拳精 | メタボの気まぐれ

ジャッキー・チェン主演の映画「拳精」は
1978年に香港で制作され、日本では1980年に公開された
コメディタッチのカンフー映画である。

当時のカンフー映画はシリアス路線の作品を連発しており
ジャッキーは持ち味のユーモアセンスを活かすため
若いスタッフらとコメディ調の活劇「カンニング・モンキー」を製作。
これに対し大物プロデューサーであるロー・ウェイは
「カンニング・モンキー」を酷評してお蔵入りにした後、
本当のコメディの作り方を見せるため制作したのが本作である。

寺男の一龍(ジャッキー・チェン)は
いつもイタズラばかりしているが
人柄のおかげで皆からは好かれる若者であった。

一龍はある夜、七死拳という殺人技の極意が書かれた
大事な書物が保存してある経蔵の夜警に当った。

しかし黒装束の曲者に極意書は盗まれてしまい
これが悪人の手に渡ったら一大事になるのだ。

この極意に打ち勝つことが出来るのは五獣拳のみ、
しかし五獣拳の極意書は数年前に紛失していた。

ある夜、少林寺に宇宙から隕石が落ち、
その日以来、夜になると妖怪が出現し

赤い髪に白塗りの身体をした5人の妖怪たちは
龍、蛇、虎、鶴、豹を象徴する拳法の妖精
すなわち拳精だった。

彼らは隕石の衝撃で五獣拳の書物から出てきた化身で
失くなったと思っていた五獣拳の書物は経蔵の隅の壁にあり

一龍は五獣拳をマスターするために拳精たちに
コーチしてもらう事になった。

この映画は極意書を盗もうとする黒装束が土蔵に忍び込むため
夜警をしていた一龍を眠らせるシーンがあるが
「後頭部に一撃をくれて気絶させる」
「催眠作用のある煙を嗅がせて眠らせる」
という2通りのバージョン違いが存在する。

夜警を排除するための手段が明らかに違うため
別シナリオで撮られている事が分かるのだが
最終的にこのシーンはどちらかのバージョンに統一されておらず
上記のどちらかの展開で編集されている
2通りの完成フィルムが存在し
公開地域によって異なっていました。

また本作は香港で配給してくれる会社が見つからず
お蔵入りとなったがジャッキー主演の映画「スネーキーモンキー」で
成功した後になってから公開された経緯がありました。