黒い雨 | メタボの気まぐれ

1989年に公開された「黒い雨」は太平洋戦争史に残る
最大の悲劇、1945年8月6日広島原爆投下を描いた
戦争映画である。

物語は広島に原爆が投下された昭和20年8月6日
その時、郊外の疎開先にいた高丸矢須子（田中好子）は
叔父・閑間重松（北村和夫）の元へ行くため
瀬戸内海を渡っていたが途中で黒い雨を浴びてしまった。

5年後、矢須子は重松とシゲ子（市原悦子）夫妻に引き取られ
重松の母・キン（原ひさ子）と4人で小畠村で暮らしていた。

同じ被爆者で幼なじみの庄吉（小沢昭一）と
好太郎（三木のり平）と原爆病に効くという鯉の養殖を始め
毎日釣りしながら過ごしていた。

村では皆が戦争の傷跡を引きずっており
戦争の後遺症でバスのエンジン音を聞くと発狂してしまう
息子・悠一を抱えて女手一つで雑貨屋を営む岡崎屋や
娘のキャバレー勤めを容認しつつ闇屋に精を出す池本屋など
戦争の後遺症に悩む人々がいた。

重松の悩みは自分の体よりも25歳になる矢須子の縁組で
美しい矢須子の元へ絶えず縁談が持ち込まれるが
必ず広島原爆に合った娘という噂から破談になっていた。

8月6日に黒い雨を浴びたものの直接原爆に合っていない事を
証明しようとした。

やがて庄吉、好太郎と相次いで死にシゲ子が
精神に異常をきたし、遂に矢須子の体にも異変が現れた。

この映画は敢えてモノクロフィルムで撮影を行い

爆心地に転がる黒焦げの焼死体などを特撮を駆使して
極めてリアルに再現している。

矢須子を演じた田中好子の熱演は高く評価され
日本アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞に選ばれました。
またアメリカでは「ブラック・レイン」という題名で上映され
話題を呼び、カンヌ国際映画祭で委員会賞を受賞しました。