オレが情熱マンの理由(わけ)第三部


やっと技師が来てレントゲンを撮り、再び診察室へ。
帰りもまともに歩けない。また気分が悪くなる。
途中の道のりで4回目の嘔吐。

処置室のベッドで横になり、痛み止めの座薬を入れてもらう。
生まれて初めての座薬の感触を味わう余裕はなかった。
「1時間ほどで効いてくるからね」と看護婦さんの声。
1秒でもいい、早く効いてくれ!!
又むかつきがやってくる、5回目の嘔吐。

どれほどの時間が過ぎたのだろうか。看護婦さんがやってくる。
「どう、少しは痛みが楽になった?」
痛みはほとんど変わっていない。
「・・・いや、あんまり・・」と声を絞り出す。
「まあ、まだ10分しかたってないからね。1時間後には
良くなってくると思うよ。」
座薬を入れてからまだ10分!!
まだこの5倍の時間を耐えねばならないのか!!

痛みからできるだけ意識を切り離そうと、体の他の場所を
思いきりつねる。痛い! しかし、痛みが2つに増えただけだ。
お腹もやはり痛い。

長時間の痛みのあまり、だんだんと意識が薄らいできた。
(・・オレは、このまま死ぬのか!?)
この時、はじめて自分の「死」というものを身近に感じた。

様々な思いが頭の中を駆け巡る。

(なぜこんなことになったんだろう?)

(今オレに起こっているこの痛みには何か意味があるのか?)

(ガンなどの人が痛みのあまり、早く楽になりたいっていうのを
聞くけどその気持ちわかるな)

(でも、このまま死んだとしたら、今の生き方では悔いが残る
だろうな。もし元氣になれたら、思い切って人生リセットしよう!
やりたいと思った事をとことんやってやろう!)

痛みに苦しみながらも、頭の中は結構冷静にいろいろな事を
考えられるみたいだ。
どのくらいの時がたっただろう。先生がやってきた。
「どう、まだ痛む?」
しゃべれない、声が出せない。力なくうなずく事しかできない。
「座薬も効かないか、じゃあ痛み止めと吐き気止めの点滴を
しましょうか。」
1時間たっても予想外に痛みが残っていたのだろう。
ついに点滴を打ってもらうことになった。

(つづく)


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