ウルトラマン前夜祭～ウルトラマン誕生 | メタボの気まぐれ

1966年、空想特撮シリーズとして人気を博していたのが
ウルトラシリーズ第1作「ウルトラＱ」である。
その最終回に当たる7月10日放送の第28話「あけてくれ!」が
「怪獣が登場しないうえに内容が難解」という理由で、
本放送見送りの処置が下されたのだ。

その結果、7月17日よりスタートする後番組「ウルトラマン」が
7月10日に繰り上がる事になったのである。

しかも放映第1話の特撮が6月になってクランクインという
スケジュールの遅れと第1話完成品フィルム納品の遅れを危惧した

一週間の時間稼ぎにと急遽企画したのが1966年7月10日放送の
杉並公会堂で行われたイベントの中継録画番組
「ウルトラマン前夜祭～ウルトラマン誕生」である。

これは「ウルトラＱ」の放送前特番「ウルトラＱは怪獣の世界」が
1965年12月25日に15分枠で放送された経緯を生かしての
アイディアである。

舞台演出は当時ＴＢＳディレクターだった実相寺昭雄であり
最終スケジュール日程は7月6日に技術スタッフの打ち合わせ、
翌7日と8日にリハーサル、9日の午後1時より開演となった。

ウルトラマン前夜祭.jpg

登場怪獣はカネゴン、M1号、ガラモン、チャンドラー、
バルタン星人、レッドキング、アントラー

会場の子供たちに科学特捜隊を紹介、
怪獣退治に興奮する子供たちの前に今度は
ウルトラマンが登場した。

しかしこの本番では演出用の豚が暴走したり
視界が悪いマスクの為にウルトラマンが躓いてしまったりと

前後逆になるというミスも生じていた。

そうした状況を恥じた実相寺昭雄は
数々のトラブルをオンエア時に編集でカットした上に
完成していた第3話のハイライトシーンが加えた為、
演出家のテロップを独断で抜いてしまいました。

しかし放送では30%近い高視聴率をマークした為、
実相寺監督はお咎め無しで済んだのです。

当時はカラー放送だったと伝えられるのですが、
現在映像ソフトとして公開されているのはキネコ収録による
モノクロ映像のみであり、

また「ウルトラマン」の予告が唯一現存するのが
当番組でありました。

ちなみにウルトラマン第1話「ウルトラ作戦第一号」の
完成品フィルムがTBSに納品されたのは当番組の3日後の
7月13日でありました。