１０．ライブの日。〈後〉
人と人が近い。
あたしとケンチチも、自然とくっついた。
ドキドキドキドキ･･･
早く始まらないかな。
ケンチチがあまりに近くにいる。
ものすごく緊張して
何をしゃべっていいのかわからない。
チラっと見上げると
今までに見たことない角度から
ケンチチの顔を見ることができた。
彼女になれたら
いつもこんな風に、近くでケンチチを見上げるんかな。
そしてケンチチは、あたしの方に目線をおろして
微笑んでくれるんや･･･。
あぁ･･･素敵･･･。
妄想してる間に、開始の時間になった。
久々の生演奏。
しばしケンチチのことを忘れ、
演奏に聞き入る。
ライブ中は、近くにいることを意識せずに過ごせた。
終了後、Ｍくん達と合流。
しばらくみんなで話した後、解散となった。
帰りはケンチチとＭくんと３人。
何となくホッとした。
Ｍくんが気にして聞いてくれる。
「今日２人で大丈夫やったん？」
『うん、大丈夫やったで～。』
あたしは答える。そしてケンチチの方をチラリ。
「あぁ。まぁ、何やかんやで。なぁ。」
ケンチチも答える。
何とも曖昧な返事だったが、あまり気にしないことにした。
地元の駅を降りて、一緒に遅めのゴハンを食べに行くことになった。
夕方に集合したばかりなのに
すごく久々に、帰ってきたような気がした。
幸せな半日だったな。
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