サービスエリアにて
北朝鮮旅行記２日目サービスエリアにて
高速道路を走るうちに道路を跨つて建つ建物が見えてきた。
特別の検問所なのかと思つたら、これが唯一のサービスエリアでした。
以下は帰りに撮つたものも含まれてゐますが、
＜植木の向うが道路です。上部が道を跨いでゐて休憩室になつてゐます＞
＜休憩室内部です。ソファが並んでゐてビリヤード台もありました。電気は点いてゐません。
厨房があつて飲み物も頼めます＞
＜休憩室から高速道路を＞
＜売店が上下線それぞれにあります。飲み物・お菓子・お土産品を売つてゐます。
店員さんはみな北朝鮮風美女ばかり＞
さて、写真では殺風景ながらそれなりの建物のやうにも見えるかもしれませんが、
全体の印象としてはガタがきてゐる感じでした。入口にはショーケースのやうなも
のがありましたが中は空つぽ。廃墟のやうな雰囲気が漂つてゐました。
が、問題はそんなことではなかつたのです。
１階に男子トイレがあり、２階に女子トイレがあるといふことで、私は１階の
トイレに、キムさんは２階のトイレに。
で、トイレの大の部屋を開けて驚いたね。
汚ねえ～！
電気は点いてをらず扉を閉めれば真つ暗なんだけど、まず、蝿がぶんぶん。
ペーパーホルダーはあるが錆付き潰れてゐてもちろん紙は無し。
でもつて蓋も便座もガタピシにぶつ壊れ状態。
試しに水を流すが流れやしねえ。
壁も床も汚れ放題で蜘蛛の巣まで張つてゐる。
こんなところでどうやつてクソしろと言ふんだよ？
汚くても和式ならまだなんとかできるが、よせばいいのに洋式だからもう
無理。諦めて小だけを足すことに。
ここで思つたこと。
１ 店員は客も来ずにみんな暇さうにしてゐるのになんで掃除をしないんだ？
２ あの可愛いキムさんもこんなトイレで用を足してゐるのか？
はい、大変に不埒な想像ですが、「２」の懸案事項は旅行中ずつと私の頭から
離れませんでした。あのキムさんが・・・、こんな汚いところで・・・、アイゴー！
私が北朝鮮に来て驚いたことのビッグ２はここでの時点で、
１ フロントガラスにひび！
２ トイレが汚ねえ！
いや、トイレについては日本の清潔さが特別で外国のは汚いとは聞いてゐて覚
悟はしてゐましたよ。でも、あのトイレの惨状は私の非力な想像力を凌駕する
ものでありました、はい。
二階のバルコニーに出て人参茶一服。おいしい。砂糖を入れて紅茶のやうに飲む。
李さんも飲んで150円。
そこにライトバンが着いて白人客が５人ほど。
私にはアメリカ人に見えたがアメリカ人は入国できないから、たぶんヨーロッパ
人なのだらうと思ふ（因みにイギリスとは国交あるがフランスとはないとのこと）。
サービスエリアを出て、いよいよ板門店へ。
李さんより「わが国はまだ戦争してゐますね。休戦はしてゐますが、終つてはゐ
ません」と説明あり。「だから休戦ラインを勝手に越えたら銃で撃たれます。戦争
ですから」
なるほど。冗談でラインを越えて記念撮影とかやらかしさうな手合ひもゐるだらう
し、当然の注意喚起であります。
「非武装地帯ではわが国の農民が野良仕事をしてゐます。農民は軍によつて守られ
てゐます」とキムさん。
「野良仕事」といふ言葉に聞き惚れました。間違ひぢやないわね。
非武装地帯はラインを挟んで４ｋｍづつ。北側には高い塔の上に朝鮮の旗がはためき、
南側には同様に韓国の旗がある。
「ラインの向うに南朝鮮はコンクリートの塀を築きました。そしてその裏に木を沢山
植ゑて、向うからは見えないやうにしてあります」とキムさん。
つまり、韓国側からはコンクリートの塀は見えず、さういふものを築きながら、汚い
アメリカ軍は誤魔化してゐるといふわけですね（事実がどうかは勿論わかりません）。
「兵士は南朝鮮の兵士の姿しか見えません。でもこちらからは見えないところにアメ
リカ軍の将校がゐてかれらを指揮してゐます」
はあ、さうですか。
「観光客の安全はわが軍が完璧に守ります」と李さん。「南朝鮮では板門店に入ると
きお客さんに誓約書を書かせますね。わが国では絶対安全ですから誓約書いりません。
自由ですね」
はあはあ、なるほど、自由ねえ。
非武装地帯への入口が見えてきました。
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