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Pecky みどり

Pecky みどり

2006.08.19
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カテゴリ: 読書感想文
 好きな作家です。どちらかといえば、初期の作品の方が好きで、最近の作品は今ひとつ夢中になれないのが辛いとこと。初期の作品の完成度を継続するのは確かに困難なのでしょうが……。

 シリーズ物という印象はあまりしませんが、前作「受精」と同じ登場人物が活躍します。ただ、前作は何となく尻切れトンボっぽい終わり方で、あまり好きなタイプの小説ではありませんでした。だから、「面白いといいなぁ」と期待半分・不安半分で読み始めました。

 面白くはあったけど、夢中になるほどではない。
 面白くはあったけど、ラストが強引でリアリティがチョイ薄い。

 題材は面白いと思うし、もっとスピード感とスリルのある経過をたどってくれたら良かったのにと思います。何となく、途中で危機感をあまり覚えないのですよ。

 北朝鮮を舞台にした物語で、一人の医師が平壌の病院へと招聘されるところから始まります。偏見を持たず、医療技術の向上の為に役立つのならと北朝鮮へと渡る医師。その知り合い3人が、同時期に北朝鮮を様々な理由で訪れることになります。
 止められた携帯ラジオと携帯電話を持ち込み、密かに連絡をとりあう四人。ついて離れない監視員の目。様々な危機的状況が持ち込まれているのに、危機感が薄いのです。
 出てくる人々は皆がいい人で。北朝鮮の人々にも悪人はいません。(別に北朝鮮の人に悪役を望んでいる訳ではないけど)様々な危機的状況が散りばめられているのに、何となく「大丈夫。きっと幸せになれる」って感じが行間からにじみ出ているようです。



 スリルの無い安心感も悪くはないのですけどね。
 だけど、命をかけるんだから、もう少しこの四人の間にラブがあってもいいだろうし、使命感があってもいいだろうし。そういうものが全く感じられないのも、今時の若者像の一つなのかもしれません。(まぁ、四人ともそう若くはないんだけど)
 命をかけなくったって、格好いいけどね。

 そういえば、今週はずっと「照柿」(高村薫)を読んでいました。文庫になったからね。
 高村薫の本って、文庫になるたびに思うんだけど、「よりホモくさく」改稿されているような気がしませんか? 





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Last updated  2006.08.19 22:53:06
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