと別れたの。それだけ…




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