ラッコの映画生活

ラッコの映画生活

PR

Calendar

Comments

Jeraldanact@ Проститутки метро Электросила Брат замминистра инфраструктуры Украины…
SdvillkeS@ ИнтерЛабСервис [url=https://chimmed.ru/ ]brueggemannal…
hydraGes@ Новая ссылка на гидру v3 новый сайт гидры v3 <a href=https://hydraruzpnew4afonion…
間違い@ Re:『沈黙の行方』トム・マクローリン監督(米・加2001)(02/21) 姉ではなく、妹です。 なので、弟ではなく…
RogerEQ@ Это вам будет по вкусу разработка сайтов веб сервис - <a hr…

Profile

racquo

racquo

Favorite Blog

コイケランド koike1970さん
Kabu + Plus エースNo1さん
行きかふ人も又 はる **さん
Nobubuのbu… Nobubuさん

Keyword Search

▼キーワード検索

2008.06.02
XML
カテゴリ: ヨーロッパ映画
BRUCIO NEL VENTO

117min
(DISCASにてレンタル)

brucio0.jpg

シルヴィオ・ソルディーニという監督さんは、『ベニスに恋して』を見てないので初めて。こういう知らない監督の知らない映画を選ぶ場合、ボクは映画のスティル写真、3行ぐらいの導入的あらすじ、監督の写真(や経歴)、あとは誕生日ぐらいを参考にします。レビューや批評は映画を見る前にはあまり読みません。今回は、たまたま Google FRANCE 検索から行ったページで突然 Real Player の彼のインタビューがイタリア語で流れ出した。ちょっとインテリタイプの若い映画好きっていったイメージで好感が持て、スティルも合わせてなんとなく見てみたくなりました。結果は正解。かなり良い作品でした。この監督はイタリアの監督で、生まれもミラノだけれど、もともと親はイタリア語圏のスイス・ティチーノ州の人で、だから半分スイス人のような人ですね。映画の舞台はヌーシャテル付近。ティチーノ州ではないけれど、同じスイス。ここはフランス語圏。題名でもわかるように基本はイタリア映画なのだけれど、言語は大部分がフランス語とチェコ語で、イタリア語は最後にほんのちょっとだけしか出てこない。フランス版プリントなのかと思って後で調べたら、イタリア映画としては例外的に全編イタリア語字幕の作品とのこと。

brucio1.jpg

スイスのある町の時計工場で働くトビアッシュ(イヴァン・フラネク)。住んでいるのはバスの終点の山間の家で、かなりの長時間通勤。朝5時起きの毎日。夜はフランス語で日記風の小説を書いている。ある日扁桃炎か何かで倒れ、病院に担ぎ込まれる。回復したトビアッシュにカウンセラーの医師が接する。リーヌという理想の女性の夢を見ること、10才のときに死んだ母親の名前がリーヌだったこと、15才のときに孤児院を抜け出し国境を越えた等と話すが、これが事実でないことを内心で独白する。そして本当の子供時代のことがフラッシュバックで描かれる。東欧のとある貧しい小さな町。言語はチェコ語だけれど、必ずしもチェコであるとは明示されない。少年トビアッシュは娼婦をして細々と暮らす若い母と二人だった。母は23才で、町いちばんの美人だったが、娼婦の母を少年は恥じていた。母の客の多くは農民で、取れるお金も少なかったが、しばしば訪れたのはダリボルという農夫でない男だった。6才のトビアッシュは学校に行くようになったが、隣の席にはリーヌという少女がいた。ある日、たぶんトビアッシュが12才になった頃、トビアッシュは母とダリボルの会話から、自分の父がダリボルであることを知った。トビアッシュは包丁を手に母とダリボルが眠る部屋に入ると、父ダリボルを刺し殺して逃げたのだった。逃げて、歩いて、歩いて、途中の経緯は語られないが、父と母の名前を合わせたダリボル・リュシュカと名乗り、東欧からの移民として10年前からここスイスの時計工場で働いていたのだ。

brucio2.jpg

彼にはつき合っているヨランドという女性がいた。ヨランドの方は彼にゾッコンといった感じだけれど、つき合っていると言っても彼の方にはその気はなさそう。彼は夢の中の理想の女性リーヌにしか興味がないようなのだ。彼は父親と母親の名前を合わせたダリボル・リュシュカを名乗っているわけなのだけれど、それは自分自身が本当のトビアッシュではないという意識。ダリボルは自分の存在を認めようとしなかった父親の名。そんな父をトビアッシュは殺害した。一方リュシュカは自分の貧困の象徴でもある母の名前。後で同じ出身国の移民たちと交際をするようになるけれど、彼らの多くはややはりこの西欧スイスの地で不遇な生活条件の下にある。トビアッシュはチェコ語が出来て、しかもフランス語も完璧だから、チェコ語を話す移民が被告の裁判の通訳を請け負う。被告は勤める店のものを盗んで祖国にいる家族に送っていた。

brucio3.jpg

父ダリボルがトビアッシュ少年を見て言っていたように、そしてフランス語で小説もどきが書けるほどに、彼は知的レベルの高い人。でも朝5時起きの単純労働でやっと糧を得る生活。そこに彼のアイデンティティーの亀裂がある。それを追求して、何かを求めるか埋めるかのように書いているのが小説で、より得意なはずのチェコ語ではなく、ここ現地社会のフランス語で書いているというところに意味がある。映画の最後で彼はスイスを去ってイタリアに行くのだけれど、そこで彼は一からやり直しで、今度はイタリア語を学んで、イタリア語で書きはじめる。理屈で言えば娼婦の子供であることは恥でも何でもなにのだけれど、ここでは貧しい東欧の国と豊かな西欧の格差を描いているわけで、そのためにも単に東欧というだけではなく、個人のレベルとして娼婦の子という出自を象徴的に使っているわけだ。娼婦の母を恥じるというのは、出身の貧しい国を恥じるという象徴となる。だからチェコ語ではダメで、フランス語なりイタリア語である必要がある。西欧の現地の言葉で文学作品が書けるということが、自分を西欧人と対等のレベルに持っていくことでもある。つきあっているヨランドについて言えば、彼女は現地のスイス人で、車も持っている(後で彼が買うのが自転車だという対比もある)。彼自身がその彼女と対等のレベルにいないから、トビアッシュにとってはもともと対等な相手としての恋愛は不可能なのだ。だからそういう心理に深入りすることは出来ない。

brucio4.jpg

クリスマスも近付く冬のある日、通勤のバスに1人の女性が赤ん坊を抱いて乗ってきた。女性は子供を工場の託児所に預けて、同じ時計工場で働いていた。トビアッシュはそれが幼馴染みのリーヌであることに気付く。彼は床下に隠してあった虎の子の貯金で自転車と双眼鏡を買い、ストーカーのごとく彼女を追い始める。そしてやがて話し掛け、彼女も彼を愛するようになる。リーヌという名は愛称で、本当はカロリーヌだった。学校の幼馴染みだったが、実は彼女はダリボルの正式の娘で、だからトビアッシュの異母妹だ。物理学者の夫が研究だか留学で、一緒にスイスにやってきていたが、奨学金だけでは足らずにカロリーヌは工場で働いていたのだ。

brucio5.jpg



brucio6.jpg

表面的にはトビアッシュとカロリーヌのロマンスで、そこに半分近親であるというちょっと甘美でもある愛の要素も混じり、切羽詰まったような愛であるけれどハッピーエンドでもあるような、それだけでも見応えのある物語だけれど、そこに歴史的結果として富める国とそうでない国の格差や互いに解消出来ない複雑な意識、そして西欧における移民労働者の問題を上手く象徴的に描いていた。しみじみと味わいのある一編だった。主人公トビアッシュを演じたイヴァン・フラネクという俳優は正にチェコ出身でフランスに帰化した人で、この役を好演していた。バルバラ・リレクソヴァという人もカロリーヌの揺れる心理をよく表現していた。またイッカ・イェコヴァという女優さんだろうか、町いちばんの美人というトビアッシュの母を演じたわけだが、この人は最初に少ししか出てこないけれど、たいへん美しかった。

brucio7.jpg




監督別作品リストはここから
アイウエオ順作品リストはここから
映画に関する雑文リストはここから





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2008.06.11 02:00:05
コメント(2) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: