オトキチ日記

拉致問題 もう矛を納めよ

拉致問題 もう矛を納めよ


さて、いささか書きづらいことを書く。

書きづらいといふのは、大方の現在の日本の論調に反する話を書かざるを得ないといふのみならず、理屈に
合つてゐないことを承知で書かねばならないからである。

拉致被害は徹頭徹尾、理不尽な被害であつて、この理不尽については怒りをもつてしか応ずるほかはない。

それを前提としてあへて言ふ。

もう矛を納めよ。

理屈に合はないことは承知。
しかし、もうそれしか解決はない。

「拉致を論ず」でも書いたとおり、横田めぐみさんの遺骨は本物であるべきだつた。
さうすれば拉致は解決した。

しかるに別人の骨であつたがために、「骨は別人だつた」→「なぜだ?」→「本人が生きてゐるからだ」→
「生きてゐるのに帰さないんだ」→「他にも生きてゐる人がゐるに違ひない」→「全員が帰るまで拉致は解決
しない」といふ方程式が出来上がつてしまつた。

しかし、仮に横田めぐみさんが生きてゐたとして、別人の骨で誤魔化してまで、横田めぐみさんを帰さない
理由は何なのか?

理由はない、としか思へない。

帰国した拉致被害者の方たちと比べて、横田めぐみさんに彼女だけを帰さない特段の事情があるとは思へない。

北朝鮮の秘密を握る重要な地位にゐるから?
日本人などといふ「成分」の悪い人間が、まさか。

横田めぐみさんの娘(DNA鑑定でほぼ100%間違ひない)自身が母親は死んだと言つてゐる。
もし、生きてゐたとして、実の娘までを騙す理由がなにがあるのか?

横田めぐみさんの両親が「めぐみはきつと生きてゐる」と叫ぶ心情は痛いほど分る。
しかし、冷たい言ひ方をすれば、戦死公報が届いても「息子はきつと生きてゐる」と信じ続ける銃後の母と
同じであらう。
心情は分る。
しかし、もう、矛を納めよ。

横田めぐみさんの娘についてはガイドさんもよく知つてゐて、いまは外語大の学生とか。
ちなみに李さんはよど号メンバーとも何回か会つたと言つてゐた。

さて、しかし、ここで「そもそも論」に言及しておかなければならない。

拉致問題が解決しなければ日朝国交回復はない。
日朝関係は改善されない。

だが、そもそも、日朝国交回復をする必要があるのか? 日朝関係を改善する必要があるのか? といふ「そ
もそも論」である。

実は、必要なぞないと私は思つてゐた。
日本が北朝鮮に頭を下げて膝を屈して関係改善をお願ひする必要なぞどこにあるのか?
日本と北朝鮮が断絶してゐても日本は何も困らない。
むしろ在日からの資金送金が途絶えて困るのは北朝鮮であらう。
大体、日本に生れて日本で暮して日本で稼いでゐながら、あんな訳分らない国にせつせと送金してゐる輩の気
がしれない。
日本からの送金でやつとこさつとこ生き延びてゐるくせに日本に文句をつける「ならず者国家」のご機嫌なぞ
取る必要はない。
さう思つてゐた。

しかし、いまは「そもそも論」として、日朝関係を改善すべしと思ふ。
日朝関係を改善する「必要」がある、とまでは言はない。
しかし、改善すべしと思ふ。

その理由は、
つきつめて言へば、
私が北朝鮮を好きになつてしまつたから、といふしかない。

この1行だけで説明が事足りてゐるとは私も思はない。
この気持を表わすのには、おそらく沢山の言葉が必要なのだ。

「なるほど、言葉は短ければ短いほど良い。
 もしそれだけで人に伝へることができるのであれば」(太宰治)


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