Midnight waltz Cafe 

Cafe




(はじめに作者より。)
もともと、ここで終了の予定・・・っていうか高校時代で最後のエルドラドだったためここまでで、いったん終了と言うことで、内輪だけで楽しめるようにと、座談会を書き下ろしたところ・・・、エルドラドに掲載されているし(!)
まぁ、別にかまいはしませんが・・・
で、この度リ・アクトと相成りましたので、再演をと思ったのですが。
座談会じゃないし・・・と、いうことで。手直しを加えつつ、座談会改め、カフェとして再演します。

では、舞台は・・・もうすぐ桜が咲く3月。「スイート デイ」の一ヵ月後。
涼と雪絵、そして楓がカフェにてこのワルツについて語るようですが??




「・・・というわけで、今日二人に来ていただいたのは、読者の皆さんへのお礼も兼ねて座談会を開いて、読者の皆さんによりワルツを楽しんでいただこうということです。」
司会(?)の楓が説明する。
「報酬はあるの?」
「それは、ここのカフェの代金ですね。好きなもの頼んでいいですよ。」
「現物支給かよ。」
「ないよりはいいでしょう。・・・さて、一応本編終了と言うことで、お2人とも感想は・」
「なぁ、楓さん。」
涼はコーヒーカップ片手に話し始める。
「何ですか。涼君。」
「この話って、誰が主役なんだ?」
「それは涼君でしょう。」
淡々と楓は言う。
「そうかなぁ、俺には・・・楓さんとマリーの2人がいいとこもって行った気がすんだけどな。」
首をかしげながら、涼は言う
「気のせいですよ。」
やはり淡々と楓は言う。
「私は、楽しかったよ。特に涼の・・・」
割り込む雪絵。
「俺の?」
「・・・ボケにツッコミを入れるのが(笑)」
満面の笑みで、雪絵は言う。
「なんだよ、それ!!」
倒れながら涼は叫ぶ。
「えぇ~、だって楽しいじゃない。ほんとは大きなハリセンとかが欲しかったんだけどね。作者の人に言ったら、もらえるかな?」
本気で雪絵は言っている。
「いいよ、もらわなくて・・・」
少しあきれている涼。
「う~ん、たぶんくれないと思うの。この話って意外にラブシーン多いじゃない。あわないからね。残念。」
ほんとに残念そうに雪絵は言う。
「あのなぁ、ったくしょうがないなぁ。・・・でもこの作者、ラブシーンが書けんなら、普通にラブストーリーでもよかったんじゃないか?」
「たぶん普通の高校生なら、ここまで続きませんよ。」
やはり楓は、淡々としている。
「そうかな?」
「それに、作者は普通は嫌だって言ってますからね。」
「なんだよ、それ。」
涼はため息混じりに言う。
「それに、この話、元々はここまで恋愛色が強くなかったんですよ。」
楓は、そう断言した。
「嘘だろ、『文芸部』のみんなからは、激甘だの、ハニートーストにシロップとクリームをつけた感じだの言われてるじゃないか!」
涼は、叫ぶ。
「どうして作者の裏事情を君が知っているんですか?まあ、それは置いといて・・・本当ですよ。どうも作者に『ラブラブなものにするように』と吹き込んだものがいたとかいないとか。」
楓は、カップに口をつける。
「じゃあ、もともとはどんな話だったんだよ。」
「まぁ、男の怪盗VS女の探偵なのは同じですが・・・。」
楓の歯切れが悪い。
「同じじゃん。今と。」
「ええ、普通男の怪盗VS女の探偵ってないな。と作者が思ったときに、あの曲を聴いてしまったようです。」
「あの曲って。・・・なんか聞いたことあるぞ。確か『口唇』だろ?あの曲で女探偵のキャラができたって。」
「半分正解ですね。そして1話のプロットが出来上がり、エンディングを、普通に探偵と怪盗の対立の図式のエピローグを書いた時に、名曲『HOWEVER』を聴いてしまい・・・あのアナザーエピローグの完成となったのです。」
「BGMに負けたってことだな。」
涼が、ため息をつく。
「ねぇ、楓さん。ほんとに元の話って恋愛ものじゃなかったの?私の聞いたところによると・・・、怪盗チェリーとマリー・ローズの・・・。」
雪絵が割り込んできた。
「よくご存知で。ただ・・・」
「怪盗どうしも面白いけど、探偵がいないとな・・・ってあの1話になったんだろ。でも結局3話書かされることになったから、元に戻したんだろ。作者本人は一夜限りの舞踏会と思って、伏線(リンク)だけはいっぱい張って・・・。」
「書かされる・・・って聞いたら怒りますよ。あの人たちが。」
「大丈夫だよ。きっと・・・」
気楽に涼は考えている。
「そんなこと言っていると、不幸が訪れますよ。・・・まぁ、いいですが。」
「よくないよ!楓さん。」
必死の抵抗を見せる涼であった。

「さて、お2人ともおめでとうございます。」
「「 え!? 」」
涼と雪絵の2人は同時に声を上げる。
「少し先の話になりますが・・・」
「何のことだよ。」
少し照れたように涼は言う。
「まぁ、いずれわかりますよ。ところで、私の所にこんな写真が届いているのですが。」
そう言って楓は、封筒を取り出す。
「写真?」
「見ればわかりますよ。」
楓は、封を開ける。
「・・・」
唖然とする涼。
そこには、真夜中のマリー・ローズとの邂逅の時の写真が・・・
「ねぇ、涼。これって浮気の写真?」
涼をにらむ雪絵。
「違うってば。」
「どう違うのよ!」
ダン!!
「時間は真夜中で、相手は金髪の女性じゃない!しかも・・・しかもキスしてるし。」
雪絵は、わなわなと震えている。
「こ、これは・・・」
「これは?何?」
雪野の満面の笑顔の裏が怖い。
「これは、キスされてんだって。」
「ふーん、そんなこと言うんだ。」
「ほんとだってば・・・」
「・・・もう知らない!」
そう叫んで、雪絵は走り去る。

その横で、楓はくすくす笑っている。
「ったく、楓さん。人の不幸がそんなに楽しいかよ。こんなもの持ってきて・・・。」
ふくれる涼。
「まぁ、人の不幸は何とやらと言いますが、その写真は、彼女のプレゼントですよ。」
「彼女って?」
「彼女ですよ。」
そう言いながら、楓は涼に後ろを見るように促す。
振り向くと、こちらに金髪の美女が向かってくる。

「お前が、犯人か。 マリー、いや・・・」
言い直そうとする涼を彼女は止める。
「いいわ、言いなおさなくても。・・・くす、当然でしょ?私以外の誰があなたにあの写真を送れると思うの?」
「そんなに人を不幸にしたいか?」
詰め寄る涼。
「違うわ。あなたをも奪う・・・って言ったでしょ。だからよ。」
「あのなぁ、冗談は・・・」
「ふふ。私は本気よ。」
マリーはそう言って、涼の首に両腕を回した。
「マリー。俺が本気で」
懸命に振りほどこうとする涼。
「本気で、何かしら?」
不敵な笑みで、笑うマリー。

・・・そこに運悪く(?)頭を冷やした雪絵が戻ってくる。そしてマリーに抱きつかれた涼を見て・・・
「ど、どういうことなの?涼。ほんとに浮気だったの・・・もう涼なんて知らない!!」
そう叫んで、再び走り去る雪絵。
「待てよ!」
雪絵を追いかけて、腕を捕まえる涼。
「離して!」
「離さないよ。俺が本気で好きなのは雪絵なんだから、どこへも逃がさない。」
そう言って涼は、雪絵を抱きしめる。
「・・・どこにも逃がさないのは、私のほうよ。あんなことされたんだから。・・・でも、今のセリフは嬉しかったよ。ありがと。」
笑顔の雪絵。


・・・そして、2人を朱に染める夕映えの下、2人はキスをする。


「これまでのことは、なかったことにしてあげるね。これからはこんなことないようにね。わかった?涼。」
「わかってるよ。」
「本当に?」
「本当だって。」
「絶対にだよ!」
「わかってるって」・・・・・・・・・・・


涼と雪絵が、高校2年生から3年生へとなる間の春休みの、ある日のことであった。




「ねぇ、このスペースって座談会じゃなかったの?」
マリーは、楓に尋ねる。
「そうですが。」
淡々と答える楓。
「何か、違わない?」
「そうですね、たぶん涼君のリクエストの『普通の高校生の恋愛モノ』に答えたからじゃないですかね?」
「普通かしら?あの2人。」
笑ってマリーは言う。
「さあ、どうでしょうか。」
そう言って楓は、紅茶に口をつける。
「まぁ、いいわ。それじゃあ、私はあの2人をからかって楽しんだところだし、帰るわね。」
そう言って、マリーは出て行く。

「さて、私も帰るとしましょうか。」
楓は立ち上がり、ひとり空を見上げる。





・・・桜さん、僕はあなたのことが好きだからですよ

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」





楓は、ひとり空を見上げてこう呟いた。
「もうすぐ『桜』の季節ですね。」と・・・




―The bells have rung, the time has come・・・.




                       To be continued?


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