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カルーア啓子さんサイド自由欄
「降伏しないと全滅します。」と側にいたマイト中尉。
そのとき、ドカーン。と爆発音。
音のした方向の窓の外を見ると、陸軍の基地から噴煙が上がっている。
ドカーン。また、同じ方向。
「ここも同じことになりますよ。建物に白旗をあげましょう。」とマイト中尉。
とその時、ダダダダダ。ダダダダダ。部屋の外で銃撃音。
バタンとドアが開く。銃を構えた兵がなだれ込んでくる。
「撃つな!」大声で制したのは、バーダンだった。
「バーダン大佐・・・・」レアルがそう言うと、
「もう大佐ではねえよ。久しぶりだな、レアル。」とバーダン。
ゲインとマイトは顔を見あわせている。
「どうしてここへ?」とレアル。
「どうして?とにかく、海軍の兵は丘の上では弱いな。簡単に突破できる。」
「そういうことではなく。」
「分かっているさ。お前を助けに来たのさ。」
首都カンナにいたバーダンたち反政府集団がカンナを攻撃するのではなく、遠くの軍港トイヤに向かったのは、三木の描いたシナリオであった。バーダンはカンナ攻撃を主張したのだが、カンナで蜂起すれば二ホンの援護がなくて潰される。軍港トイヤは日本が攻撃していて、そこを抑えてからの方が確実と説得したのだ。
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自国の軍港トイヤが攻撃されても、マスコミは過去の戦勝報道しかしなかった。しかし、マドラから逃げ帰るのは兵だけでなく、民間企業の社員たちもカンナに戻ってきており、密かに戦況の悪化の噂が広まっていた。
勝ち続けていた時は、景気も良く占領下からの物資も豊富で、物が街に溢れていたが、負けて後退し始めると、物資も途絶え、だんだんと物がなくなり、人々は食べるものさえ困るようになってきた。
「鬼畜二ホンに正義の鉄槌を」というスローガンが街のあちこちに張り出され、兵だけでなく民にも戦意の高揚を図っていた。戦争というものは、常に正義は疑いもなく自国にあるものなのだ。