オレンジ・ペコ

オレンジ・ペコ

21~

そのにじゅういち

「おーい、天蓬。この書類終わってんの?」
バサバサと書類を持って現れた捲簾大将に、天蓬元帥はにっこりと微笑みます。
ちなみに、捲簾大将の持ってきた書類の期限は、今日の昼。
「あっ、そう。終わってないのね?」
ひくっ、と頬を引き攣らせながらも、仕方が無いので終わらすためにペンを握る捲簾大将はしみじみと思うのです。
なんで、大将が副官の仕事を毎回しきゃならないんだろう?と。
それはね、副官が天蓬元帥だからよvと親切に教えてくれる人は誰もいませんでした☆


そのにじゅうに

カコカコカコカコカコとすさまじい音が店内に響き渡る。
「聞いて下さい!!捲簾!!」
どっかーんと体当たりしそうな勢いの天蓬元帥に、捲簾大将は溜息を吐き出した。
「今度はなんだよ。」
天蓬とスーパーへくるとうっとおしいんだよなぁ。
などという心の声を飲み込んだ捲簾大将の前にズズイと出されたのは、チューハイの入った小さな籠である。
「これが、なに?」
「この4缶セットのチューハイを買うと、なんと、コンパクトミラーと鞄とぬいぐるみがもらえるんです。」
うるうるうると瞳を輝かせる天蓬元帥に、捲簾大将は重々しく言い放つ。
「却下!!」
「ええーーっ!!なんでですか??」
「お前なぁ!下界の遠征の買い出しにチューハイ買っていいと思ってんのか!!」
怒鳴りつけた捲簾大将にすかさず返ってきたのは、
「思ってます!!」
という同じ勢いの天蓬元帥の答えだった・・・。
その日の天界軍のお弁当にはチューハイがついていたという・・・。
どうやら、捲簾大将は説得に失敗したらしかった☆


そのにじゅうさん

 「捲簾ーーvv僕、いいもの貰っちゃいましたvv」
 にこにこ笑顔で寄ってくる天蓬元帥ほど恐ろしいものはない。
 今度はなにをしようってんだ?
 山のように迷惑をかけられている捲簾大将は咄嗟に逃げ出しそうになりながらも、引き攣った笑顔で迎える。
 ここで逃げたら、後で倍返しにくる。それが、天蓬元帥である。
 「なに?通販のカタログ?」
 「ほらほら、これいいと思いませんか?」
 といって、天蓬元帥が指差したのは・・・・・。
 「『仁王像』?なに、『鐘楼』だぁ?」
 そこに乗っているのはあきらかに・・。
 「てめぇ、仏具の通販カタログなんか、どっから持ってきやがった!!」
 「お寺ですvv」
 にっこり笑顔の天蓬元帥が捲簾大将に引き摺られて、お寺に謝りにいったのは言うまでもない。


(注)ちなみにネタは『トリビアの泉』である。(苦笑)

そのにじゅうよん

 「だいたいだな!こんなもんを貰ってくる方も貰ってくる方だが、あげる方もあげる方だろうが、ったく!!最近の寺はどうなってるんだよ!!てか、本当に貰ってきたんだろうな?」
 実に疑わしそうに天蓬元帥を睨みつける。
 「僕は嘘はいいませんよ。ちゃんと、これくださいvってにっこり笑顔で言ったら、快くくださいましたよ?」
 「ふぅ~ん?ほんと~に?」
 覗き込むようにして言う捲簾大将の顔はあきらかに疑っていた。
 「本当ですとも!!僕を疑うんですか?捲簾っ!!」
 「いや、お前だから疑ってるんだけどさ。」
 「それ、どういう意味ですか?」
 聞き捨てならない言葉に思わず、天蓬元帥はにっこり笑顔で捲簾大将に詰め寄っていた☆


そのにじゅうご

 二人がお寺に着くや否や、バタバタと駆け回る音と、
 「和尚さま!!カタログ泥棒が出頭してきましたー!!」
 な小坊主さんの声が・・・。
 「やっぱり、盗んだんじゃねぇか!!このバカっ!!」
 ゴイン!!と捲簾大将に拳で殴られた天蓬元帥は、あれぇ?と小首を傾げていた☆


そのにじゅうろく

 「僕はちゃんと、『くださいv』と言いましたよ?」
 駆けつけた和尚さんに、『ごめんなさい。』をした後、ブスッとしながら未だに天蓬元帥はそう言い張る。
 「ええ、確かにこの方はそう言われました。」
 和尚さんが天蓬元帥の言葉に頷く。
 「ほらね?」
 捲簾大将に勝ち誇ったように言う天蓬元帥の後を、和尚さんが続けた。
 「にっこり笑顔で『下さいv』と、銃をつきつけられたので、てっきり・・・。」
 「こんの!!バカ天っ!!銃をつきつけてりゃ、そりゃ、強盗だっ!!」
 ゴインッ!!
 とやっぱり捲簾大将に殴られた天蓬元帥だった☆(笑)

そのにじゅうなな

 「だいたいが、銃をつきつけるっつーのは、軍人としてどうよ?」
 「だからー、そんな覚えは・・・あっ!!」
 「あっ!!ってなに?」
 天蓬元帥のあっ!!に胡乱な瞳を向ける。
 「そういえば・・・。」
 「そういえば?」
 「この街にきたのって・・・。」
 「あっ!!」
 と、今度は捲簾大将が声をあげた。
 そういえば、この街にきたのは、妖獣退治の折。もちろん、皆、武装していた。
 「・・・麻酔銃か。」
 「謎は解けましたねv麻酔銃じゃ人は死にませんよv」
 「妖獣用でも?」
 「あっ☆」
 変なところで抜けている天才軍師であった☆(笑)


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