ゆかいなカメライフ

ハウスメーカー選び



土地の契約が済むと今度はどこに家の建築を依頼するかを決めることになった。
土地購入時に一番最初にアプローチがあったR社からも家の建築だけでもやるのでぜひといわれていたが
いくつか見てみないことには比較も出来ないので
今まで一度も行ったことのない住宅展示場にとりあえず足を運んでみることにした。
ある程度の基礎知識は持っておこうと
展示場に行くまでの短い間に家の建築にはいくつかの工法があることを本やインターネットなどで調べた。
私は実家がへーベルハウスでコンクリートの家だったが
耐久性は確かにあると思えたがあまりに機密性がありすぎて息苦しい感じが常々気になっていた。
自分の家を造るなら木造にしようと思い調べてみると
柱が骨組みになる在来工法と壁で全体を支える2×4工法の二通りの工法から
まずはどちらかを選ぶということになった。

初めて行った住宅展示場は休日にもかかわらずかなり閑散としていた。
「やっぱり不況だからかなぁ?」などと思いつつ
2×4ではたぶんその時点で一番坪単価が低いと思われるSホームのモデルルームに入ってみた。
さすがモデルルームだけあって家自体がまず大きかった。
インテリアはアメリカンカントリーのイメージでまとめられていた。
女らしい感性がない(?)私はファンシーっぽいインテリアはあまり好みではなかったので、構造体の説明のところなどばかりを見てしまった。
2×4は高気密のため強制的に空気を換気するシステムがあった。
各部屋に排気口のような丸い穴が開いていて
そこから管を伝わって強制的に家全体を換気するという仕組みである。
Sホームの営業マンの説明によると
2×4工法で換気システムがないのは欠陥だとまで言っていた。
そう言われて思い出すと
最初にアプローチのあったR社は2×4工法だったが換気システムはなかった。
でも我が家は空気のきれいなところにあるので、窓さえ開ければ別にいいじゃないかと簡単に考えてしまい、2×4における換気システムの意味がよくわからなくなってしまった。
各部屋に金属の管が取り付けられていることも、なんだか人工呼吸器をつけられているような圧迫感もあり、どうもしっくりこない・・・。
換気システムの装着がそのようにメーカーによってまちまちだということは
まだ2×4工法自体が本当の意味で確立されていないのかもしれないとも感じた。
そして結局Sホームの見積もりでは当家の予算では外構までまわらないということになってしまい、「外構は固定資産税対策としても後で自分でゆっくりやったほうがいいですよ」という説明があった。しかしそれではいくらなんでも乱暴すぎやしないかと思った。我が家の予算では家は建たないのか?とひやりとされられた。
しかし2×4工法については、壁からくみ上げるという方法も屋根をつける前に雨が降ってしまったらどうするんだろうという素朴な疑問もわきあがり、カビアレルギーの私は湿気を極力入れたくないので、やはりここは2×4よりも大工さんの腕が光る伝統的な在来工法で行くべきという考えにたどりついた。

在来工法ならば日本の木材を使ったメーカーを見てみようということで
同じ展示場にあったシンプルな北欧風の建物でスッキリした外観のF林業のモデルハウスに入ってみた。
笑顔が優しそうな人当たりの良い営業マンが応対してくれ
一通りの説明を受けた。
一目見てやはり柱構造の家はいいと思った。
しかも国産の木は日本の風土にも合っているという説明に非常に納得がいき
とても太い構造体の見本に感心してしまった。
とても熱心な営業マンの方は基礎の構造から設備までいろいろためになるアドバイスをしてくれた。
しかし感心するだけきっと値段も高いに違いない。
ダメもとで見積もりを取ってもらったが
やはり100万円の予算オーバー。
それでギリギリの数字といわれてしまってはどうしようもない・・・。

しかし結局F林業の家も私たちの予算に近づけるとおよそモデルルームの北欧調とは程遠い生活観バリバリのちょっと時代遅れ気味の家しかできないようになっていた。
選べる素材が非常に限定されてしまうからである。
これでは自分たちのイメージするような家はもうムリなんじゃないかと
展示場からの帰り道にかなり落ち込んでしまった・・・。


住宅展示場周りでは行き詰まりを感じてしまったが
あとひとつ約束していた候補が、土地を購入した不動産屋に出入りしている工務店「ダイシンハウス」であった。最初薦められたときには「工務店よりやっぱりハウスメーカーのほうが良いだろう」と漠然と思ってしまったし、不動産屋さんがマージンでももらって薦めてるのかなとちょっとイジワルな見方もしてしまったので、候補としては一番最後にと当初は考えていた。
予想外にもハウスメーカーで行き詰ってしまったと不動産屋の担当者のところへ行くと
ダイシンハウスの建てた家の施工例の写真を見せてくれた。
すると意外にも私達がイメージしているものに近い施工例も見られ
過去の例からも私たちの予算で同様のものが出来るはずだと言われた。
さっそくダイシンハウスの担当者の方に今まで手がけた家を車で案内してもらった。
逗子・葉山でもかなりの数の現場を持っていて、様々なパターンの個性的な家に工務店を侮っていたと反省するほどセンスのある良い家が多かった。

外観だけでなく居住者の許可をもらって家の中もみせていただいた。
どの家の施主も満足そうに話していたし、担当のMさんとも意志の疎通がきちんと出来ている印象だった。施主との関係が良いということは重要なことである。
以前に住宅展示場で見たどのハウスメーカーよりも新鮮で手作りの温かみすら感じる完成度の高さに圧倒されてしまった。
パンフレットを見ると、基礎の構造もF林業と同じベタ基礎でプラスチックの束を使用しているし、基礎部分は国産の木材を使うと書いてあった。
これが予算内でできるのであれば!と私たちの気持ちはほぼそこでダイシンハウスに決まったと言える。

ほぼ気持ちは決まったのだが
最初にアプローチのあったR社から再度Kさんがやってきて
だめもとで提案させてくださいと言われてしまった。
いい会社だと思ったし営業のKさんも自分のためではなく本当に我が家のためにいろいろ考えてくれていたのでその誠実さには心を打たれるものがあった。
2×4工法の不採用という決定的な理由を言ってしまえば、あっさり断れるのだったが
あまりにバッサリと切り捨てることが忍びなくて困ってしまった・・・。
それでもどうしてもといわれたので、最後の話し合いになるだろうと思いながら
自宅での打ち合わせの約束をした。
打ち合わせ当日はKさんと上司のK野さんが来てくれた。
上司のK野さんは手書きの間取り図を持ってきてくれた。
事前にダイシンハウスの提案した間取り図を渡していたのだが
それとは玄関の位置やキッチンの形、土地の微妙な変形に合わせたサニタリー部分のせり出しなど、今まで思いつかなかったアイデアが盛り込まれていた。
しかし、やはりどうしても我が家の希望の要素を入れると提示した予算内ではできないと口惜しそうに結論を話された。
予算内で出来ないということがわかっているのに
どうして図面まで持ってきたんだろうと一瞬思った。
するとそのあとK野さんの口から
「お宅様ではすべてを考慮すると当社よりも工務店さんのプランにされたほうが良いかもしれませんね」という言葉か出た。
「へ??」
それを言うためにわざわざ図面も引いて、夜までかかってきてくれたの?
ダメだってわかってるのにそこまでしてくれるなんて・・・。
と、K野さんKさんが本当に我が家のことを思ってくれている気持ちが
じんわりと伝わってきた。
顧客本位の営業というものの本物の姿を見たような気がして
私はとても感動してしまった・・・!

家のこと以外にもいろいろな話をして
お二人の人柄の良さをあらためて感じた。
もし我が家が2×4工法を選んでいたとしたら
絶対にこのR社にお願いしたであろう。
ふたりの誠実さに答えられないことがとても申し訳なかった・・・。

しかし、このR社のプランはその後工務店でプラニングしてもらう時点で
アイデアを生かさせてもらった。
タダでパクってしまったようで少々申し訳ない気もするが
Kさんはかえってうれしいと言ってくれた。
本当にありがたいことである。
知人で2×4のメーカーを探している人がいたら
ぜったいにこのR社を勧めたいと思う。

(R社とは横浜に本社を置く「リスト株式会社」という会社である。)

こうして我が家は地元の工務店に新居の建築を正式に依頼することになった。
経営状態のよいダイシンハウスはある程度の金額を最初に納めてもらえれば
残りの支払いは完成後の引渡し時でよいといってくれた。
普通は何度かに分けて支払わねばならないのだが
後払いでいいよという非常に太っ腹な余裕を感じて
急成長しているわけがわかった気がした。
工務店は経営状態が良好であることを確かめないいけないということも大切なのだった。

こうして我が家のハウスメーカーの選択は
地元で成長中の工務店「ダイシンハウス」に決定した。




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