帰って来たかえるのへや

その12)04月02日記




話を進め過ぎました、少し前の時間に戻そう。

アカネが反撃を始める前に、Kaeruはこのままではまずいと予測した。
だからこそオットの反対を知りながら「お外禁」を解除する気になったのだ。
広い新天地で2匹がお互いの気持ちと精力を外に発散してケンカを忘れ、
あわよくば家の中では張り合っていたが、
実際は外の脅威に対してはお互いがたった2匹の仲間なんだよと
思えないものかとまで期待した(しすぎ)。

それまではかなり安定したとはいえ、
まだアカネにはお外は危険が大きすぎる、
今のままでも活動欲求は満たされ、安定しているからと
それ以上の経験を積ませる必要をKaeruは感じていなかった。
が、お外はアカネに予想外の効果があった。
爪とぎ器の使用が突然できるようになったのだ。
聞き分ける場面も出て来たとはいえ、
今までどう教えても爪磨ぎ器を使ってくれず(一度も、である。
アキラは難なく覚えたのに。アキラは他の場所でも少しはしたが、
他の場所は駄目と教えるのはまたちょっと別の問題)、
ソファや壁に爪磨ぎし続けたこの子が。
とても知的に劣っているとは思えないのに、
これだけは何故理解しないのかと不思議で不思議で仕方なかった事だった。
彼女はあれだけ冒険してもまだ活動欲求が満たされていなかったのだ。
そのためにKaeruに反抗し、物にやつあたり?していたのだ。
なかなか「気持ちがわかった」と思える場面がなく、
Kaeruの憶測ばかりの彼女の、珍しく理由のわかった行動になった。

そして以前日記にも書いたが、
当初は玄関を開けると逃げるように出て行くばかりに見えた彼女が
ある時からキッパリ彼女自身帰宅や在宅を自分で決め、
それに落ち着くようになった。
「力を出し切りもう満足した」と見えるようになった。
猫らしくないものにばかり関心を持ち、
乱暴な危険な遊びに勝手に走ってはその癖いつも欲求不満で、
生き物との関係も含め、何かに満足していると感じられた事のない彼女が
ようやく満足していると見えるようになった。
アカネにはこれほどまでにお外が必要だったのだ。

それでもアカネを最初から閉じ込めずに
お外遊びさせれば良かったとは思わない。
子猫のうちから外に出せば、
弟猫のように何もわからぬうち、あっというまに事故にあっただろう。
いずれ交通事故は避けられない事であったにせよ、
現代のあまりに複雑なお外の良さを彼女が受け取ってから逝けるためには
やはりこの程度の成熟と安定が先に必要だったとKaeruは思いたい。
Kaeruは過保護気味だったのを修正したが、ある程度の保護は実際必要だった。
そしてある程度のアカネにとっての自由、Kaeruにとっての見守りもまた必要だった
(それは当然相手の意志を尊重したフリの責任放棄や責任転嫁でなく、
 ましてや無視、無関心でなく)。
そう考えている。




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