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2007.09.15
テーマ： DVD映画鑑賞(14667)
カテゴリ： フランス映画
FRANCK SPADONE
85min
（DISCASにてレンタル）
いつもいつもタイトル、英語やフランス語などの原題と日本語の題のことを書いてしまいます。配給会社にとってはまずはお客さんにアピールすることが目的なので、原語題が何であろうと、日本語題が内容とかなり違っていようと、あまり関係ないのかも知れませんが、観客にとっては題によって作品を見る目が違ってくるので、なるべくなら原語の題に近いものが望ましいと思います。この映画の原題は「フランク・スパドンヌ」で、たぶん有名でもなんでもない一人の男性のフルネームです。つまりはスタニスラス・メルアール演ずるスリがこの映画の主人公だということです。ところが「パリ１８区」はともかく「ストリッパー」では、モニカ・ベルッチ演ずるキャバレーのダンサーが主人公だと思って観客は作品を見始めてしまいます。かつては『市民ケーン』なんて直訳の題がありましたが、「フランク・スパドンヌ」で解りにくければ「フランク・スパドンヌという男」くらいに出来ないものでしょうかね！！。
というわけでスタニスラス・メルアール演ずるスリのフランク・スパドンヌが主人公。２人の仲間とメトロの中やホテルのロビーとかでスリ団をやってるんですが、トランプなんかも巧みに操ることができで、手先が器用。スリとして彼にはモットーがある。ルール１：良き演奏家として、楽譜を演奏すること（日本語字幕では「一流であれ、優雅に」となっていた）。ルール２：盗む相手のことに決して関心は持たぬこと。ルール３：幻想を信じ、信じられないなら仕事を変えること。この独白が最初と最後に語られる。そんな彼の物語。ある日彼等一味３人はメトロの中で１人の美しい女性から札入れを盗む。でもスラれたことも知らずメトロを降りて行く女をフランクは見つめていた。これはルール２違反だろうか？。部屋に戻ってフランクが札入れを調べるとフラン札とドル札、パスポート、そしてかなり大きなダイヤモンドが１粒入っていた。そのダイヤを盗品売買の闇ルートの知人に見せると彼の小規模なルートではさばけないほど高価なものだと言う。彼女はローラという歌手・ダンサーで、キャバレーのステージに出ていた。店の客として彼女のショーを見つめるフランク。楽屋に忍び込んで彼女のバッグに札入れを戻そうとするが、人が来て機を逸してしまう。彼女はキャバレーを経営するヤクザの情婦だったが、彼はヤクザ仲間と大ボスを抹殺して権力を奪う計画を練っていた。大ボスに体を提供していたローラの手引きで大ボスの暮らすホテルの部屋を襲おうというのだ。そんな折でもあり、札入れを返そうと再度キャバレーを訪れたフランクは見つかってしまい、札入れは返したが彼等ヤクザ組織にマークされ、部屋に殺し屋が送られてくる。しかしフランクは反対にその殺し屋を殺してしまう。
（以下ややネタバレ）
まあこうしてフランクとローラは近付くわけですが、この二人の言葉少ない出合いと別れの物語で、ボクはこういうフィルム・ノワールにはあまり詳しくはないけれど、伝統的にはきっと物言わぬけれど互いに相手の心中を察しての男と男の物語なのだと思う。ここではそれが男と女に置き換えられている。だから互いにほのかに強い恋愛感情を内に秘めているのだと思います。そして彼女に頼まれたことをフランクはクールに実現するだけで、二人は物言わず去っていく。フランクにとってはそれが３つの掟からなるモットーの実践でもあるのでしょう。殺人シーンやその死体、フランクがヤクザに暴行されるシーン、あるいはローラと大ボスのセックスシーン、こういうのが抑制を持ってほとんど画面に登場しない作りは、たぶん意図的なのでしょうが好感が持てました。そういう暴力やセックスシーンを見せる（見て楽しむ）ことが目的ではないという表明だと思います。しかし内容的には希薄な感じがします。スタニスラス・メルアールはなかなか好演だったかも知れません。この人 『恋は足手まとい』 でイリグアというメキシコか何処かの将軍役を演じていた人ですが、押しが強くなく控えめで、やや不安か自信のなさを秘めたような、ちょっと子供っぽくもあるような男を上手く演じる、と言うかそういうキャラの人ですね。フランス俳優としては類例の少ない個性かも知れません。そんな彼とモニカ・ベルッチの物言わぬ恋愛感情、あるいはフランクがローラという女に見た何か孤独のようなもの、それがもう少し実体感を持って描かれていたらもっと面白かったかも知れません。モニカが出演なのに在庫枚数が８枚と少ないせいかDISCASではなかなか順番が回ってきませんでしたが、無理して見ることはない作品のような気がします。（物語60点、キャスト80点、演出30点で、全体評価40点といったところでしょうか。）
監督別作品リストはここから
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85min
（DISCASにてレンタル）
いつもいつもタイトル、英語やフランス語などの原題と日本語の題のことを書いてしまいます。配給会社にとってはまずはお客さんにアピールすることが目的なので、原語題が何であろうと、日本語題が内容とかなり違っていようと、あまり関係ないのかも知れませんが、観客にとっては題によって作品を見る目が違ってくるので、なるべくなら原語の題に近いものが望ましいと思います。この映画の原題は「フランク・スパドンヌ」で、たぶん有名でもなんでもない一人の男性のフルネームです。つまりはスタニスラス・メルアール演ずるスリがこの映画の主人公だということです。ところが「パリ１８区」はともかく「ストリッパー」では、モニカ・ベルッチ演ずるキャバレーのダンサーが主人公だと思って観客は作品を見始めてしまいます。かつては『市民ケーン』なんて直訳の題がありましたが、「フランク・スパドンヌ」で解りにくければ「フランク・スパドンヌという男」くらいに出来ないものでしょうかね！！。
というわけでスタニスラス・メルアール演ずるスリのフランク・スパドンヌが主人公。２人の仲間とメトロの中やホテルのロビーとかでスリ団をやってるんですが、トランプなんかも巧みに操ることができで、手先が器用。スリとして彼にはモットーがある。ルール１：良き演奏家として、楽譜を演奏すること（日本語字幕では「一流であれ、優雅に」となっていた）。ルール２：盗む相手のことに決して関心は持たぬこと。ルール３：幻想を信じ、信じられないなら仕事を変えること。この独白が最初と最後に語られる。そんな彼の物語。ある日彼等一味３人はメトロの中で１人の美しい女性から札入れを盗む。でもスラれたことも知らずメトロを降りて行く女をフランクは見つめていた。これはルール２違反だろうか？。部屋に戻ってフランクが札入れを調べるとフラン札とドル札、パスポート、そしてかなり大きなダイヤモンドが１粒入っていた。そのダイヤを盗品売買の闇ルートの知人に見せると彼の小規模なルートではさばけないほど高価なものだと言う。彼女はローラという歌手・ダンサーで、キャバレーのステージに出ていた。店の客として彼女のショーを見つめるフランク。楽屋に忍び込んで彼女のバッグに札入れを戻そうとするが、人が来て機を逸してしまう。彼女はキャバレーを経営するヤクザの情婦だったが、彼はヤクザ仲間と大ボスを抹殺して権力を奪う計画を練っていた。大ボスに体を提供していたローラの手引きで大ボスの暮らすホテルの部屋を襲おうというのだ。そんな折でもあり、札入れを返そうと再度キャバレーを訪れたフランクは見つかってしまい、札入れは返したが彼等ヤクザ組織にマークされ、部屋に殺し屋が送られてくる。しかしフランクは反対にその殺し屋を殺してしまう。
（以下ややネタバレ）
まあこうしてフランクとローラは近付くわけですが、この二人の言葉少ない出合いと別れの物語で、ボクはこういうフィルム・ノワールにはあまり詳しくはないけれど、伝統的にはきっと物言わぬけれど互いに相手の心中を察しての男と男の物語なのだと思う。ここではそれが男と女に置き換えられている。だから互いにほのかに強い恋愛感情を内に秘めているのだと思います。そして彼女に頼まれたことをフランクはクールに実現するだけで、二人は物言わず去っていく。フランクにとってはそれが３つの掟からなるモットーの実践でもあるのでしょう。殺人シーンやその死体、フランクがヤクザに暴行されるシーン、あるいはローラと大ボスのセックスシーン、こういうのが抑制を持ってほとんど画面に登場しない作りは、たぶん意図的なのでしょうが好感が持てました。そういう暴力やセックスシーンを見せる（見て楽しむ）ことが目的ではないという表明だと思います。しかし内容的には希薄な感じがします。スタニスラス・メルアールはなかなか好演だったかも知れません。この人 『恋は足手まとい』 でイリグアというメキシコか何処かの将軍役を演じていた人ですが、押しが強くなく控えめで、やや不安か自信のなさを秘めたような、ちょっと子供っぽくもあるような男を上手く演じる、と言うかそういうキャラの人ですね。フランス俳優としては類例の少ない個性かも知れません。そんな彼とモニカ・ベルッチの物言わぬ恋愛感情、あるいはフランクがローラという女に見た何か孤独のようなもの、それがもう少し実体感を持って描かれていたらもっと面白かったかも知れません。モニカが出演なのに在庫枚数が８枚と少ないせいかDISCASではなかなか順番が回ってきませんでしたが、無理して見ることはない作品のような気がします。（物語60点、キャスト80点、演出30点で、全体評価40点といったところでしょうか。）
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