ラッコの映画生活

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2008.05.03
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カテゴリ: フランス映画
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119min
(以前DISCASにてレンタル)

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この作品は昨年の3月(つまり1年以上前)に初めて、レンタルDVDで、たぶん2日続けて3回くらい見たと記憶しています。 そのときの日記 では、体調等の理由で「寸評」のみしか書きませんでした。その後書き始めたレビューを補足しながら、今回感想を書きたいと思います。先日同じハネケ監督の 『カフカの「城」』 『タイム・オブ・ザ・ウルフ』 を見て色々考えていたら、この作品のことも書きたいと思ったのです。本当はもう一度見てから書くべきかも知れませんが、書きかけのレビューがあり、また細部までかなりはっきり記憶が残っています。

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考えれば考えるほど感じるのは、この映画が非常に重層的だということです。基本的な読みはそう難解なものではない。 1961年10月17日虐殺事件 一軒家 (←一軒家はパリでは相当の贅沢)に妻子と幸せに暮らすジョルジュに対して、施設育ちでまともに高等教育等を受ける機会も失ってしまったマジッドは、貧乏で低家賃団地住まいだ。

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ある日ジョルジュ(ダニエル・オートゥイユ)のもとに、その一軒家をただ固定画面で撮影した1本のビデオが送られてくる。その映像で映画は始まる。ジョルジュと妻アン(ジュリエット・ビノシュ)の声が背後に微かに聞こえ、画面が変わってそのビデオを2人で見ているシーンになる。その後も匿名でビデオは送られてくるが、いったい誰がこのビデオを送ってきているのかという疑問が、観客を引き付けるサスペンスとなる。後続のビデオはジョルジュが問題の少年時代を過ごした田舎の家への道を示すものであったり、現在マジッドが住む低家賃アパートへの道を示すようなものだ。原題は「隠れた」とか「隠された」とか「見えない」ぐらいの意味の形容詞だが、日本語タイトル『隠された記憶』が示すように、ジョルジュが妻にも語らず、たぶん自分でも封印しようとしていた少年時代の「罪」の記憶が、このビデオをキッカケにジョルジュを苦しめ始める。そこでも妻にすべてを語ろうとせず、妻のジョルジュに対する不信感が強くなっていく。たぶんこの不信感はビデオ以前から既にあり、それが原因で妻は別の男性に精神的に頼り、不貞関係があるらしい。

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ジョルジュはビデオに導かれてマジッドを訪ねる。マジッドは友好的で、ビデオの件は否定するが、幼少期のことを恨んでビデオを送りつけているのだと思い苛立つジョルジュは攻撃的だ。自転車の「黒人」青年とぶつかりそうになったときジョルジュは異常な程に青年をなじった。あるいはジョルジュの息子ピエロの誘拐の件で警察沙汰になったとき、警察は最初からジョルジュを被害者、「アルジェリア人」のマジッドと息子を犯人扱いする。明らかにここで社会やジョルジュの差別意識が描写されている。そして次にジョルジュがマジッドを訪れたとき、マジッドはカミソリで自らの喉を切ってジョルジュの目の前で自殺する。いちばん上に掲載したポスターの赤いのが、壁に飛んだ血の痕だ。

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誰もジョルジュの少年期の「罪」を非難する者は出てこない。平穏に暮らしていたはずのジョルジュは、ビデオがキッカケで悩み始めるのだけれど、だからそれは外部からの非難ではなく、自分内部からのもの。そもそもこの少年期の「罪」にしても、たぶん6才のときという設定だったと思うけれど、マジッドを嫌って遠ざけたことがどれ程の罪だろうか。マジッドがアルジェリア人だから嫌ったとするならば、それだって少年の考えではなく大人の意識の反映でしかない。だから問題は、自転車の黒人青年との一件でも描かれていたように、その後現在までジョルジュが差別意識を持ち続けていること、あるいはそういうフランス社会に安住していること、その後ろめたさなのではないだろうか。

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このまずは一義的な解釈で残るのは、いったい誰がビデオを?、という疑問だ。そしてこれには明確な解答が示されているようで、実はそこに更なる解釈の入り口が見えてくる。水泳大会のシーンで、ピエロが失踪したときに実はいたという友人がビデオカメラを持っている。このヒントから解るのは、最初の(家を固定画面で写した)ビデオは、おそらく息子ピエロの仕業ではないかということだ。ピエロは最近両親に対して心を閉ざしているけれど、両親の冷めた関係や母の浮気に対する意志表明がこのビデオだったのではないだろうか。では2本目以降は?。ピエロとマジッドの息子が何かを話している様子が遠景の固定画面(冒頭の画面に類似)で写されるのが映画のラストなので、ピエロとマジッドの息子の共犯説を主張する人がいる。しかしそれは違うのではないだろうか。確かマジッドの息子はビデオへの関与を否定していたと思うし、それがウソだとは考えにくい。そうすると、2本目以降に写された内容(ジョルジュの幼少期等を知っている)から考えて、 とりあえず仮に言うのだけれど 、犯人の可能性はジョルジュ本人しかいない。ジョルジュの母親は老齢で寝たきりに近いし、マジッドは文化的に考えても経済的に考えてもビデオ操作云々には不適格だし、そもそもマジッドやその息子を「悪者」にしてしまっては映画の主旨に反する。少年の「罪」に関して上に書いたように、ジョルジュの現在の焦燥は外からではなく内から来ているものなのだ。

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そうすると息子ピエロによる1本目に触発されたとしても、何故ジョルジュ本人がという疑問だ。この映画で特に気になる点が実はいくつかあった。一つはジョルジュが母親を訪ねるシーン。この場面への転換が、実に脈絡がなく、非常に唐突で、またこのシーンから次への転換にも脈絡がないということ。もう一つは友人を招いてのジョルジュ家の晩餐で、一人の友人が語る「犬の生まれかわり」の話で、ここでなぜこの話なのかという疑問。3つ目は最後の方で疲れたジョルジュがカーテンを閉じ、ベッドで寝ようとするシーンと、そこからの場面転換の唐突さ。そして4番目は問題とされる最後の学校正面を固定画面で捉えた映像と、それが冒頭画面に酷似していること。もう一つ付け加えるならジョルジュ家のテレビ写っていたニュース映像。

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犬の生まれかわりの話は、ごく平凡な出来事として語られ始め、その話の内容に段々に聞いている者を引き込み、しかし単なる作り話で、最後はアンをビックリさせるという展開だ。実はこの挿話はこの映画を説明しているのではないだろうか。ニュース映像は我々がそういうメディアの報道に接するあり方を象徴していると考えられる。始まりの映像は、ジョルジュの家を物語が描写していると観客を勘違いさせられるが、実は夫婦が見ているビデオ映像だと明かされる。映像の類似性から、ラストの学校の固定映像も、映画の物語の描写映像ではなく、別のビデオ映像だとは考えられないだろうか。犬の話で聞き手が作り話のウソを信じる方向に導かれ、そしてそれを否定されたように、映画の中でも意図的な導かれと否定の場面がいくつかあった。息子ピエロが帰ってこなければ誘拐された(それもマジッドらに)とジョルジュやアンは疑い、観客もそう予想するが、実は何でもなかった(詳細は明かされないが)。マジッドがカミソリを取り出したとき、ジョルジュも観客もマジッドがジョルジュに切り付けるとは想像しなかったろうか。

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そんなことを考えてくると、アルジェリア人差別の問題や、内からくるジョルジュの消せない罪意識が一つのテーマではあるのだけれど、それと同時に、我々がメディアを受け入れる際に安易に送り手の策略に引き込まれてしまうことへの警告をも描いているのだと思う。そしてハネケの関心は後者の方に強いのではないだろうか。一種のメディアリテラシーの問題であるけれど、内容がどうのというリテラシーであるよりもっと本質的な、我々がメディアに接するあり方自体の構造の問題だ。母親訪問シーンと最後で寝入るシーンを挙げたが、場面転換の唐突さや寝入るという事実を考えると、2本目以降のビデオの送り主がジョルジュなのではなく、マジッドの自殺まで含めてすべてはジョルジュの悪夢なのかも知れない。犬の話と同じように「誰がビデオを?」という謎解きに観客を引き込むこと自体が、ハネケの仕掛けた罠なのだ。

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Last updated  2008.05.10 01:55:31
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