燃ゆる大空 | メタボの気まぐれ

1940年、東宝で公開された「燃ゆる大空」は1937年に
勃発した日中戦争における満州激戦と航空兵下士官達の
成長と交流を描いた戦争映画であり、
皇紀2600年記念映画でもあるのです。

物語は飛行学校の教官・山本大尉（大日方傳）は
元気な生徒達に毎日厳しい訓練を施し
次々と一人前の操縦士として育てていった。

そして自らも飛行中隊長として北支の戦地に赴き
逞しい軍人となった、かつての教え子たちと再会する。

生徒だった行本（月田一郎）が強行着陸して
恩師・山本を救出するのであった。

部隊は奮戦を続けるが少しずつ帰らぬ者が増えていく事に・・・

この映画は特殊技術撮影に円谷英二が参加しており
飛行学校における飛行・射撃訓練シーンや
戦場の空中戦シーンで特撮やニュース映画のフィルムを使用せず
空中戦での敵戦闘機役こそ自軍の旧式機で代用しているものの
実物を実際に映画の為に飛ばして使用している為、
ファンの間では評価の高い映画である。

また特徴として女性出演者が一人もいないという
前代未聞な演出が施され、これは女性集客の効果を狙ったもので

長谷川一夫を起用しました。

主演の大日方傳はサイレント映画時代の大物俳優で
「伊豆の踊子」や小津安二郎監督「出来ごころ」で主演を務め
イケメン若手人気俳優として昭和初期から
第二次世界大戦後にかけての日本映画界で高い人気を誇った。

彼はロサンゼルス在住の叔父を頼って渡米し
米国在住の日本人俳優・早川雪洲と交流するようになり
ハリウッド無声映画で役者デビューする。

その後、演出技術を学び日本へ帰国。
映画監督として日活に入社し数々の映画を作りあげ
戦争映画では円谷英二の特撮を存分に生かした
最初の監督と言えます。

また本作の主題歌「燃ゆる大空」は作詞：佐藤惣之助
作曲：山田耕筰歌：霧島昇・藤山一郎であり
昭和期に作られた軍歌の中でも屈指の名作で
戦後の現代でも愛唱されているのです。